実写【推しの子】映画を観終えて レビュー
この一ヶ月、実写【推しの子】に、心揺さぶられる日々を過ごした、まつこです。
アニメから見始めた、にわかファンです。
アニメももちろん良かったのですが、去年末に発表された実写のキャスト。人気作だけに、割と批判の声もあったり(仕方ないけど)
世間の声とは逆に、私自身気になってた俳優さんがキャスティングされて「これは期待できそう…!」と楽しみにしておりました。
11月末からAmazonプライムで配信された、8話分のドラマ。このクォリティがどの話も素晴らしくて…細かいところまでこだわって、原作に忠実だけど、展開は尺の都合上変えつつ、キャラは変えずに話が進んでいく。特に有馬かなを演じる、原菜乃華ちゃんの演技がたまらなく良くて。期待以上でした。ドラマは3回、観ました。好きなシーンは、5回は観た。
原作も、やっと完結を迎えた【推しの子】
原作との違いを比べながら、素直な今の感想を書きたいと思います!
※ネタバレ有、ネタバレOKなかたのみ、どうぞ!
▼ちなみにドラマ版の感想はこちら
大胆な構成に注目。旧B小町のライブシーンに感動
1話の冒頭にもあったけど、こんなガッツリとは流れなかった、アイをセンターとした旧B小町のライブシーンから始まる…!
これがもう映画館の大きなスクリーンで見ると、大迫力で!!そして、齋藤飛鳥が演じるアイのオーラが半端ない…
思わず見入ってしまうライブシーンだった。
そしてゴロー先生のモノローグ「この物語はフィクションだ」
これも忘れちゃいけない、大事なセリフ。
そして、ここから始まる物語。
ライブシーンが終わると、ゴロー先生とさりなちゃんのシーンへと場面が切り替わる。
さりなちゃんが家族からの愛を求めながらも報われず、ゴロー先生を慕っていたようすを丁寧に描かれていて。さりなちゃんが息絶えてしまうところは、原作よりもアニメよりも、ぐっと涙を誘ったように思う。
そして、衝撃のシーンへ。何度観てもこのシーンは、アイはもちろん、子役2人の演技が自然でつられて泣いてしまう。
その後はアイの幼少期、カミキヒカルとの出会いなど、原作にはないオリジナルシーンを交えつつ、原作一巻部分が丁寧に描かれていく。
でもこのオリジナルシーン、大事なんですよね。アイが愛を知らないから、愛を求めて、愛されるアイドルを嘘で塗り固めて、演じていたことがより浮き彫りになる。
アイドルしながら、子育てをする。泣きやまないルビーに声を荒げてしまうシーンも、なんだかリアルだった。アイの苦悩が伝わってきて、苦しくなってくる…
そして最期に「アイツのせいだ…」という憎しみがこもったようにも聞こえるセリフで息絶えるアイ。(原作にはなかったよね)
これを聞いていたからこそ、アクアは復讐にすべてを捧げるようになったんだ…と思って、ゾッとした。
映画「15年の嘘」復讐劇へ
前半はドラマ部分と重なるところもありながら、たっぷりアイの短すぎる人生をしっかりと描いた。後半は、アイを殺した真犯人、アクアとルビー双子の父親でもある、カミキヒカルへの復讐劇へと話が進んでいく。
映画「15年の嘘」で、自分がアイ役を演じたいと強くあかねちゃんに言い切る、ルビーの姿がすごくカッコよかった。
ドラマパートでは、割と印象が薄かったルビー。ゴロー先生をの死を知ってからの闇堕ちしてからは、ぐっと惹き込まれる部分があったものの、やはり有馬かなの印象が強く、「齊藤なぎさちゃんの演技もいいけど、やはり原菜乃華ちゃんに押されてるかなぁ…」と個人的には思っていた。
原菜乃華演じる有馬かな推しの私が、どんどん、なぎさちゃんのルビーに惹き込まれていった。
見た目はそこまで似ていると思わなかった、齋藤飛鳥となぎさちゃん。だけど、黒髪姿で演じるルビーは、演技力でアイに近づいていたように感じた。
回想シーンと思えば、映画のシーンを撮っていたりと、重ねるようにして物語が進んでいく。
ゴロー先生がアクアに転生していたとルビーが知るシーン、ここもすごくよかった。映像もすごく凝っていて、見せ方や演出もたまらなくいい。アクアとルビーの表情も良かった。思い出しながらうるっときてます。この作品を通して、櫻井海音くんも齊藤なぎさちゃんも大きく成長されたのではと感じた。
そしてそして!かなちゃんの卒コン、たまらなく良かった!「SHINING SONG」がたまらなく良い曲なのだ。今も聴きながらレビュー書いてるけど、涙が止まりません。
「この瞬間を生きる」「一番星がいつも私を導くよ、さぁ行こう未来へ」「自分自身の人生を歩んでいこう」
前向きな歌詞に心救われる。
そして傍でアクアが見守っていたのも嬉しかったし、会場を埋め尽くす白いサイリウム。
かなちゃんは、ちゃんとアイドルとして受け入れられてみんな応援していたよ。
セリフはないけれど、映像として観てすごく伝わるものがあって、かなちゃんファンとしてはすごくすごーーく嬉しかった。かなちゃんにもきっと伝わったよね。
楽しみにしていた、カミキヒカルとアクアの対立シーン。
カミキヒカルを演じる、二宮和也、たまらなく良かった。若手俳優さんも素晴らしかったけど、大画面で観るニノには、やはり敵わないと感じてしまった。短い出演シーンだったにも関わらず、目が離せなくなる説得力というか。
