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『何者かに、なりたい』 #ポエムのある暮らし

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何者かになりたいと、いつも思っている
自意識は
ぼくの背を追い抜いて、伸びる
まだ伸びる、ぐんぐんと、まっすぐに
ときに、曲がりくねっては

何者かになるべく
今日も夢想する、キーボードをたたく
しっとりとした
優しい紙に刻まれた、力づよい言葉をなぞる

何だか、煮詰まってしまった
そう思うなら、身体を動かそう
風呂を磨いて
本棚のほこりを落とし、床にぞうきんをかけて
ベッドのシーツを洗い、乾かす(これは洗濯機に、まかせる)
キッチン、換気扇
さよなら油よごれ
ごはんを炊いて、コーヒーを淹れる
そんなことを、しているうちに
このポエムができあがる

さあ
ぼくは何者になっただろうか
大切な
奥さんをよろこばせる、
スペシャリストになりました


『何者かに、なりたい』





久しぶりに手書きでポエムを書きました。

あなたは何者ですか?
って訊かれたら、何て答えますか。
「奥さんをよろこばせるスペシャリストです」なんて答えたら引かれるかおかしな風に思われるかもしれませんが、今のところぼくが自分にたいして思いつくのはこれくらいです。
肩書にはできないもの。何だろう、ただの自負みたいなもの。枕詞かなあ。
でも案外、大切なのってそういうことなんじゃないかなって思うのです。じっさい「奥さんを~」なんてちょっと言えないけど。

我が子を世界で一番愛している
とか
〇〇の推しを生きがいにしている
とか。

それって立派な「何者」です。

今日もぼくはスペシャリストの名に恥じない働きをしています。
奥さんが笑顔。
何言ってんだって思いますか。
まじめです。
だって、これってとっても素晴らしいことでしょう?





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今回もお付き合いありがとうございます。
いつもはここから「かんたんおうちカクテル」と題したコーナーを書いて、そのあとショートエッセイにつづくのですが、今回はちょっと順番を変えてショートエッセイを先にします。

先日、『「わたしたち」の範囲』というnoteを書きました。
レストランにおけるウイルス対策とそれに惜しみなく協力する客、それを煩わしく思う客。「わたしたち」という線をどこに引くか、それをいつも、わたしたちは試されているのではないかという内容でした。
今回は、そのことについて、すこし書き足しておきたいと思います。
いつも「かんたんおうちカクテル」のさわりをご覧いただいていますが、今回はここから線を引かせていただきます。
すみませんが、ご了承ください。


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