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リーダーに求める「謙虚さ」とは

こんにちは、オプティマインド代表の松下健です。今回は、「リーダーに求める謙虚さ」についてお話しようと思います。はじめに私の好きな言葉を一つ紹介します。

リーダーのもっとも重要な役目は、「スタッフにとって、元気で、明るく、楽しい職場をつくること」

出口治明『座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』 角川新書, 2019年

リーダーの役割はこれだけではないかもしれませんが、究極ではこの言葉の通りであり、一番大切で、一番難しいことだと思っています。「元気で、明るく、楽しい職場を作る」ために、何が必要になるかを考えたとき、オプティマインドが大切にしている「謙虚力」が浮かびました。謙虚な人とは一緒に気持ちよく仕事ができます。もちろんリーダーシップには個性があるので、型にはめてしまうのは違います。しかし、リーダーにも「謙虚さ」があれば、よりチームとして良い方向に進み、成長できるのではないかと思います。そこで「リーダーに求める謙虚さ」とは何かを考えてみました。

まず考えたのは、「会社を主語にできているか」。
これは自分の思いを無視することではありません。自分主語なのか、会社主語なのかを区別できるか。自分の思いと会社のそれが一致していないときに「今は会社を主語にした場合、自分ではなく、他の人をプロジェクトリーダーにしたほうがいいな」といったように俯瞰できるか、です。仮に区別ができていても、自分のエゴなのに、あたかも会社のために、と論説する人はもってのほかです。

会社を主語に考えていても、リーダーは間違うことがあります。例えばリーダーはA案、他のメンバーはB案、と意見が異なったとき。途中でB案の方が良いと気がついても、A案と言ってしまった自分が恥ずかしかったり、周りから「朝令暮改じゃないですか」と言われるのを恐れ、ムキになってA案で押し通してしまうのは正直リーダーとしては格好悪いと思います。

むしろ格好がつかなくても「ごめんごめん」と言えること。ダサい自分を喜んで見せられること。それくらい肝が据わってるほうが格好良いです。メンバーと議論をして自分の意見にならなくても、最終的に良い意思決定ができることが一番だと心の底から思うことを優先してほしいと思います。

全知全能で、万能なリーダーなんていません。
人を巻き込むのが得意でも戦略を考えるのが苦手なリーダー。努力家でも人を巻き込むのが苦手なリーダー。色んなリーダーがいます。同じようにメンバーにも色んな人がいることで、チームは成り立ちますから、メンバーの凄さを認めて「○○さん、それできるの凄いね。僕は苦手なんだよね、本当にありがとう」と言えることが大切だと思います。

「ありがとう」だけではありません。自分の非を認めて「ごめんね」と伝えられることもリーダーに大切な謙虚さだと思います。例えば、会社や本人のためを思ってやったことが結果として相手を傷つけてしまったとき。意思決定自体を謝る必要はなくとも、傷つけてしまったことに対して「ごめん」を言えるかどうか。

失敗したときにも謙虚かどうかが分かります。失敗したら自分のせいにして、上手くいったときはチームのおかげと言える人は謙虚ですが、失敗を他の人のせいにして、成功したら「自分が頑張った」と主張する人。これはもう謙虚とはかけ離れています。

もう一つ謙虚ではない人として「不機嫌な人」があると思います。「人間の最大の罪は不機嫌である」というドイツの文豪、ゲーテの言葉があります。
プライベートで嫌なことがあったとしても、それをあからさまに態度に出してしまう人は「不機嫌なのを察しろ」といっているようなものです。謙虚どころか自己中心的です。

とはいえ、人間ですから「今日イライラしているな、へこんでいるな」という日が必ずあります。そのときに、「今、嫌なことがあってへこんでるから、意識的に元気に振舞ってもいいぐらいだな」と自分を客観的に見て、コントロールできると良いと思います。

会社を主語に考えられて、堂々と恥をかけて、ありがとうとごめんねが言えて、不機嫌をあらわにしない。
この要素がリーダーの持つ謙虚さには必要なのではないかと思います。
ではリーダーが謙虚さを持てると、どんなことが起こるのか。それは「諫言」です。冒頭で紹介した、『座右の書『貞観政要』 中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」』にも出てきます。
リーダーが謙虚でいることでメンバーは「これを言ったら評価を下げられてしまうかな」という恐怖心がなくなり、「(リーダーに対して)○○さん、これ間違ってますよ」と、意見をする、「諫言」をしてくれるようになります。
リーダーに萎縮するような上下関係ではなくて、自分とリーダーは役割が違うだけという認識が強くなるほど、意見が言いやすくなり、結果として会社の成長に繋がっていく。これが、リーダーが謙虚さを持つことの理想の形だと考えています。

つらつらと書きましたが、私も何度も「うわ、あのときリーダーとして謙虚でない態度を取ってしまったな…」と反省を繰り返していますし、意識してもなかなか完璧にできるわけではありません。だからこそ定期的に自分の振舞いを見直す必要があります。

リーダーは付いてきてくれるメンバーがいて初めて成り立つ役割なので謙虚なだけではなく、威厳や信頼も大事です。威厳を持ちつつ、信頼されて、謙虚さも持つことはすごく難しいと思います。でも謙虚さを持ったリーダーがいれば、自ずとチームや会社は良い方向に進んでいけると信じています。


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