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オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る

台湾のデジタル担当のオードリー・タンさんの初の書籍で、気になったので読んでみました。

デジタルはあくまで道具にすぎず、その成否を握るカギは活用する側にある。デジタルは国境や権威を超えて、様々な人々の意見を広く集めるのに優れている。

台湾は、日常生活を維持しながら防疫に成功し、コロナの逆境下にあっても、GDPはプラス成長を実現した。

少数の人が高度な科学知識を持っているより、大多数の人が基本的な知識を持っている方が重要。

台湾は、5Gが普及しつつある。5Gの方が遅延時間(ラグ)が非常に短い。ウェブ会議でも、ほぼリアルタイムに見ることができる。

5G、6Gが普及すると、私たちが到達できる場所を拡大するだけでなく、私たちの視野も広げてくれる。教育にも非常に重要な部分のため、ネット環境がない地方から導入を始めている。

AIの目的は、人間の補佐。AIの判断に従っていれば間違いない。ということではない。最終的な調整は人間が行わなければならず、責任は人間が負う。

AIが人間を超えるような事態になったらどうなるかなど考えるより、人類はどの方向に進みたいのか、そのためには何が必要なのかを議論する方が先。

Humor over Rumor ユーモアは噂を超える。トイレットペーパーの買い占めが起きそうになった時、誰でもお尻は1つしかない(だから安心してください)というキャッチフレーズで騒動を収めた。

より価値の高い仕事に専念するようになれば、機械が仕事の一部をあるいは大部分を肩代わりしたとしても、自分の仕事に満足することができる。仕事の結果が、公共の方向に向いているから。

ドラえもんの役割は、のび太くんのやりたくないことをさせたり、のび太に命令して実行することはない。のび太くんを成長させるのが、ドラえもんの目的。

プログラマーが使用者の側に寄り添って考える創造力を養うことも大切。ユーザーが何を使えないのか、なぜ使いにくいのか。という感覚を明確に理解することができ、同理心(共感、シンパシー)が備わってくる。

他人の話を聞くことの興味は2つある。

1.自分自身の生活という角度から物事を見る。という制限を取り払える。異なる角度から見ることで、自分自身の視点を超越することができる。

2.相手の個人的な経験や背景から述べられたことを通じて、世界はこのような視点でも解釈できると理解できる。相手が経験したことが将来自分にも起きたとき、相手とは違う方法を選択するかもしれない。未来を学習できる。

誰からも概念を植え付けられるな。クリティカルシンキング、批判的思考法。

分散型の方向に進むことは決して悪いことではない。相互信頼がない知らない人同士の交換システムの場合、基本的なシステムについてどのように信頼を得ていくかが重要な問題。

経済学とは、既存の資源をどう配分するか。ではなく、人々が協力してより多くの価値を生み出すためにはどうすればいいか。を考えること。

持守(じしゅ)には、自分の意思を堅持する、貫く。という意味がある。攻撃的な意味は含まれず、ベジタリアンは肉を食べている人を見ても許せない。など思わない。上から目線で命令しない。

デジタル担当の大臣になるときの条件、1.行政院に限らず、他の場所でも仕事をすることを認める。2.出席するすべての会議・イベント・メディア・納税者とのやりとりは、録音や録画して公開。3.誰かに命じることも命じられることもなく、フラットな立場からアドバイスを行う。

自分の意見が少数に属することが気になるのであれば、自分は他の人が思いつかないような物事の見方をしている。自信を持って自分の意見を発信していけばいい。

日々考え続けることは、自分が今日達成したいものは何かを常に探ること。確定すると、続いて実現する方法を探る探索が始まる。

100点でないから壊すのはナンセンス。80点のものがあればどこに不足があるのか考えよう、そして改修すれば快適になる部分から先に変えていこう。

DXで、最も重要なのは持続可能な発展。誰も置き去りにしない、インクルージョンという姿勢。

一人で解決しようとするのではなく、共同で考えればいい。対処しなければいけない問題が大きすぎるとか、手に負えないとはならない。複雑かつ大規模な問題を把握する能力を養うことは、社会に対する大きな貢献を行うことになる。

デジタル社会で求められる3つの要素
1.自発性 誰かに命令、指示されるのを待つのではなく、自分で能動的にこの世界を理解し、何が問題なのか、何ができるのか考える。
2.相互理解 問題解決に至るまでの過程で他人とシェアする。同時に他人からシェアされたものに耳を傾ける。
3.共好 お互いに交流し共通の価値を探し出すこと。共同で仕事をする。

閉じたコミュニティの内部にいて、自分と似たような意見を持った人々の間でコミュニケーションが行われていても、結局は同じ意見がどこまでも反復され続けるだけ。

オードリー・タンさんの考え方や、今までの生い立ちなどが分かり、台湾のデジタル化について知ることができる1冊です。様々な考えがあって良い、デジタルはツールで、人が行っていくなど、とても参考になり、おすすめの1冊です。





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