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スマート農業というビッグウェーブ

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プロフィールに記載の通り、農業関係の仕事に従事しているので、たまには農業の話でも。


最近農業界隈で何かと話題の「スマート農業」に関するお話です。


いつからか「スマート農業」という単語が出現し、今となっては農家さんで知らない人の方が少ないと思います。

スマート農業って何ぞやという方は↓

ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、省力化・精密化や高品質生産を実現する等を推進している新たな農業のことです。
日本の農業の現場では、依然として人手に頼る作業や熟練者でなければできない作業が多く、省力化、人手の確保、負担の軽減が重要な課題となっています。

農林水産省より一部抜粋


この記事では、私なりに感じたことなどを書いてみたいと思います。



日本の農業が抱える問題点


はじめに、私が感じている問題点を挙げていきたいと思います。


①高齢化などによる担い手不足(農業従事者の減少)


どのメディアでも話題になっているので、ご存じの方も多いでしょう。


要因の一例として下記のことが考えられます。

高齢により作業が出来なくなり離農。
実家が農家でも後を継がない、継げない。
少子化による人材不足。

農業従事者の平均年齢が、令和4年で 68.4歳 となっており、誰か見ても高齢化が深刻化していることがわかります。


普通に考えれば、後継ぎを取ればいいじゃないかという話になります。


そもそもですが、農業自体が一部を除いて経営が苦しいというのが現状。


今のご時世では、肥料代や燃料費の高騰などがさらに拍車をかけています。


それをわかっていて、後継ぎを取らない方も一定数いるそうです。


子供たちにも「後を継がなくていい」と言っているかもしれませんね。


さらには少子化による人材不足も重なり、担い手不足問題が各地で勃発しているわけです。



②耕作放棄地


耕作放棄地とは、簡単に言えば作物が作られていない土地のことを指します。


先程と同様に、高齢化や担い手がいないことによって、作付けできなくなってしまい、耕作を放棄せざるを得ないのです。


相続により、農地を所有している非農家さんもいますし、農地転用せずにそのまま所有している場合もあります。


加えて、相続後にありがちなのが地主不在のパターンです。


草刈りなどの維持管理のために来てくれればいいんですが、なかなかそうはいかないですね。


関東圏に住んでいて、草刈りのために東北に来るなんて、私も考えたくないです。


農地の近隣住民の方にお金を払って、維持管理をお願いする場合もあるようですが、近隣住民も高齢だと詰みです。


土地を貸して欲しいと言われるケースもありますが、立地や農地の状態が良くなければ本当にまれです。


作付けされないまま放置されていると、農地として使えるように戻すのは絶望的です。


さらに、荒れたままにしておくと病害虫が発生しやすくなりますし、景観も損なわれてしまいます。


つまりは周辺地域一体に悪影響を及ぼすことになるのです。



③新規就農するまで大変


まずは耕作するための農地が必要ですが、手に入れるって言ってもめちゃくちゃハードルが高いんです。


あまり知られていないかもしれませんが、宅地とかと違って農地は基本的に農家しか買えないんですよ。


あくまでも基本であって、農家以外の方が絶対買えないわけではありません。


もし買えないと、新規就農者がいなくなっちゃいますから。


農地法に沿って条件をクリアし、農業委員会の許可を得れば農地を買うことができます。


ざっくりと条件には、営農計画を示しなさいとか、経営面積は〇〇アール以上じゃなきゃダメだよとかがあって、そんな感じのことを満たす必要があります。


お金を払えば買えるとかいう話じゃないんですよね。


農地の準備だけでもこんなに手間がかかるのに、それに加えて道具や機械の導入も必要です。


農業用機械の価格ときたら高いのなんのって。


トラクター1台でこんなにするの!?ってなります。
それにアタッチメントとか維持費とか諸々入ってきます。


あとは作物にもよりますが、水利権の話も絡んできますし、できた作物を売るにも販路も確立しないといけませんし・・・。


それに苗や肥料の購入や肥料代など、とにかくハードルが高すぎです。


どうする?


