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『その欠片たちを』 #ポエムのある暮らし


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振りかえった、
ぽつり ぽつりと
薄曇りの秋空に、ちらちらと咲く
その姿をみて
祈り、願い、希望
誓ったこと、半年前に
それらを
どれだけ大切にしてこれただろうか
どれだけ、大切に包んでこれただろうか

目を落とす、両の手のひらに
探す、その欠片たちを
結ぶ、形あのときのままに
咲かせる、それを

咲かせる
また、ここから

『その欠片たちを』





ひらりと肌を掠める風が夏を過去のものとして、かわりに(きっと今年も)刹那の秋を連れてきた。ちょうど半年前にあたり一面を薄桃色に染め上げたあの桜たちを思い出させたのは、ぽつり、ぽつりと遠慮がちに咲く十月桜だった。その花の数の対照的なこと。その先に控える季節を象徴するような、生命に満ちた春の桜と、結びへと導く秋の桜。

春、桜を見上げて願い誓ったことは何だっただろう
わたしは、変わりたいと願った
変わってみせるのだと、誓った
大きな脅威に背中を押されて、そしてそれはもちろん予想外のことだったけれどわたしの一歩はたしかに踏み出された、わたしは、一歩を踏み出した。


十月桜が導く結びの景色を、思い浮かべてみる
十月桜がわたしを導くその軌跡を、まぶたの裏に描いてみる

あの
薄桃色の祝福を、
わたしは憶えている





このnoteは、定期購読マガジン『ポエムのある暮らし』収録noteです。
ポエムからはじまり、バーテンダー歴15年のぼくがご紹介する「おうちでつくるかんたんカクテル」、ショートエッセイを掲載しています。更新は、月4回。
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ここからは、「かんたんおうちカクテル」のご紹介です。
そのあとはちょっとエッセイを。最近「怖い」と思うようになってしまったことについて書きました。


今回扱うお酒は、「カンパリ(Campari)」です。とっても有名なイタリアのリキュール。有名なんですけど、じつはこれどんなお酒?っていうのは意外に知られていません。
ていうか、つくり方や材料の詳細は不明なんです。これはカンパリに限らずとくにリキュールに関しては細かいところが不明なものが多い。たとえば、今もそうかわかりませんが、「シャルトリューズ(Chartreuse)」というフランスのリキュールの製法は門外不出で、代々3人の修道士しかレシピを知らないんだとか。

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(画像は先日ご紹介したカンパリモヒートです)

居酒屋さんなどにもよく置いていあるリキュールなので、飲んだことがある人も多いと思います。ソーダやオレンジジュース、グレープフルーツジュースで割るのが一般的だと思いますが、もちろんここでは別のものをご紹介します。苦みのつよいリキュールですが、つかい方次第で甘くもなる。奥の深いリキュールですので、楽しみにしてくださいね。
それでは。
おうちでできる、カンパリのおいしい飲み方をご紹介。思わず拍子抜けするものから本格的なものまで、いくつか書いていきます。
それではどうぞ。


①水割り

ソーダで割って飲むのは普通なのに、なんで水割りは飲まれないんだろうと常々思っています。個人的にはこれがいちばん好み。レシピもなにもありませんが、一応書いておきます。

カンパリ 30~45ml
水 適量(カンパリの2倍~3倍)
グラスに氷を入れ、カンパリと水を入れる。よく混ぜて冷やす。

これだけ。だれにでもできます。レモンやライムなどの柑橘を入れてもいいし、入れなくてもいい。ぼくはシンプルな水割りがいいので柑橘は入れません。
ポイントは、よく冷やすこと。冷やすことでカンパリの苦みが和らぎ、かわりに甘さが引き立つようになります。ボトルが大きい(1000mlがメイン)ので現実的ではないのですが、個人的にはカンパリは冷凍庫に保存してほしいくらい。キンキンに冷えたカンパリの、とろりとした甘さを味わってほしいなあ。

次は、そんな「キンキンに冷えたカンパリ」のおいしさを究極的に追及した飲み方を。


②カンパリシェカラート

「シェカラート」は「シェイク」のことなので、「混ぜる」ということです。何と混ぜると思いますか?

もったいぶっても仕方がないのですが、答えは「お水と空気」です。

カンパリをグラス1つ分、混ぜる用の密閉できる容器に入れます。シェイカーがあればいいですがおうちにはないと思いますので、例えばスポーツドリンクをつくるのにつかうプラスティックの容器やジャムなどの空瓶でまったく問題ありません。適量のカンパリと氷をたくさん入れて、10秒程度がんばって振ってください。
がんばって振ることで、カンパリのなかに空気が混ざります。氷が容器の中でぶつかり、溶け、水が出ます。その空気と水が、カンパリを甘くおいしく生まれ変わらせるんですよね。
ちなみに振るときのコツは、手首のスナップを利かせて、気持ち弧を描くように振ること。カンパリが容器の中で回るようなイメージです。あまりガチャガチャ往復させると氷がぶつかって溶け過ぎて、水っぽくなってしまいます。
ちょっとむずかしいかもしれませんが、これができたらあなたも立派なバーテンダーです。(かんたんおうちカクテルなのに「むずかしいかも」と書いてしまいました)。

氷を取り除いてグラスに注ぎます。そのまま飲んでもいいし、氷を入れたままでロックにしてもOKです(写真は振ったときの氷を取り除いたあと大きめの氷を新しく入れ直しています)。常温のままのカンパリと、比較試飲してみてください。味わいが全然ちがうと思います。

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ちゃんと空気がはいったら、表面に泡の層ができますよ。冷たくて、甘くて、おいしいです。

次はちょっと意外な組み合わせを。


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