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ブランディングとマーケティングの違い

よく受ける質問の一つとして、ブランディングとマーケティングって何が違うんですか?という質問があります。

もちろん領域的には近いところとかかぶるところもあるかもしれませんが、同じ意味ではないので、その違いを少しまとめてみたいと思います。

ブランドとかブランディングは、前に書いた(ブランドって何なのか?)ように、「他者と差別化するための名前やシンボルとそこに結びついたイメージや価値の資産」だとすると、一方のマーケティングとはそもそも何でしょうか。

「マーケティングとは、製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経営上のプロセスである」(コトラー&ケラー)

「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・流通・交換するための活動、一連の制度、プロセスである。」(米国マーケティング協会)

この定義を見ると、「プロセス」ということが強調されていると思います。ドラッカーはこのように言っています。

「マーケティングの狙いはセリング(売る行為)を不要にすることだ。マーケティングの狙いは顧客を知り尽くし、理解し尽くして、製品やサービスが顧客にぴったりと合うものになり、ひとりでに売れるようにすることである」(ドラッカー)

ここでは、「顧客をよく知って理解する」ということが強調されています。さらに、もう一つ定義を見ると、このようなものもありました。

「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。」(日本マーケティング協会、1990年 )

やはりここでも「顧客の理解」と市場創造のための「総合的な活動」というのが挙げられています。

私たちのようなマーケターがマーケティングのプロセスというと、一般的にこのような伝統的な流れが頭に浮かぶと思います。

リサーチ→STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)→マーケティングミックス戦略(4P:製品・サービス、価格、流通・チャネル、プロモーション)→実行→効果測定・チェック

ざっくりと言って、リサーチ→分析→戦略策定→実行→効果検証というようなフローを多くの人がマーケティングといえば想起するでしょう。

そう言った意味で、マーケティングはプロセスであるし、分析フェーズでも顧客を理解することというのはとても重要になります。

このように考えると、マーケティングは顧客理解を中心としたプロセスであるし、短期的な取り組みにつながるものが多いかもしれません。どうやって商品やサービスを販促するか、売り上げを伸ばせるか、そのための分析や実行が主にカバーする領域でしょう。

それと比べると、ブランディングは、短期的に特定商品を売るための活動というよりも、中長期的にブランドを好きになってもらうための総合的な活動といえるでしょう。ブランドの価値や信念(ブランドのWhy:後日後述します)を明確にして伝えていく。自分たちの存在目的はこういうことで、だからこういう商品やサービスを提供しているので、良かったら好きになってください。というアプローチです。そう言った意味では、マーケティングが顧客視点なのに対して、ブランディングは自社の存在目的起点と言えるかもしれません。

総合的な活動というのは、お客さん向けにやるだけではなくて、従業員など会内に向けても重要な活動になるからです。自分が働いている会社のブランディングがよいと、従業員のエンゲージメントも上がります。

簡単にまとめてみると、

マーケティング:短期〜中期、販売促進、顧客理解起点、対外活動

ブランディング:中期〜長期、付加価値、自社の存在目的(パーパス、Why)起点、対外対内活動

他にもありますが、マーケティングとブランディングには主にはこのような違いがあるとまとめられます。詳細についてはまた別の章で詳しく解説していきたいと思います。

(つづく)


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