見出し画像

【古き良き日本の夏を旅する#3】島根県/石見地方

島根は自然と人が共に暮らし、文化が生まれ、歴史が刻まれきた土地。有名な観光地とは少し違うこの県で、何気ない人の暮らしや息づかいから、忘れかけていた「何か」が見つかるかもしれません。



時代とともに歩む温泉街

画像1

(写真)温泉津の町並み 参照元:島根県観光連盟


国道9号線を東から西へ車を走らせ大田市街を超えると、右手に「温泉津温泉」という大きな看板が見えてきます。一瞬、目を疑いますが「温泉がある」ということは誰しも察しがつくでしょう。「温泉津」は「ゆのつ」と読み「温泉」と、港という意味をもつ「津」が組み合わさった名称。文字通り、温泉が湧き出る港町です。温泉津の北西に位置する沖泊港は、かつて石見銀山の積出港で、その頃の温泉街は人が賑わい、栄えていたそうです。


画像2

(写真)温泉津港 参照元:島根県観光連盟


看板を右に曲がり進むと、温泉津港が見えてきました。この港では春になるとワカメ干しの風情が見られます。それを乾燥させたものが名物「板わかめ」になるのです。天然の塩味にパリパリの食感が特徴で、軽く揉んでご飯に上にまぶして食べると最高。お土産には鉄板商品です。


懐かしい佇まいに心も和む時間旅行

車を停めて温泉街を歩きます。港町ならではの細道には、理髪店の古びた赤青白のサインポール、せんべい屋には昔ながらの手焼き機械が窓ガラス越しに見え、懐かしい昭和の風情が見られます。温泉饅頭屋や骨董品が並ぶお土産店もあれば、おしゃれなカフェなども。ぶらり歩きにちょうどよい温泉街です。町中にある龍御前神社は海上安全を司る神社。その裏山を階段伝いに上ると、温泉街を一望することができます。夏の日差しで赤い石州瓦の屋根がキラキラ光り、道ゆく人や港に入る船など、昔と変わらぬ景色から人々の息づかいが伝わってきます。

画像3

(写真)温泉津の町並み 参照元:島根県観光連盟


そして楽しみは、やはり「温泉」。外湯は2カ所。1300年前から湧き出ている「元湯」と島根で唯一「オール5」を認定された「薬師湯」があります。湯温は45度を超えているので少し熱め。褐色で湯の花が浮かぶ源泉かけ流し。まさしく大地からの恵みです。夏にも関わらず地元の人や常連で賑わうのは、昔から「薬湯」で知られているからでしょう。


体が温もり、心もほっこりしたところで、世界遺産石見銀山へ向かいます。銀を掘り起こした間歩がある銀山柵内はもちろん、代官所や商家、鉱夫たちの生活の場であった大森の町、そしてここ温泉津地区も世界遺産の範囲に含まれています。昔からこの地に住む人々は、豊かな自然から生まれた貴重な産物とともに暮らしてきたことが町を見もて伺えます。銀と、海と、そして温泉とともに―。

スクリーンショット 2020-07-23 14.02.24

(写真)大森の町並み 参照元:島根県観光連盟

スクリーンショット 2020-07-23 14.02.42

(写真)龍源寺間歩 参照元:島根県観光連盟


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?