「これだけ押さえて!」営業・広報担当や中小企業経営者に伝えたい、上手な映像制作発注のポイント5選
最近「Macの予測変換機能」に、もて遊ばれている松梅です。
↑この文章も「まつうめです」と入力したら、「ぽぽです」と予測変換されました。誰ですか、ぽぽって。
そんなぽぽ…じゃなく松梅が、この記事でお伝えしたいこと。
それは、映像制作者の立場として
「嬉しかったぁこの依頼。作業しやすかったし、ありがたい!」
「これは酷い。萎えて気が乗らなかったよ、この依頼。」
こんな「良い発注」「悪い発注」について、まとめていこうと思います。
クリエイターも人間です。そのうちAIに置き換わるまでは、人間です。
人間同士の付き合いである以上、信頼関係は超重要ですよね。
そこでこの記事では、フリーランスのクリエイター目線で感じる、クライアントの「良い発注」と「悪い発注」について、「神対応」と「塩対応」に分けてお伝えできればと思います。
「そろそろ動画コンテンツを用意した方が良いのでは?」と感じている中小企業の経営者
「PR動画やブランディング動画などがあれば営業が楽になるな」と感じている営業担当者・人事担当者
「会社で映像制作を内製化することになったけど、手が回らないから発注したい」と考える広報担当者
このような人たちが見て「映像制作を依頼する時に、役に立つかも?」という内容になるよう、まとめていきます。
フリーランス目線で感じる良いクライアントの発注をまとめると、以下の通りです。
クライアントの主観だけで良し悪しを判断しない、クリエイターの意見を尊重して否定しない。
動画サンプルやビジュアルイメージを共有してくれる。
時間を守り、報連相が早い。
編集作業だけが作業時間だと思っていない。
クライアントの都合を最優先して、横柄な態度にならない。要望ばかりを伝えない。
それでは詳しく説明していきます。
※あくまでいち個人、いちフリーランスの意見です。クリエイター全般の意見ではないため参考程度でご覧ください。
こんなクライアントだと「嬉しい!」3選|神対応
はじめに、「こんな感じの対応をしてくれるクライアントは、ものすごくつくりやすい!」というクライアントの神対応を3つ厳選してお伝えします。
クリエイターに対して敬意がある
ちょっと抽象的ではありますが、クライアントとのやりとりで言葉の端々に「敬意」を感じることがあります。
そんな場合は作業が捗ることが多いです。
これは「丁寧な言葉遣いで接してくれる」という意味だけではありません。
そもそもビジネス上のやりとりだと、「お世話になっています。」「何卒よろしくお願いいたします。」と言ったように、丁寧な言葉で接しますからね。言いたいのはこういった「マナーレベル」の話では無いです。
クライアント側の「主観」を、押し付けすぎない
クリエイター側の「意見」や「考え」を、否定しない
こんな感じで、クリエイターに対してリスペクトがある(と感じられる)言動とでも言いましょうか。
お互いにより良いものを作り上げていこうとしている、という雰囲気をクライアントの言動によって感じることがあります。
ポイントは「お互い」です。
クリエイターとしても(クライアントワークを行う以上)、クライアントがすでに持っているイメージを具現化した作品を作ろうと、必死に言葉を紡いだり、傾聴力や提案力を生かして、やりとりをしていきます。
中にはクリエイターが勝手に解釈して、クライアントの意向を全無視した、「クリエイターの作りたいものを勝手に作っちゃう暴走クリエイター」も実際にいるので、「どこまでクリエイターを尊重するのか」の塩梅や線引きは難しいですけどね。
(私も発注者側として暴走クリエイターに遭遇した経験があります。)
いずれにせよ、
クライアント側に「譲れないポイント」が明確あるけど、それ以外はクリエイターを信用して任してくれる。
クリエイターの言動に対して、クライアントの主観のみで良い・悪いを決めていない。
このようなやりとりがあると、クリエイターとしては神対応に感じます。
動画サンプルやビジュアルイメージを共有してくれる
次はもう少し具体的なものです。
「テキスト」ベースでのやり取りは言わずもがな、「オンライン」ミーティングでも「動画サンプル」や「ビジュアルイメージ」を共有されている方が、作業はかなり捗ります。
お互いの頭の中にあるイメージは、言葉や文字だけでは共有しきれないことが多いです。
百聞は一見にしかず、まさにその通りです。
クライアントとクリエイターは別の価値観・環境で生きてきた人間です。
とある芸能人によれば、白は200色あり、黒に至っては300色もあるらしいです。それが正しいなら、お互いを持ち寄らせてつくるグレーなんて、60,000色になってしまいますね。
