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ビジネスの未来

山口周さんの新しい書籍が出て、本屋でも平積みになっていて気になったので買ってみました〜

過去200年にわたって連綿と続けてきた「経済とテクノロジーの力によって物質的貧困を社会からなくす」というミッションがすでに終了していることを示している。

転機を前向きに乗り越える3つのポイント
1.終焉の受容 転機というのは、何かが始まる時期なのではなく、何かが終わる時期
2.状況をポジティブに受け入れる モノゴトに対する評価は、その時に用いる2項対立の枠組みによってコロコロ変わってしまう。
3.新しいゲームの始まり 古いゲームが終わり、新しいゲームが始まる。明るく開けた高原社会へ

コロナによって様々な議論が交わされているが、世界はもう元の通りにはならない。

近年は、総じて幸福だと感じる人がとても増え、総じて不幸だと感じる人が減った。これは、経済をこれ以上成長させることに、もはや大きな意味はない。

経済成長と所得上昇が何よりも優先された近代社会から、生活の質や幸福実感がより優先されるポスト近代社会へすでにシフトしていると主張している。

GDPは非物質的な無形資産を計量していない。経済が非物質的な価値を生み出すことに大きくシフトしている現在、GDPに非物質的な産出を参入すれば、結果は大きく変わるはず。

GDPは、100年前にアメリカで、世界恐慌の影響を受けて日に日におかしなことになっていく社会・経済の状況を全体として把握するという目的のために開発したもの。

資本主義という表現はもはや適切ではない。金融緩和でマネーがあふれ、資本の意味は薄れた。いまや成功を導くのはイノベーションを起こす起業家精神や才能で、むしろ才能主義と呼びたい。

利子とは、資本の価格。利子がほぼゼロになりつつあることは、資本に価値がなくなった。資本の意味は薄れた。時間によって資本の価値が増殖することを前提としていたが成立しなくなってきている。

便利で快適な世界を生きるに値する世界へと変えていく。経済性に根ざして働く社会から、人間性に根ざして動く社会へ転換させる。

イノベーションの多くは本質的な意味で「新しい市場」を生み出しておらず、単に既存の市場の内部でお金を移転させているに過ぎない。既存の儲かっている市場から、イノベーションを導入してごく一部の人が儲かる市場に変えるだけ。

19世紀末に大企業が生まれ増殖したのは、地理的にも人口動体的にも普遍的な問題を低コストに扱おうとすれば、必ず規模が重要な競争要因になる。

モチベーションの源泉は、人間性に根ざした衝動しかない。衝動とは、そうせざるにはいられないという強い気持ち。損得勘定でやってられないよ。と問題を解決するためには、経済合理性を超えた衝動が必要となる。

Linuxは、無償の労働力の巨大さから生まれた。工数は3万6千人/月、80億ドルがかかったと見積られる。Linuxは、巨大な知識の贈与、能力の贈与、時間の贈与によって成立した。

1970年代 戦略十訓 1.もっと使わせろ。2.捨てさせろ。3.無駄使いさせろ。4.季節を忘れさせろ。5.贈り物をさせろ。6.組み合わせで買わせろ。7.きっかけを投じろ。8.流行遅れにさせろ。9.気安く買わせろ。10.混乱をつくり出せ。

1970年代と今では、環境や自然に関する通常の認識は、当時と大きく異なっている。

蜂の寓話によって伝えたかった教訓は、私悪すなわち公益。ある人の支出はある人の収入である。

コンサマトリーな社会において、便利さよりは豊かさが、機能よりは情緒が、効率よりはロマンが、より価値のあるものとして求められる。役に立つことよりも意味のあるものを追求する。

世の中は悪い方向に動いていると感じているのであれば、その原因をつくっているのは他社でも政府でも企業でもなく、間違いなく自分自身。世界は小さなリーダーシップの積み重ねで大きく変化する。

イノベーションを起こそうというモチベーションによって仕事に取り組んだのではなく、この人たちをなんとか助けたい!これが実現できたらスゴい!という衝動に駆られて、その仕事に取り組んだ。儲かるではなく、これはという強い衝動。

信長は、戦略時代がいつまでも終わらない本質的理由は、誰かが得をすれば必ず誰かが損をするゼロサムゲームに気づく。領地ではなく、茶道によって茶器などの茶道具を山や城と交換し巨大な価値空間を創出することに成功した。

需要・空間・人口という3つの有限性を抱えている世界において、大きな経済的価値を創出しようとすれば、文化的価値という方向において他にない。

創造的な人々は、豊かな幸福感受性もっており、興味や喜びを感じることに関わろうとする一方で、仕事に退屈を感じると素早く荷物をまとめてその場を立ち去る。創造的な人々に共通する唯一の特徴とチクセントミハイは言っている。

答えは、とにかくなんでもやってみる。これに尽きる。いろいろと試す必要がある。

浪費や無駄が、人生には必要。人生を見つけるためには、人生を浪費しなければならない。人生は理性的に、先見的、効率的に見つけることができない。

消費や購買は、贈与や応援に近い活動になっていく。応援したい相手にお金を払う。ということを心がける。

従業員のエンゲージメントは、週に60〜80%の仕事をリモートワークした場合、もっとも高まる。通勤は週1〜2回がもっとも生産性が高い。

高原社会においてソーシャルイノベーションを力強く推進していくためには、とにかく取り組みの絶対量を増やす。できるだけ多くの人が衝動に基づいて、様々な社会課題にチャレンジすることが必要。

今現在の世界の悲惨さを生み出しているのは、当の自分自身である。いまここにいる私によって多くの問題が引き起こされている以上、革命もまた、いまここにいる私から始めなければならない。

資本主義社会のハッカーたる自信を持って、新しい世界の建設に携わっていく。

資本主義のものに溢れる時代が終焉し、次の野原な社会が始まる時に、ものの価値観も変わり、ビジネスはどう変化するのか、ヒントが多く書かれていて、普段考えないような視点が見えるため、とても参考になる1冊でおすすめです。



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