「金・金・愛」#2

第8話:祖父の死。

実家に帰ってきてから半年が経った。祖父が死んだ。

家中が悲しみに包まれているのがわかった。自分にとって最後のじいちゃんだった。大好きだった。

悲しみを色々な手続きが追い越していく。自分だけがついていけない。両親も悲しいはずなのに淡々と作業を進めていく。いろんなことにお金もかかる。
自分の働いたお金で子供を育て、一軒家も建て、自分の葬式代、全ての自分のケツを自分で拭く祖父の生き様は見事だった。



何をしているのか分からないのは自分だ。お金が必要だ。
そして、バイト先で子供達に言っている、「お父さん、お母さんに感謝しなさい。」という、その言葉が自分に跳ね返りで強く返ってくる。

自分の今の現状はどうなんだ?
大切な人を守るお金はあるのか?
恩返し、親孝行はできているのか?
将来は家族を養えるのか?

でも、またやりたくも無いことを一生して生きたくない。
何が好きで、何が楽しいのかが、わからない日々には戻りたくはない。







その日の夜、どんな仕事でも良いから正社員になるべきか考えた。

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