いつだって誰かの憧れの時代
「出版不況」という言葉は、なるべく使いたくはないけれど、かつての出版業界をうらやましく思うことがある。椎名誠や嵐山光三郎らが活躍していた、1970年代末から1980年代前半の頃のことだ。
1976年に創業された本の雑誌社を立ち上げたメンバーの物語は、何度も読んだ。大学の頃である。
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もろに影響を受けて、出版業界に身を置くことを憧れた。しかし、インターネットの普及、そして、SNSの台頭で、その様相は今や一変してしまった。ああ、自分が生まれた頃の出版業界に憧れるなあ。
だけど、当時を生きていた人たちもまた、過去の出版業界を懐かしんだのかもしれない。
いつだって、自分の生きている時代は退屈なもの。 ウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』には、そんなメッセージが込められている。
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ハリウッドの脚本家・ギルは、婚約者とその両親とともに、パリへ。憧れたのは、1920年代のパリである。ギルがかつてのパリに思いを馳せていると、タイムスリップする。
その先に出会ったのは、そうそうたる偉人たち。ヘミングウェイ、ピカソ、ダリ、ガートルード・スタイン……。そう、この映画は、偉人が次から次へと出て来る偉人映画なのだ。
しかし、黄金時代を生きているはずの偉人たちもまた、自分の時代を嫌悪し、さらに過去へと憧憬を抱いていることをギルは知り……。
自分が今いる環境には、つい退屈し、刺激を求めるものなのだろう。いつだって、今の価値が分かるのは、過去になってからだ。でも、それじゃあ、あまりに切ない。今を生きることの大切さを本作を教えてくれる。
(了)
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