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1on1をする前に

こんにちは。オプティマインド代表の松下健です。

みなさんは、中途入社や部署異動で、まだ自分と関わりの少ない上長と1on1をしたときに、「今、何か悩みや相談はある?」と聞かれたらどのように答えますか?「この人は私の何を知っているのだろう」、「何を話して良いか分からない・・・」という気持ちになる人が一定いるのではないかと思います。

私は1on1をする前に、相手との信頼関係を構築しておくことが何より大切だと考えています。

最近では、1on1のアジェンダ設定や、実施する頻度、時間は30分間が良い、コーチングのように問いかけましょう・・・など、様々な1on1のハウツーを見かけます。確かにどれも大切なことだと思います。しかし、どんなに「30分で」「隔週で」「アジェンダ設定」をして・・・と成功するであろう1on1の実施条件を満たしていても、信頼している人と1on1をするのと、自分が心を開いていない人と1on1をするのでは、結果は変わってくると思います。

様々な条件をクリアしていく前に、互いの信頼関係ができているかに目を向けることが、密度の高い1on1ができるかどうかに大きく関わってくると思います。

ではどのようにして信頼関係を構築すればいいのか。まず前提として信頼関係は「つくれる」ものではなく、結果として「できる」ものだと思います。なぜならば、相手が自分を信頼してくれるかどうかはアンコントローラブルであるからです。

その前提の上で、関係性の構築や信頼が「できる」ために必要な要素は大きく2つあると思います。

まず感情的信頼です。
「この人は私のことを分かってくれている」
「裏表なく話をしてくれている」
「自分の都合のためではなく、私のことを思って話をしてくれている」
こんな風にお互いに思えるようになるには、これまで会話をしてきた時間、それも「1回あたりの絶対的な対話量 × 頻度 × 期間」が必要で、飛び道具はありません。

部下が大変そうに見えたときにオフィスで話しかけたり、ミーティング終わりに「さっきの件、大丈夫だった?」と声をかけたり、時には共通点を見つけて飲みに行くことかもしれません。私はあなたのことを思っている、あなたの成功は私の成功でもあるということを前提として会話を重ねることで、感情的信頼は生まれていくと思います。

ここまでできれば十分な信頼関係です。しかし感情的信頼だけでは、「上司のことは信頼できるけど仕事面でなんだか尊敬できない・・・」という状態のとき、どんなに気にかけてくれて、信頼ができても、自分よりも仕事のできないと感じる上司のアドバイスは響かないのではないかと思います。

「この人のアドバイスなら信頼できる」と思えること、これが2つ目の認知的信頼です。

もちろん、全てにおいて上司がメンバーよりも仕事ができないといけないわけではありません。少なくとも一つ、仕事においてその人のことを信頼できる、尊敬できるポイントがあればいいと思います。営業は強くないけど、お客様との信頼関係を構築するのは得意とか、マネジメントスキルは高くないし、ぶっきらぼうだけど、営業で契約を取るのはピカイチとか。何か一つ、メンバーから認知される強みがあればいいと思います。

認知的信頼がなさすぎると、部下の方は、どんなに上司のことを信頼していて、1on1で素晴らしいアドバイスを受けたとしても、「でもこの人、自分よりも仕事ができないんだよな・・・」という気持ちになり、どこかで感情が邪魔をして素直に耳を傾けられません。そのため、1つは認知的信頼を得られるものが必要です。

「有意義な1on1にしたい」、「1on1を通して会社の成長に繋げたい」と思うのであればあるほど、いきなり1on1のハウツーに目を向けるのではなく、感情的信頼と認知的信頼が築けているのか?という視点で、自分と1on1をする相手の関係性を意識することがまずは大切だと思います。

なぜならば、どこまで行っても「人の感情」で成り立っているのが組織だからです。


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