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短歌・2022、埼玉文学賞落選歌二十首

(うーん、無題だったのがよくなかったのかもなあ…なーんて、主人の負け惜しみですわm(__)m。わん。ひなたで寝るか)

飛べもせず地中に朽ちる虫のうえ夏のテラスは賑わっている

長生きの秘訣はうちの犬曰く「生活レベルを上げさせないこと」

なつやすみ進化はまだらなものだけど我がプラトーはやや長すぎる

風邪が癒え畔に吹かれる 意味はなく 気分がよくてごめんなさいね

眩しさに瞬きすると雑草はよたよた歩む児の背を超えて

満月にいたずら書きをしては消すわたしの指が自分勝手に

文明の行き着く先は虚無なのか回転寿司の皿が吸われる

平成を忘れかけては今朝も来る棘刺すごとき季節(とき)の激変

増えてゆく危うい感じ猛暑日もウーバーイーツの自転車たちも

ネクタイはただのひとつの象徴というふうに夏、夏すぎて笑む

被爆してしまったような眼をしてさ鳩がうつむく真夏の木陰

ちがう人みたいな声と携帯で親はいつでも言うが 正しい

俺たちはあと何日ぶん会えるかと兄と話した兄の墓名と

手水場の龍もマスクをしていたりウォーキングの途(と)のうえは朱夏

最初から神頼みしかなかったと子育てを知るいつも夕暮れ

水浴びの小雀きらり中庭の百日紅の色は疲れて

灯籠はやがて集まり一線の光となって河口は異界

デッサンをしつつ視界の隅あたり子を見ていたらやさしくなれた

止まってる時間のほうが長いとは思われず立つきれいな車輪

酒に入るひらひらさくら別離とは木の根の瘤の冬の冷たさ

by 松岡拓司

もし、短歌を書いて何らかの金銭的サポートをいただけたなら…、奇跡的に嬉しいです、踊っちゃいます😊もちろん少額でオッケー、死ぬまで感謝し続けます🥹