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お店の未来は。その2。

昨日のnoteはこちら。
(お時間ありましたら、ぜひこちらからお付き合いください)

拡がる格差、多様化する価値観。求められる付加価値。複雑に絡みあう関係性の中で、あらゆるニーズに応える。そうして、したたかに売り切る。そんなことが可能なのは、ネットも含め大手だけだ

このnoteのさいごで、このように締めた。
今日は、この続き。



価値観が多様化するということは、いろんな種類の人が増え、ライフスタイルも多様化するということだ。
一人暮らし、ひとり親家庭。核家族、三世帯家族。
サラリーマン、在宅勤務、フリーランス。日本人、海外の人。
バラエティに富んだ消費者の、価値観や選択肢。
それもまたバラエティに富んでいる今、その対応はとても難しくなっている。
加えて、コンプライアンスの問題もある。
消費者を守る。
これに異論はないけれど、売る側のハードルは、ますます高くなっていく。

上の引用部分で述べたように、多様化する消費者の様々なニーズに応える商品をそろえ、価格競争にも耐える。そういった体力的な意味で大手が有利なのは間違いない。
しかしながら、そのような中にあってもソフト面での不安は解消されない。
言語の問題を筆頭に、これまでの画一的な社内教育ではこれからの客層をカバーすることは難しいと思われるからだ。
客層のみならず、教育する対象の従業員にももちろん、多様な価値観を持った人材が増えてくるはずだ(旧来の体制では扱いづらい(=サラリーマン的ではない)という意味で、その人材の能力が低いということではない)。
このように考えると、多様化する価値観を前に、大手が有利なのは変わらないとしても、それは決してこれからも盤石であるということを必ずしも意味しないのだということは、言えると思う。



では。
そんな中で、お店が生き残るためには何が大切か。
これから生まれるお店は何に重点を置くべきか。
それは、

お店の世界観を守ること

だとぼくは思っている。
価値観の多様化により、だれもが共通して欲しいモノ、受けたいサービスというものが少なくなってきている。
みんなのあこがれ。目指す生活。
今の世の中、それを規定することは限りなく難しく、むしろ危険だ。
あらゆるニーズに応えることは、到底難しい。
でも、それであれば。

お店の世界観を好きになってくれる、ファンを増やせばいい。

大きなお店である必要はない。
すべての人に好かれる必要もない。
アンチだって、いても構わない。
お店の世界観を認めてくれる人たちを、ただ大切にする。
一番になる必要はない。バズる必要もない。
お店の世界観を、淡々と守り続ける。
流行りにのらない。迎合しない。
ブームにもなり過ぎない。手を拡げ過ぎない。
それが、これからのお店の生き残り方だ。

消費者は付加価値を求めていると、昨日のnoteにも書いた。
商品を買う、サービスを受ける。
その上で、プラスアルファの体験が欲しい。

そのプラスアルファの体験(付加価値)は、安売りしなくても、お金をかけなくても提供できるものだ。
お店の雰囲気。店主の人柄、熱意。
商品のエピソード。サイドストーリー。
それらはすべて、立派な付加価値になる。

だから、ここで買いたい。
この店から、この人から買いたい。
そう思ってくれる、ファンを増やすのだ。

お店の世界観を守るということは、客に媚びないということだ。
お店の世界観に合わない客には、無理に合わせる必要はない。
もちろんお店から喧嘩を売ることはないけれど、ときには毅然とした態度もとるべきだ。
万人にへつらうことはしない。
みんなウェルカムじゃなくていい。
守るべき人たちを、しっかり守る。
その姿勢が、新たに客を呼ぶ。
それは信頼という名の付加価値であり、客側にとっても、自分に合う世界観を見つけることに役立つはずだ。

真摯に、等身大で、できることからやる。
努力して、懐を深くして、愚直に自分の道を進む。
自分の商品への愛を、好きを、ただ淡々と表現する。
その姿勢が、ほかのどの店にも真似できない、自分だけが客に与えることができる付加価値となる。


また、今の世の中は、規模の大小に関わらず、(幸か不幸か)世界中に自らを発信できるツールをみんなが持っている。
SNSを活用して実績を出しているお店もたくさんあると思う。
その可能性は無限大だけれど、頼り過ぎてもいけない。
SNSを運用していく上で重要なこと。
それは、