お互いのイメージを持ち寄って「作品」にしていくわけですから、(60,000通りとは思いませんが)出来上がりはかなり幅が出てきます。
クライアントワークをやっているクリエイターとして一番残念なのは、クライアントの期待以下の作品になってしまうこと。
「最低でも期待通りに作りたい!できれば期待以上のクオリティで作品を仕上げていきたい。」と考えているクリエイターにとって、期待を越えられないのはかなりの痛みを伴います。
評価される立場ですからね。クリエイターって。期待以下の「とりあえず作りましたよ」レベルと同じだと、先がないわけです。
評価が悪ければ次は無いし、悪い評価や評判も一生ついてしまいます。
「こんな感じで」と、ビジュアルイメージの資料やサンプル動画を見せていただけると、お互いが持っているイメージに齟齬が生じないため、完成までのあらゆる無駄が減ります。
その結果、最低でも期待通りの作品が出来上がり、ものによってはサンプルを超える期待以上の作品が仕上がることが多いです。
ここで少し余談です。
たまに「サンプルの提示は、クリエイター側の仕事でしょ?こっちはわからないんだから。」と感じる(言動から見て取れる)クライアントがいます。
しかしそういう人に限って、こだわりが強く、実は初めからイメージがあった、なんてことが結構あります。
「先に言っとけよ。その要件…。」
「俺はお前の便利屋じゃねぇぞ。」
マジでこんな風に感じることがあります。
「くれくれ君」「してもらって当たり前勢」なんかに多いのかもしれません。
お互いの時間を無駄にしないためにも、動画サンプルやビジュアルイメージをあらかじめ提示いただけると、非常にスムーズに作業ができるなと感じます。
贅沢を言えば、そのサンプルの
「雰囲気やコンセプト(トンマナ)」
「流れ」
「キャラクター」
「構図」
「色味」
「世界観」
「演出・表現」
などなど、サンプル資料の具体的に「どの部分が」イメージと合っているのかを添えて共有してもらえると、クリエイター側としては非常に助かるなという印象です。
時間を守り、報連相が早い
最後は、作品を作る作らないに関係ないかもしれませんが、やはり「時間を守ってくれる」「報連相が早くて正確」というクライアントは、作業が捗ります。
クライアントは通常業務をこなしながらの発注になることが多いため、オーバーワークだし、動画制作に割ける時間が初めから少ないことはこちらとしても知っています。百も承知です。
ただし(繰り返しになりますが)、クリエイターも人間です。
同じように時間は有限です。
大事なことなので、もう一度言います。
時間は有限です。
そのことをきちんと理解されているクライアントは、必ず時間を守ってくれます。報連相も早いです。
別に、即レスしてくれと言っているわけでなく、返信やリアクションまでに2日も3日も放置することがないという意味です。
制作途中に限らず、検収作業が遅いクライアントも多くいる中、納品してからの社内・上長のチェックや、締め作業(請求・評価)が早いクライアントは、最後いい気分で業務を終えることができるので、温かい気持ちになります。
ただし「時間を守る」というのは、クリエイターにも言えることなので、私も気をつけなくてはいけないですね。
お互いに、忙しくてすぐに対応できない場合は、最低限「遅くとも〇〇日までには提出します。」というように、簡易的なスケジュール感を共有することを心がけようと思います。
こんなクライアントだと萎えてしまう…2選|塩対応
ここからは反対に、「あまり気乗りしないなー。」と感じてしまうクライアントの特徴や言動です。
すでに発表した「神対応」に書かれていることの反対…となるわけですが、そんな中でも特に「対応するのが嫌だな…。」と感じてしまうものを集めました。
それぞれクライアントたちにも事情や背景があるでしょうし、たまたまその日が「虫の居どころが悪かった日」の可能性もあるでしょう。
それでも「こんな発注が来たら気乗りしないなー。」「あぁ萎えるわー。」と感じてしまう、クライアントたちの発注の仕方や言動について、まとめていこうと思います。
「編集作業」だけが「作業時間」だと思っているクライアント
大手や中堅の映像制作会社と違い、末端フリーランスにくる映像制作依頼は、かなりの頻度で「急ぎ」案件が多いです。
フリーランスが大手や中堅と勝負できるのは、「時間」と「コスト」ですからね。仕方がありません。
だからでしょうか。
「とりあえずできたら見せて!」「いつできる?」と、クライアント都合で聞かれることも結構あります。
百歩譲って急ぎ案件は(追加費用をいただくし)良いのですが、クライアント都合のみで発注してくる人の多くは「編集している時間」だけが「作業時間」だと考えているのかな?と感じてしまう言動が多いです。
