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私を忘れないで。

わすれなぐさ。
花の名前ももちろんだけれど、その花言葉のなんと強烈なことだろう。
はかなく可愛らしいその見ためからは想像できない、グッとこころに刻まれるような力のある言葉。

こんな言葉をつかうことがあるとしたら、言われるとしたら。
いったいどんな場面だろうと想像する。
別れに際した言葉だとは思うけれど、そこにはきっと、悲愴な覚悟が伴っている。
もう逢うことがないということを、はっきりと理解している。


足もとにちいさく可憐に咲く花の、頼りなくも凛としたその佇まいに、こころがきゅっと掴まれるような気持ちになる。


私を忘れないで。


それは、悲しい恋の結末か。
はてはまるで、魔法のような、呪縛の祈りか。 

そんな物語を想像させるような花が、ほんとうにある。

ファインダーを覗いた先に見える世界の、なんとも悲しく美しいこと。
花を撮ることは、ときにそんな物語に触れることでもある。




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