第2回 避難訓練に思うこと
●想定外にも対応できるか
先日、大阪北部で大きな地震が起こりました。
関係者の努力のおかげで復旧は進んでいますが、壊れた建物の修復には手つかずの地域もあるようです。余震が続くと心身の疲労も溜まっていきます。早く落ち着いた日常に戻れますように、心から祈っています。
私の住む愛知県は、南海トラフ地震が起こったら大きな被害が出ると予測されています。これはもう何十年も前から言われてきたことで、私が子どものころから「いつ地震が起きてもおかしくない状況だ」と言われていました。
幸いなことに東海地方では大地震はまだ起こっていませんが、23年前の阪神淡路大震災以降、東日本大震災や熊本地震、そして先日の大阪北部地震と全国あちこちで大きな地震が起きています。
そのたびに、「ここにもいつ地震がくるかわからない」と危機感を持ちますが、時間が経つにつれて危機感が薄れ、備えもついつい後回しになってしまいます。
そんな、頭の片隅にはあるけれども、あまり重要度を高く意識していない防災ですが、実際に被災された先生のお話しを伺っていると、ぐっと現実に引き戻された感じがします。そして、何ができるか、何が必要かを考えるきっかけになりました。
子どもが学校にいる間は、子どもの命は先生方に託されています。
いつだって、先生方は子どもの健康や安全を第一に考えていてくださっていますよね。ですから普段は、安心して子どもを学校へ通わせることができます。ありがたいことですね。
それでも、いざというとき、本当に子どもたちの命を守れることができるでしょうか。
つい先日、富山県で、小学校に拳銃を所持した男が侵入するという思いもよらない事件が発生しました。幸い児童や教職員に被害はありませんでしたが、まさかと思うようなことが実際に身近なところで起きてしまったことに、子どもも保護者も大きなショックを受けたことでしょう。
このようなまったく予期しない想定外のできごとにも対応していかなければならないのが、学校なのです。
●避難訓練の現状
緊急時の対応ということで連想するのは「避難訓練」です。
どこの学校でも「避難訓練」は行われています。きちんと計画を立てて、内容の検討をして、訓練後の評価もされていることと思います。
しかし大人たちが考えて実施しているのと同じように、子どもたちは避難訓練の意味を理解しているでしょうか。
大方の避難訓練は、地震発生時の対応を想定して行われます。
まず「今日は○時間目に避難訓練があります」という事前のお知らせがあり、その時間になったら校内放送が流れて、言われたとおりに机の下にもぐって、ぞろぞろと歩いて運動場に避難する、という決まった流れで行われる避難訓練は、子どもにとっては「やれと言われるからやる」行事の一つになってはいないでしょうか。
地震はもちろんですが、災害はいつ起こるかわかりません。みんなが教室にそろっているときに起きればいいですが、休み時間中かもしれませんし、給食中かもしれません。またプールでの授業中かもしれませんし、校外活動の最中に起きるかもしれません。
そうしたさまざまな状況を想定したとき、子どもたちが避難訓練のときのようにスムーズに動けるのだろうか…と不安になります。
●自分で判断して行動できる子どもに
そう考えると、大切なことは「子どもが自分で判断して行動できる」ではないかと思うのです。
まず自分の命を自分で守ること、そしてまわりの人と協力してできることを見つけること、自分のできることをやること…こうしたことを、子ども自身が考えられるようになる必要があるのではないでしょうか。
避難訓練のときは手順を理解させることにとどまらず、子どもたちに「自分の命を守るためにどうすればいいのか」を考えさせる機会にしてもらえるといいなと願っています。
そして、もし先生方がそうした活動に取り組んでくださっているのなら、それをぜひ保護者にもお知らせしていただけるといいですね。
先生方の取り組みのおかげで、防災が家庭での話題にもなりますし、親子で考える貴重な機会になるはずです。そうやって保護者も学んでいけるといいなと思っています。
(2018年6月)
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教育コラム「お母さんが見ている学校の風景」に込めた思い
子どもの教育に携わっているのは教師だけではありません。保護者も当事者として教育に関心を寄せています。先生方の中には、保護者対応を負担に感じている人も多いようですね。「教師と保護者は子育ての仲間」と考えているお母さんが見ている学校の風景を通じて、大人の在り方や協働を一緒に考えてみましょう。
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