ピカソは、紙ナプキン(か何か)に30秒で描いた絵を手渡す時、高額な値段を提示して、「これを描くまでに30年と30秒かかっていますから。」と伝えたそうです。
(この逸話は、出典が不明のため都市伝説の可能性が高いらしいですが。)
ドラゴンクエストのあの有名な曲も、(諸事情が重なって)5分でできたと言われていますが、作曲家は「そこまでに至った作曲家としての55年があったからこそ5分でできました。」と話されています。
この2つの例え話はともに「目先の作業時間だけにとらわれない」ということを考えるのに、非常にいい例だと思っています。
末端フリーランスの作業を、こんな偉大な人たちや作品たちと比べることは憚れますが、すべてのものづくりは、実際に手を動かしている時間以外の時間の方が長いと考えています。
私の作業環境だけで言っても
今回作りたいもののイメージに合うようなデザイン・構図・方向性を調べたり、参考にしたりする。
方向性が決まったら、それに合う(動画で使用する予定の)素材選び・素材準備
ナレーションが必要なら、ナレーション原稿も作成
それらをクライアントと共有するために、絵コンテ作成
絵コンテを叩き台として、修正・変更作業
構成が確定したら、映像制作
初稿の映像を見て、修正・変更
納品(検収)
このような流れをとりますが、残念なクライアント(塩対応)は、上記の6だけにお金を支払っていると考えます。
ピカソでいう30秒。ドラクエでいう5分、ということになりますね。
「7:修正・変更」もタダだと考えているクライアントは、実は結構多いように感じます。
予約したコース料理を直前でキャンセルや変更しているのに、「食べていないんだから費用は一切払いたくない。」と言っている人と同じです。
こういった残念なクライアントは、準備に費やした時間やリソースはタダ(やってもらって当然)だと考え、映像制作をしている時間のみの対価として制作費用を支払っていると考えているように見受けられます。
こんなクライアントは、問い合わせ段階でいきなり「値切きはできますか?」「予算を増やしたら何してくれる?」と聞いてくる多い気がしています。
※個人の感想です。
いずれにせよ、編集時間だけが制作時間だと考えているようなクライアントには、あまり出会いたくないなと感じています。
「言いっぱなし」「やりっぱなし」なのにも関わらず、やたら注文だけ多いクライアント
これも"「編集作業」だけが「作業時間」だと思っているクライアント"と本質的には同じですが、やはりクライアント都合を優先されすぎるとうまくいかないことが多いです。
きっと忙しいことが原因だと思うのですが、こちらから送った要件の変更確認を3日も4日も放置しておいて、連絡がくるや否や「今すぐ対応して欲しい」と言われても、ドラえもんじゃ無いので、秘密道具のように動画作品を出すことはできません。
昨今のカスハラにも通じるものがあるように感じますが、お互いに「信頼」や「敬意」をベースにして取引をする以上、横柄な態度や誠意のない対応はかなり萎えます。
そして何が「もっとも残念」かというと、そういうクライアントに限って、クリエイター側の対応が悪かったとして、こちらの評価が低くなることです。
一生懸命対応しても地獄。
ハズレくじと同じなので、できれば関わりたくないのが本音です。
スケジュール感の事前すり合わせ
どこまでにクリエイター側に裁量があるのか、要件の確認
返事や対応が遅れるなら、返事や対応が遅れる事実のみ先に伝える。
(その後、いつまでに対応するか連絡)
この3つをしてもらうだけで「言いっぱなし」にならず、「クライアントの都合を押し付けられている」とは感じにくくなるので、ぜひやってみてください。
映像制作を依頼したい!と感じた時に気をつけるべきこととは?|まとめ
フリーランス目線で感じる良いクライアントの発注をまとめると以下の通りです。
クライアントの主観だけで良し悪しを判断しない、クリエイターの意見を尊重して否定しない。
動画サンプルやビジュアルイメージを共有してくれる。
時間を守り、報連相が早い。
編集作業だけが作業時間だと思っていない。
クライアント都合を最優先して横柄な態度にならない。要望ばかりを押し付けない。
良いクライアントだなと感じれば、「もっと良いものを」「もっと魅力的で効果的なものを」と考えるのは自然なことかなと思います。
一方で、残念に感じるクライアントから依頼される場合もあります。
そんな場合は「まぁ、恥ずかしくないレベルで、そんな程度のクオリティでいいや」と、最低限のやりとりで終わらせます。
動画発注をする際の参考になれば幸いです。
最後までお読みいただいてありがとうございます。
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