悲しいほどに狂気に満ちていて、この人は救えないと感じてしまった。
ルビーは、息絶えるアイが残した「全部アイツのせい」のセリフをどう演じるかすごく悩んでいたけど、「あなたを許す」と受け入れる温もりのある愛の言葉として演じた。でも、この解釈はおそらくまちがってなかったんじゃないのかな。きっとカミキヒカルを憎みながらアイは亡くなってないのでは、と。(でもそれはカミキにはもう伝わらないことがすごく悲しい…)
「ただ元気に生きてほしい、それが母の願いです」というセリフ。母の愛がこもった、あったかい言葉。
そこでアクアがやっと救われて、憑き物が落ちたように穏やかな表情になって。
その心の流れも自然で、原作とは違うアクア生存ルートに進んだのでは?と期待で胸が震えた。(カミキをアクアたちが許す流れは原作でもあるけど)
けど、その期待も虚しく、裏切られる。
カミキヒカルを許したアクアの心をズタズタにする。ルビーを攫い、目の前で最愛の妹を殺そうとするカミキヒカル。自分も刺されてしまい(刺したのは、旧B小町のニノ?)助からないかもしれない。それならば、今できることは。妹を守るために、事故と見せかけてカミキと一緒に海に落ちていく。その流れは自然だけど、悲しくて悲しくて、アクアの人生ってなんだったのかと思えば思うほど悲しくて。
ちなみに、刺されたままどんだけの距離をアクアは歩いたのか気になりますが…カミキは車でビュンっと走ってたからそれなりの距離はあったよね??致命傷はさけて刺すという指示を指した女性は受けてたのか?というツッコミはありますが…苦笑
とにかく。原作どおりの展開に、逆に驚いた。原作が完結したのはつい先月。撮影は約1年前。きちんと原作と協力して、物語の結末を知ったうえでの脚本だったことにも改めて驚かされた。いや、そうだと知ってたけど、なかなかそんなこと、なくない?未完の原作だと、オリジナル結末だったりするから。この実写化プロジェクトは2年前から始まって、きちんとみんなが手を取り合って作られた作品だったんだなと改めてカンジさせられた。
けどけど、櫻井くんが演じるアクアファンとしては、喪失感半端なくて「やだーーーーっ!」と心のなかで叫びました。(つまり結末に納得できなかった)
でも、この物語にそれだけのめりこんでしまったということ。
ゴロー先生がこの映画の冒頭に「この物語はフィクションだ」って言ってたのに。フィクションと思いながら鑑賞できたら、とても良い作品なのだ。フィクションと思わずに、ドラマ版でのめり込んでしまってから観ると、私のような感情を抱くかもしれません。ご注意ください…泣。
おわりに
原作の最初と最後の部分をぎゅっと詰め込んだ構成だった。そのため、アクアとルビーの成長やB小町の結成や恋愛部分の面白いところはドラマで楽しんでほしいです…!
ドラマ版は、アクアを中心とした青春群像劇もありつつ、芸能界の裏側にもせまった光と闇
映画版は、アイを中心とした家族の愛を描く復讐劇の結末
そんなカンジなので、メリハリつけて鑑賞できたらいいのかな。
映画では、アイにスポットライトを強くあてて、スッキリと見やすい構成に。
アイはカミキヒカルを愛していたというよりは、悲しいくらいに似たところもあった2人が寄り添い、子供ができてすれ違い。けど、傍で子育てをしながら愛を育んだアイと、裏切られたと思いながら心のなかにぽっかりと穴があいたまま生きてきたカミキヒカルは、交わらない。永遠に平行線だということも感じて、すごく切なくなった。
気になって調べたところ『アクアマリン』は、ラテン語の「海の水」を語源に持つとのこと。アクアマリンの石言葉は「幸福・富・聡明」。
アクアが海に落ちていく最期は、やはり最初から考えられたシナリオだったんだろうか…悲しいし納得できないけど。
ちなみに、『ルビー』は古代より「勝利を呼ぶ石」といわれ、あらゆる危険や災難から持ち主の身を守り、困難を打破して、勝利へと導くパワーがあるとか。適当につけた名前のようで、そこにも意味や愛があったのかもなぁ。
そうそう。アニメ1期のEDもアクアが海の中で漂ってるものね…これも最期を知ったうえで作られた映像なのかな、ものすごいな【推しの子】プロジェクト。
最期に期待しすぎたため、なんでだよーー!って少しだけ裏切られたように、私は思ってしまったのですが、作品として、実写化として、素晴らしい映画になっています。愛しかないよ、この作品。
2回目は観ないかも…と思ったけど、やはりもう1回は映画見に行こうかなとも思ってます。
結局…僕はどうしようもないほど君の奴隷(ファン)だ(byゴロー先生)
悔しいけどさ!!笑
次は、この物語はフィクションと思って、俯瞰して隅々まで落ち着いた気持ちで観たいと思います。
最後まで、ながーーいレビュー(という名の感想)にお付き合いいただき、ありがとうございました!!
おまけ。
推しの子ファンがプロデューサーにインタビューした特集記事(とっても良かった)↓
映画見たあとだと泣けて仕方ない「ドキュメンタリーオブB小町」↓
なぎさちゃんをよしよしする原菜乃華ちゃん。ガチでルビーとかなちゃんみたいで泣きそうになった。
実写化の重圧を感じながらもがんばってた俳優さんたちみんなに大拍手したい。
ぜったいに観てほしい。