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『ねこふんじゃった』は簡単か?


今回の部員日記は、経済学部3年の松川雄大が担当させていただきます。


1.超有名曲『ねこふんじゃった』


『ねこふんじゃった』


この曲を知らない人はいませんよね。ピアノを弾かない人も、この曲だけは弾けるというという人もいると思います。今の小学生も、低学年の子が電子オルガンの前に立ったら弾き始めるのはだいたいこの曲で、どれだけ速いテンポで弾けるかを競い合ったり、独自のアレンジを加えてみたりなど、演奏に対する自由度が非常に高い曲でもあります。全国の小学校で何回ねこが踏んづけられているのかと思うと、少々気の毒ですね。

この曲は作曲者不詳で発祥地すら分かっていませんが、なぜか世界中で親しまれていて、国や地域ごとに様々な歌詞や曲名が付けられています。曲名にねこが含まれているのは日本のほか、韓国・台湾・ルーマニア・ブルガリア・フィンランドなどがあります。

(以下Wikipediaから抜粋)
・ねこふんじゃった(日本)
・ねこのマーチ(ブルガリア)
・猫の踊り(韓国)
・子猫之舞(台湾)
・黒猫のダンス(ルーマニア)
・猫のポルカ(フィンランド)
・犬のワルツ(ロシア)
・犬のポルカ(チリ)
・ノミのワルツ(ドイツ、ベルギー)
・ノミのマーチ(オランダ、ルクセンブルク)
・アヒルの子たち(キューバ)
・三羽の子アヒル(キューバ)
・ロバのマーチ(ハンガリー)
・お猿さん(メキシコ)
・Kalle Johannson (スウェーデン)
・トトトの歌(イギリス、アメリカ)
・カツレツ(フランス)
・チョコレート(スペイン)
・公爵夫人(デンマーク)
・三女の足(デンマーク)
・道化師ポルカ(アルゼンチン)
・追い出しポルカ(マジョルカ島)
・箸 -Chopsticks-(イギリス、アメリカ、カナダ、ハンガリー)
・黒のメロディー(ユーゴスラビア)
・サーカスソング(イギリス、アメリカ、カナダ)
・泥棒行進曲(中国)

猫踏んじゃった:Wikipediaより

これを見るとわかりますが、猫のほかにも、犬・ノミ・アヒル・ロバ・猿など様々な動物が曲名になっていたり、中国は”泥棒”、デンマークは”公爵夫人”、ほかにも”チョコレート”や”Chopsticks”、スウェーデンに至っては”Kalle Johannson”とかいうよくわからん人の名前がそのまま曲名になっています。
なぜ日本は「ねこ」で、しかもなぜ「ふんづけ」られているのかは分かりません。ちなみに日本語の歌詞もいくつかバージョンがあります。



2. 『ねこふんじゃった』は難しい楽譜


ここまで聞くと、誰でも弾けそうで有名な『ねこふんじゃった』は、”簡単な曲” かのように思えますが、ここで楽譜を見ていきたいと思います。

画像1

気づきましたでしょうか?

楽譜の左端部分の調号を見てください。『ねこふんじゃった』はフラットが6つもつく、変ト長調の曲です。おそろしく譜読み(楽譜の音符を見て実際に弾く作業)に疲れる曲です。左のほうに調号(シミラレソドのフラット)がまとまってしまっていますが、例えばこの画像内の音符だけで言えば、80音中68音にフラットがつくことになります。こんなん弾きたくないです、フラット多すぎて。

「簡単」で有名な曲、たとえば『メリーさんのひつじ』ハ長調です。すなわちフラットもシャープも登場しない、全て白鍵の曲です。そもそもピアノを始めて間もない人が習うレッスン本には、「フラット」や「シャープ」といった余計な追加オプションはありません。なぜなら鍵盤をしっかり弾いて、曲を奏でられるようになることが第一目標だからです。 

では、『ねこふんじゃった』は小さい子たちが習う本に載っているのでしょうか?


答えはノーです。


先述した通り、フラットが6つもある曲を掲載するわけがありません。なぜなら譜読みが難しすぎるからです。

それなのになぜ、いろんな人が『ねこふんじゃった』を弾けてしまうのでしょうか?



3. 『ねこふんじゃった』の構成は簡単


それは『ねこふんじゃった』の構成が簡単だからです。
なぜ簡単かを以下にタラタラと説明します。

まず、この曲は4部構成になっています。
「ABCD」と分けられるうち、最初のAと最後のDは全く同じメロディーなので、「ABCA」と表せます。次にAとBについて、Aが下降→上昇進行なのに対し、Bは上昇→下降進行と、鏡のような構成です。なので実質「A[A]CA」と表せます。またCに関しても、Cの前半はAを簡単にしたメロディーで後半が順次進行の単音なのでAに簡単なアレンジをした構成となります。つまり、『ねこふんじゃった』は「A[A]ĀA」と表せることが分かります。
つまり、最初のメロディー(A)さえ弾けてしまえば、4部構成すべて弾けたも同然なのです。

しかし、重要なことを忘れています。この曲は、フラット6つを擁する激ダル曲なのです。小学生は如何にしてこの難易度の高い(笑)曲を弾きこなすのでしょうか。



4. 『ねこふんじゃった』は見れば弾ける


この曲のすごいところは、「フラットが6つ付くゆえの規則性がある」というところです。文字で説明しようとすると、理解度が30%くらいになると思いますが、

要するに
「視覚的に簡単なので、この位置の音符を弾いていれば良いと覚えてしまう」・「曲構成が、順番に隣の音を弾いて上がったり下がったりするだけ(順次進行)で楽勝」という2つの要素があるので、弾いてる様子を見ていればそのうち覚えてしまうのが『ねこふんじゃった』なのです。たしかに「ソラシドレミファ」の音階でド以外はすべてフラットが付きますが、そんなのは関係なく「見ていれば覚えちゃう」のがこの曲です。

百聞は一見に何とかというので、[こちらの動画を見れば何を言っているのか、すぐわかると思います。



5. 『ねこふんじゃった』は簡単か。


簡単です。


ただし楽譜をみて弾けるようになった人は、聞いたことがありません。人が弾いているところを見たり、教えてもらったりして、弾けるようになる曲です。すなわち、先の動画のコメント欄にも書いてある通り、この曲自体が「思い出」であるという人は、世の中に多くいるのではないでしょうか。


今からでも遅くありません、この曲を弾いてみてください。あの頃誰かが弾いてたこの曲を、自分の手で奏でることができます。




ここまでお読みいただきありがとうございました。

最後に、お気に入りの『ねこふんじゃった』の動画を記して、このnoteの締めとします。この動画は1分45秒です。すぐ終わるので、見てみてください。いい動画です。


『猫ふんじゃった(超能力ver)』

猫ふんじゃった(超能力ver)


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