①~③まで全て書いてもいいのですが、今回は「スマート農業」の話なので①について考えてみました。


高齢化などによる担い手不足(農業従事者の減少)を少しでも解消するために、「スマート農業」というものが発展してきています。


が、担い手不足解消以外にも、省力化により現在農業に従事している方が少しでも長く働けることにも一役買っています。

例)
自動操舵トラクター(ロボットトラクター)
水田の水管理システム(遠隔監視装置)
作業の自動化(温度調節、収穫物の仕分け等)

上記例をうまく活用することにより、高齢化や担い手(後継者)不足であっても、作業負担の軽減が見込めます。


さらに言えば、耕作面積の拡大すら見えてきます。


また、省力化により場合によっては80~90歳まで耕作が可能になるかもしれません。


そうすれば、自分の子ども世代は後を継がなかった場合でも、孫世代までカバーすることができるのではないかと私は思います。



ここまでは、スマート農業を導入できればの話です。



③でお話しましたが、農業関連の機械設備は基本的に高価なものが多いです。


イニシャルコストが高い、つまり金銭的なリスクが高いので簡単に「よし買おう!」とはならないわけですね。


農業始めるぞと言って最初から導入する方は少ないと思いますが、手を出しづらいことは確かです。


上述したとおり、経営が苦しい場合が多いのに加え、高齢の方が多いので導入のメリットや使い方がよくわからないというのもあると思います。


しかしながら、自動操舵トラクターなどはまだ高いのですが、水管理や気温、湿度を遠隔監視するような機器は比較的安価になってきている傾向が見られます。


最近よく耳にするのが、「farmo(ファーモ)」です。


水位を確認するために圃場に行ったり、ハウスの温度や湿度を確認したりする手間を大幅に削減することができるそうです。


データの蓄積も出来るらしいので、次に活かすこともできますね。


すいません。最近気になっている機器だったので話が逸れました。


結局のところ、自動操舵トラクターだったりアシストスーツだったりを導入できなければ、どうしようもないと思っていました。



ですが!


最近になって、利用可能な国の補助事業も出揃って来ているため、以前よりスマート農業の導入に積極的な地域もあります


我が東北地方でも、補助事業を使って何十台という自動操舵システムを導入したり、自動操舵を利用するのに必須なRTK-GPS基地局を設置したりと盛り上がりを見せております。(一部地域ですが)


導入には、農地耕作条件改善事業が活用されているそうです。


国からの補助が50%、それに県や市からも補助出ると仮定すれば、かなりの負担額を減らせます。


申請するには様々な条件があるので、全ての農家が対象ではありませんが、このような補助事業によりスマート農業が普及していけば、担い手不足の解消や高齢作業者の省力化に繋げることができるのではないでしょうか。


もちろん、使い方の指導までセットじゃないとダメですけどね。


今後は?


パソコンやスマートフォンなどと同じく、普及すればするほど単価が安くなる傾向はあると思うので、農家の方々にはスマート農業の積極的な導入を、機器を開発している方々には普及してきた際にはコスト面でのご協力をお願いしたいですね。


参考までに、田んぼの水位を遠隔確認できる機器(水田farmo)を使っている方に話を聞いたことがあるのでメリットをご紹介。

どこにいても確認できる安心感がある。
確認を忘れていた場合でも、異常水位時の通報機能がある。
他の仕事に取り組むことができる。
                             など


それから熟練農家さんの技術を分析し、新規就農者などに継承もできるようになってきているとのことで、担い手不足解消に大きな一歩を踏み出しています。


誰でも農業に参入できる時代がもうそこまで来ているかもしれませんね。





P.S.


現在国では田んぼを畑地化するよう促進しているようです↓


畑地化促進事業


食の多様化や人口減少などにより、米の需要が年々減少しているので米作るのやめて畑(野菜や麦など)にしてくれーってことですね。


でも、一回畑にしちゃうと、田んぼに戻すのって難しいんです。


なぜなら田んぼは地面の下に堅い層を作って水を貯めるようになっているのですが、それを畑にしようとすると、水はけが良くないとダメなので堅い層を破壊するんです。


そしてそれをまた畑から田んぼに戻しますって日には、表面の土を削って、堅い層を作り直す必要が出てきます。


つまり、田んぼに戻すのがほぼ不可能な状態になるので、米の需要減少の対策としてこの事業を進めたいみたいです。




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