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#06「プロジェクトが幸福であるために」

今回から「3つのポイント」に詳しく説明しようと思ったのですが、ちょっと予定変更。
いろいろと一気に書いてきたので、ここで一度、簡単に話をまとめることにします。

これまでにあれこれ語ってきましたが、その要旨はこういうことです。

デザインでもコピーでも、ポスターでもWEBサイトでも映像でも、クリエイティブ(コンテンツ制作)の目的は「人の気持ちを動かすこと」。

そして、この目的を実現するにあたり、3つのポイント「誰に伝えるか?」「何を伝えるか?」「どのように伝えるか?」をあらかじめ決めておくことによって、より効率で、より高い精度(品質)のクリエイティブが可能になる。

ちなみに、これまではデザイナーやコピーライターなど作り手側の視点で説明することが多かったのですが、この「3つのポイント」は、プロジェクトに関わる全員にとって重要なものです。

みんなが同じように理解し、同じ認識を持つことで、みんなが幸せになれるよ、と。
そういうわけです。

逆に、目指すものがボンヤリしていたり、みんなの認識がバラバラだったりすると、プロジェクトがブレまくって、みんながみんなそれぞれにストレスを抱えることになります。
そんな不幸なケースを、たくさん目にしたし、自分自身でも数多く経験してきました。

例えば……
クライアントは、どんな風にでも解釈できるような、具体性のない要望を伝えるだけ。
営業担当だとかプロデューサーだかとかは、クライアントのフンワリした要望をそのままクリエイティブチームに丸投げするだけ。
で、クリエイティブチームは、クライアントの真意などを確かめることなく、いきなり手探りで制作に着手する。
その結果、なんだかピントのずれたものが出来上がる。
それに対して、当然、クライアントは不満を抱く。
そして、何度となく作り直しが繰り返されることになり、プロジェクトは炎上する。

こういう事態は、もう、誰も幸せにしません。

クライアントは、思うようなものが出来あがってこないので、どんどん不満はたまるし、「この人たちに依頼したのは間違いだったかも?」みたいな不安も湧いてくる。
クリエイティブチームは、手探り状態のまま短時間で何度となく作り直しをすることになり、もうヘトヘト。モチベーションは擦り減り、やらされ感でいっぱい。
営業担当やプロデューサーは、クライアントの不満に直面し、これまたストレスフル。事態を打開させようとして、クリエイティブチームにあれこれ意見するが、どれも的外れで、現場の人間の反感を買うばかり。
もう、みんなが不幸。

きっと、こんな経験をしたことのある人、少なくないと思います。

でも、例の「3つのポイント」を定めて、みんなの共通認識にしておくことで、こういった不幸はずいぶん避けられると思います。

「3つのポイント」を定めることで……

クリエイティブチームのみなさんは、進むべき方向がわからずに手探りであーでもないーでもないと悩むのではなく、目指すゴールを見据えた上で、どうしたらそこに到達できるかという観点で頭を使えばいいわけで、同じ悩むにしても、ストレスやモチベーションの度合いが全然違ってきます。むしろ、そういう本質的なところで悩むのは、作り手としては本望でしょう。それに、ちゃんと狙いが定まれば、そこにセンスや技術や発想を集中できるのでクオリティもあがってくるでしょう。

そうやって作り手が正しく悩んでしっかりと磨かれたものは期待以上の出来となり、必然的に訴求力も上昇するわけで、その結果、クライアントのみなさんの満足度も高まってくる。

さらに、満足度の高い成果物が生まれれば、クライアントとクリエイティブチームの間に入る営業担当やプロデューサーのストレスは減るし、クライアントからの信頼が高まることで継続的なお付き合いの可能性も増え、それはきっと営業成績的にもプラスに働くことになるでしょう。

かくして、みんな幸せになりましたとさ。
めでたし、めでたし。

まあ、「みんな幸せ」というのはちょっと大げさな物言かもしれないけど、でも、例の「3つのポイント」をみんなで共有することによって、クリエイティブの品質や効率は確実に上がるし、プロジェクトが炎上するリスクはずいぶん減らせるはずです。

僕自身、ここ何年も、必ずこの「3つのポイント」を整理した上でアイデアを提案するようにしているのですが、その方が、間違いなく話が通りやすいし、プロジェクトが迷走するようなこともほとんどなくなったように感じています。
プロジェクト終了後に自分のやったことを振り返ってみると、ライターやコピーライターとしての役割よりも、「3つのポイント」を整理したことのほうが大事な働きだったのでは?なんて思うこともよくあります(笑)。

簡単に話をまとめるはずが、またしても長くなってしまいましたが、以上が「3つのポイント」の役割であり、そのメリットなわけです。

なので、ぜひ、みなさんも実践してみてほしいです。

さあ、次回からは、今度こそ本当に「3つのポイント」それぞれの詳しい内容や、プロジェクトの中での活用法などを説明していきます。

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