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服の価格と原価の話

服に限らずモノを買う時そのモノがどれだけの価値があるのか気になる人も多いことでしょう。
原価と呼ばれるものが、価格のうちどれくらいを占めているのかということです。

原価率は高い方が良い?

原価と価格の差があまり無ければ消費者は得した気分になるかもしれない。しかしその差が小さくなる程に販売元の利益率は下がり、継続してモノやサービスの提供が困難になります。
どのようなモノやサービスであっても、企業が存続していくことができ且つ顧客に納得してもらえる価格を設定しようとしているでしょう。

ハイブランドって…

服においては、高単価な商品が多いハイブランドに対して「普通の服にブランドのロゴが入っているだけじゃないか」「高いのはブランド料だ」といった意見も少なくないように思います。

高単価な理由も様々あり、単純に高品質な生産ラインで作っていたり、著名なデザイナーの作品であったり(人が動くだけでもお金はかかる)、顧客に見合ったプロモーションの側面をはらんでいたりと挙げられます。

お金を出す側の我々消費者からすると、同じクオリティで健全な生産が出来ているものであれば安く買えるに越したことは無いですが、非常に様々な要素で価格が設定されている以上、ファストファッションとハイブランドでは価格の差が生まれるのは仕方のないことだと思います。

例えばGUCCIがユニクロと同じ価格の服を出したとしても既存の顧客はそれを求めるか疑わしい。。GUCCIを購入して身に着けたときの高揚感や特別感、そのような体験を求めるからです。

結局こんな議論をしたところでそれは想像の域を出ません。服の原価を公開することなど無いからです。

原価を公開しようという取り組み

ただ、海外で全ての商品の原価とその内訳を公開しているブランドがあります。『EVERLANE』というブランドのその取り組みは衝撃でした。
EVERLANEはD2Cの会社で、商品の原価(構成要素である材料費・労働費・関税・輸送費等の詳細内訳)、製造工場の詳細、製品の製造プロセスを公開しています。

▽EVERLANE(日本語サイト)
https://jp.everlane.com/ja-jp/

このブランドが大切にしていることは、「高品質であること」「エシカルな工場であること」「徹底した透明性」です。

共同創業者兼CEOであるMichael Preysmanは、00年代前半にGoogleが「Don’t be Evil(邪悪になるな)」という非公式の行動規範に衝撃を受けたと言いこう語っています。

「世の中には色々な人がいて、ただ偉くなりたい人、周りからどう見られているかしか気にしない人とか、、、。それでも、最後は誰もが『選択』をすることになる。そのとき、多くの人は世界により良いインパクトを与えるほうを選ぶのではないでしょうか。そのためにも、私たちはそうした選択肢を提供できる会社でありたい」

実際にサイトを見てみると、商品の詳細一つ一つに価格の透明化として原価が記載してあるのです。また正しいプロダクトであることを証明するために、工場などの生産背景についても細かく紹介がされています。

我々がどう選択するか

非常に面白い試みであり、大量生産・消費で服本来の価値や価格が見えずらくなった時代で、事実をありのまま開示し世界にとって正しい選択を人々が考える機会を作ろうという姿勢は素晴らしく思います。
原価を記載するというのは衝撃的なことですが、そのことにより消費者にも色々な視点が生まれてくるのではないか。それこそ、原価率が高い低いだけの話に留まらず。。

同サイトの中にこんな記載があります

素敵なTシャツを着るのと同じくらい、正しい選択が簡単なものであってほしいと思っています。

情報が溢れている時代においても隠されていることはたくさんある。
そんな中、様々な選択肢を提示するあり方が非常に面白く感じたと同時に、価格競争の消費社会への問題を投げかけているように感じました。

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