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AIを使う人事 AIに使われる人事

源田さんが帯で推薦していたので、気になって読んでみました!人事系の書籍です。

AIは、インターネット以上のインパクトを持つテクノロジー、インターネットが仮想空間や情報産業を対象とするテクノロジーであるのに対し、AIはあらゆる経済、社会、産業に関わるテクノロジー。

DXとは、合理的な経営の追求であり、究極的には自動化・無人化への変革。資本とテクノロジーだけが企業の経済活動を構成する状態を目指した活動という面を持っている。

自立」のために最も大切なことは、人と人との「つながり」社会関係資本となる。頼れる人がいて、頼ってくれる人がいること。この信頼と絆が「つながり」で、人の尊厳を守るための基礎となる。

「働く」には、人が動いて、傍(はた)を楽にすると言う意味がある。生きるためのすべてであると同時に、社会参加の手段であり、自分を生かすための道。

「一隅を照らす、これ即ち国宝なり」
一隅は片隅。一人ひとりが片隅を照らす光になる。誰も注目しないようなことに、その場にいる一人ひとりがしっかりと取り組むことこそ重要。

2019年8月19日 ビジネスラウンドテーブル 企業トップ181名の入った声明文
「どのステークホルダーも不可欠の存在。私たちは、社会、コミュニティ、国家の成功のために、その全員に価値をもたらすことを約束する。」

イギリスでは、2018年に世界初の「孤独担当大臣」が任命された。孤独とは社会課題であり、1日にタバコ15本吸うことと同等の健康被害。雇用主には、年間25億ポンド(約3700億円)経済全体では320億ポンド(約4.7兆円)の損失を与えると試算を出している。

ギャラップ社の従業員エンゲージメント調査では、日本は「熱意あふれる社員」が全体の6%しかいなく、世界139ヵ国の中で、132位という最下層クラス。「不満をまき散らす無気力社員」が24%、「やる気のない社員」が70%の結果となった。

マネジメントの父、ドラッカーはMBOを自己目標管理として推奨した。最大の利点は、自ら自分の仕事を自らマネジメント出来ること。自己管理が強い動機づけをもたらす。

ティール組織を意訳すると「目的に向かって、組織の全てのメンバーがそれぞれ自己決定を行う自律的組織」を意味する。個人間の競争型の組織と生命体型の組織とは、対極の存在。

経営環境の大変動に応じて、経営に求められる能力が高度化している。プロ経営者やAIエンジニアなど、変化の先端にある能力は希少であり、価値が高騰する。人材の獲得合戦が起こる。採用が高騰化すると企業は一斉に教育を行う

大企業は、大企業数のわずか1%で、全労働人口の3割以上を雇用している。GDPの大半を占める経済的な影響力がある。小熊教授の調査では、全労働人口の大企業26%地元型36%残余型38%と推定。残余型は非正規雇用やフリーランス

大企業という社会を変える力を有する集合体を、どう活かすか?この発想を持ち、人と人のコラボレーションを機能させることが、新時代の人事の役割になっていく。

人事では、性悪説性善説かで人材管理の基本的なスタンスが違う。変化に戸惑うことなくスムーズに対応できた人事は、普段から性善説に立ち、従業員への気配りと信頼が前提にある。管理に余白をつくる工夫を第一に考え、全体を画一的にまとめて対応せず、一人ひとり、都度、個別に対応する。

終身雇用が終わり、個の自立が求められる。社会に開かれて「自立した個人」を支える。現代は安定ではなく、テクノロジーの超進化に基づく、変化を前提とする時代。ソフト面である「人と人とのつながり」を支えることの重要性が高まる。

GoogleAlphabet7割が広告収入、Facebookはほぼ全て広告収入。国内における広告費GDP1%に過ぎない。また、国内のB2C取引におけるEC化率6.7%。国内の広告費約6〜7兆円自動車産業70兆円小売全体140兆円

AIを中心とするテクノロジーの超進化は、仮想空間に留まらず現実社会のあらやる産業を根本的に変える。テクノロジーが驚くべき速さで進化し続ける世界では、昨日の当たり前が、明日の当たり前と思わない。変化が日常。

ストックフィッシュ」は、機械学習の中でも「教師あり学習」の手法で事前に与えられたサンプルデータを教師からの例題として参考に学ぶ。

生産性とは
1.分母に投下したコストや時間
2.分子に生み出した付加価値
分母を減らしても、分子を増やしても生産性は向上する。
発想の転換で、「2.付加価値をつくる」発想にこそ、AIはフィットする。

使い手が何を要望するかによって、作り手の活動が変わり、使われ方が変わる。新たなテクノロジーの社会実装は、常に使い手と作り手のコラボレーション。

大切なことは、AIに判断を委ねない。AIに人をジャッジさせるのではなく、人間が持つ無意識バイアス=偏見をしっかりと取り除いて、理念を持って開発する。

人ができることをAIに代替するのではなく、「人がやりたくても、できなかったこと」に着目してAIに支援してもらうことで、より良い会社づくり、より良い社会づくりに貢献する。「人とAIの調和」一緒に手掛けるのが重要。

現代社会を「経済資本」「社会関係資本」「文化資本」で整理するなら、貨幣という世界共通の指標を持つ「経済資本」が目的になりやすい。人と人との繋がりを意味する「社会関係資本」や、個人の能力や職人の稀有な技能を意味する「文化資本」は定量化の指標がない。

AIの話だけでなく、人事の話が多く描かれており、とてもヒントが多く参考になる1冊です。
人事担当や経営者にも、おすすめです!



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