商品を宣伝し過ぎない

ということだ。
好きを、熱意を付加価値とするというのは正しいけれど、ビジネスを前面に押し出し過ぎてはいけない。
それがいやらしさや焦りと映った瞬間、ファンは醒め、離れていくからだ。
アイドルがテレビの向こうの遠い存在ではなくなったのと同じように、ファンは自分の好きな対象を、もはやあこがれとは見ていない。
まるで大きなコミュニティの一部であるかのような一体感を求め、その一員であることを望む。
客であり、サポーターであることを、望んでいる。
宣伝は、そんなファンたちに任せるのだ。

気に入ったらシェア。
気に入ったらシェア。
店のファンであれば、その店を他人が好きになってくれることは基本的には嬉しいはずだ。
しかも自分がその一助となっているという自覚があれば、なおのこと。
美辞麗句を並べ立て、見た目を飾る前に、ファンのワンクリックを増やす努力をする。
SNSは生き物だ。
店が、自分が制御しきれるものではない以上、それを自覚した上で活用すること。
これが、これからのお店づくりには大切になっていくのだと思う。


店の世界観を守る。
それに無理なくついてきてくれるファンを増やす。
そんなファンたちに、宣伝してもらう。

この流れを、時間をかけて少しずつ大きくしていく。
(価値の)安売りはしない。媚を売らない。
その付加価値はもはや唯一性だ。
ファンが見ているのは、商品であって、商品ではない。
ファンが見ているのは、店の、あなたの、その世界観だからだ。
だからそれは決して、AIにとって替わられるものではない。

正しくその流れに乗ることができれば、ある日突然お店(店主)そのものが商品となる。
この商品が欲しい、ではなく、あなたが提供してくれるものが欲しい、になるのだ。


今の世の中は、何が商品になるかわからない。
本来お金を払う価値のあるものが、無料で提供されていることも多い(noteはその典型例ではないだろうか)。
良いモノや才能は、じつはあふれている。
その中で、商品を売ってお金をもらう。
それは限りなく難しいことに思えるけれど、自分の世界観を、自分の手で守れる範囲で拡げていく。
限りなく「個」である世の中に、自分の「個」を拾ってもらう。
多様化する世の中では、自分の軸がぶれないことが一番難しい。
それを自覚した上で、謙虚に立ち続ける。
お店の未来は、案外そんな普遍的な原則の上に、これからも成り立ち続けるのではないかとぼくは思う。



お店の未来は暗くない。
ぼくがそう考える理由は、どれだけ世の中が変わろうと人の営みは変わらないからだ。
時代に即した売り方、見せ方。
そういったものは必要だけれど、ほんとうに必要なことは、店を、自分を、しっかりブランディングすること。
価値を担保すること。
そんな原則をしっかり守ることができれば、お店の未来は決して暗くはない。

多様化する世の中では、誰もがひとり勝ちできない。
それを認識し、自分の世界観を適切なボリュームで保つ。
そうすることで、お店はきっと、続いていく。





<おわりに>

昨日の分とあわせて、長い文章にお付き合いいただいてほんとうにありがとうございます。
今日は、昨日のnoteの2倍以上の文字数になってしまいました...分け方をすこし間違えたかもしれません。

お店の未来。
店頭に立っていなくても、だれもが直接的に、間接的に、他人にモノを売って生活している中では、これはきっとだれにとっても他人事ではない大切なテーマだと思います。
お店の未来は、ぼくらの未来。
そう言っても過言ではないと。

今までのやり方が通用しない。
では、どうするか。
SNSで派手に宣伝するなどわかりやすい方向へ行ってしまいがちですが、原則は変わっていません。
最終的には、自分の姿勢。
それがモノを言うのだと思っています。

文中、主語が「お店」、「自分」と混ざっていますが、どちらで読んでいただいていも伝えたいことは変わりませんので、敢えてそのままにしました。


さいごまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
いつもふざけたことばかり言っていますが、またたまにはこうしたまじめな内容にも取り組んでみたいと思っています。

ではではどうか。
すてきな週末をお過ごしください。

ぼくは日曜日、お引越しです。
にゅーん!
たのしみー!!












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