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映画「ゲット・アウト」のネタバレ 考察

欺瞞に満ちた誉め言葉。

左利き、AB型。
これは僕の事だ。
左利きとAB型だとこういう事を言われる。
「あぁーたしかにABっぽい、変人やもんなぁー」
「ええやん!左利きって天才肌やし」
そうなん?それであなた、僕の何を知ってますの?
皆も似たようなことを言われたことがあると思う。
例えば干支とかで「ネズミ年ね!たしかにずる賢い感じする」
ウンザリしません?
利き手、血液、生まれ故郷。
それにまつわる迷信での人物評。
これが人種になればもっと面倒になる。僕らも言っているかもしれない。
「白人は老けやすい」「黒人は病気に強い」みたいな事を。

ここ数年で人種問題への意識は高まりそれに連れ増えるいい人気取りの人権発言。
「オバマの三期目があれば投票する」
「今は黒人が流行だ」
オバマを応援している事とクリスを歓迎している事は関係ない。
これは
「私はオバマを応援しているので黒人を差別してません」
「差別しない私はいい人間です」というアピール
オバマとクリスを一括りにしている時点で差別意識がありそう。

脳移植が終わったやつらのこの不気味な笑顔は
「自分の元の体じゃないから」なのと
「表面的な人権発言で取り繕ってるから」って事の表れ。
恐怖の原因と同時に、薄っぺらい彼らの偽善の証拠でもある。

見捨てられて母と相手にされない友

催眠術にかかったクリスは母の死がトラウマになっていることを話した。
「探しに行けば助けられたんじゃないか?」
そんな後悔が彼を苦しめる。
わざわざ引いた鹿を見に行くのもそのためだ。
親友のロッドは「黒人性奴隷計画」を語り笑われる。
バカげた陰謀論と笑うのは3人の黒人警官だ。
差別は身内からも見逃される。

親友のバカ話は「体目当て」という点でほぼあってるのが面白い。
この映画の監督はホラーなのに笑いどころを入れるのがお茶目だ。
脱出の時、体を奪われた「頭脳は白色、体は黒色」の「謎コナン」状態のジョージナを轢いてしまう。元の黒人の意識を見捨てられず危険を承知で助けてしまう。
見捨てた母(黒人)のトラウマでもあり、そして中身より外見で判断してしまう彼ら自身の問題も含まれている。

最初と最後に潜む最悪の現実

この映画は、クリスの友人アンドレ(後のローガン)が誘拐されるところから始まる。
日本に住む僕達には少し不可解なところがある。
誘拐されるアンドレは怪しく近づく車にこういう。
「何でもない顔をしろ」
「こんな日にくるのかよ」
黒人にとって他人に絡まれるのはよくある事みたいだ。
ラストのシーン、パトカーから出てくるのはロッドだ。
でもそこでローズが助けを求め、クリスの顔がこわばるのはなぜか。
監督は最初出てくるのは白人警官でクリスは殺されてしまうというエンディングを考えていた。
だから鹿を引いた後に白人警官に絡まれるシーンがある。
白人女性が黒人男性に襲われたと嘘をついて黒人が殺される事件は実際にあった。
だからこの最悪の終わり方はあり得ない話じゃないのが一番の恐怖だと思う。

備忘録

アンドレを誘拐する車とジョージナを轢く車が一緒。
少し古いスポーツカー?金持ちの白人が乗りそうな車。

頭脳は白人、体は黒人は白人方が頭が良くて、黒人は労働力っていう考え方が元?

ローズと父のオバマの下りが一致する事=何度も繰り返してる証拠、それ以外に言うことがない欺瞞の表れ。

黒人が黒人の話し方ができない。
関東で関西人に会ったのに関西弁じゃなかった時を思い出す。

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