困難を乗り越える「人生の再定義」

この前、久しぶりのyoutubeの「令和の虎」という番組を見ていた。この番組は、かつてテレビで放映されていた「マネーの虎」という番組を現代版で復刻したもので、時代の寵児である5人の社長だちに対して、志願者が実現したい未来を伝えてお金を勝ち取れるかという、エンタメ番組である。

かつて虎だった渡邊正都という飲食店業界の虎が志願者として現れる。
コロナ禍での緊急事態宣言で、彼が経営していた店舗が大打撃を受け、立ち行かなくなりそうとのことだった。

番組を見るに、虎としての彼はとてもフラットで言葉遣いも丁寧で、とても好感を持てる人物だ。
飲食店業界というだけあって、やはり接客もうまいのだろう。グレーのスーツを着こなして、笑顔を交えながら自分の意見を丁寧に語る姿がとても印象的だ。

その時の彼の口からは、コロナ禍でのリアルが述べられていた。

・億単位で資産が減っていく
・緊急事態宣言への対応自体がとても大変
・業界全体として、中価格帯の店は売上6割減。まさに私の店がど真ん中。
 厳しい×厳しい×厳しいという状態。

彼の店はちょうど設立10年。
「これまで10年で積み上げたものが、こんなことでなくなるのか」という言葉がとても印象的で、コロナという誰もが想定しえなかった大災害が与えた影響の大きさと、それに対して人事をすべて尽くしても対応できない姿のリアルを感じた。

大きな社会の流れにもまれて、どうしようもできない姿。この姿を見て、僕は山崎豊子の小説『沈まぬ太陽』の主人公、恩地を重ねてしまっていた。

彼のファンディング希望額は300万。目の前に座る虎たちにとってはたった300万、だろう。そして、それはかつての彼も同様だ。

覚悟を持って志願者の席に座る彼を見て、目の前の虎たちも「明日は我が身」で神経をとがらせ、想像を絶する困難を想像していた。そして、どのようにふるまうべきを、自分と彼の感情を整理しながら考えていた。

社長としてのプライドがある渡邊は、あくまでビジネスプランで正当に評価をしてほしいと述べるが、それに対して返した林社長の言葉に感動した。

「将来、自分に何かあったら助けてほしい。将来の自分への保険として、私は渡邊社長をなにがあっても助けます」

あくまでロジカルで相手の要望を叶えているが、その背景に林社長の強い意志が見える。カリスマ性を初めて感じた。

渡邊社長は最後にこう述べていた。

「今まさに自分の生き方が問われている」

「考えて考えて考えて答えが出なかったが、令和の虎に出るための一つ    の答えを見つけることができ、とてもすっきりしている」

今この瞬間を、人生のどんなタイミングとして位置付けるか。

これ問は、納得のいく人生を送りために必要不可欠だ。
苦しい時には目線を落として視野を狭めてしまうが、問を立てて人生を再定義することで、一気に視野が広がって意欲が湧いてくる。

そして、そのような苦しい時にこそ人の真価が発揮される。

「成長するには苦労が必要」という言葉は、その壁を実際に乗り越えた成功者バイアスがかかっているが、だからこそ価値がある。

苦しいこと当たった時、そこは必ず何らかのターニングポイントである。
泥臭く、必死に生きていく。




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