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「真似のできない女たち – 21人の最低で最高の人生 (ちくま文庫) 」山崎 まどか (著)

1940年代から1970年代にかけて、主にアメリカで活躍した21人の女性の人生を描いた書籍。これが華々しく成功したいわゆる「成功者」達の物語だけではない点が、心惹かれた。(自分自身の人生と重ねて共感が持てた、というのは若干彼女たちに失礼かもしれないが)そして彼女達は皆それぞれ譲れない何かを持っている。だから強い。21人それぞれ感じることがありましたが、その中でも特に印象的だった二人を取り上げます。
※今後増えるかも

一人目 グレイ・ガーデンズの囚われ人 
イディ・ブーヴィエ・ビール P.12

相互依存の母娘の話。自分に過干渉していた母が亡くなり、やっと自由になれたはずのリトル・イディ。ついにガーデンという自分を囲っていた場所から解き放たれてニューヨークへ飛び、念願だったショーを行いますが、酷評されて打ち切りとなってしまいます。

ガーデンにいたころは注目されていたのに。なんという皮肉。「グレイ・ガーデンズ」で調べたところ、映画の上映イベントもあったようです。

アメリカ・ドキュメンタリー映画史上の傑作『グレイ・ガーデンズ』&『グレイ・ガーデンズ ふたりのイディ』上映イベント開催
https://gucchis-free-school.com/event/20180614/

予告編▼

二人目 テレビスターになった料理研究家
ジュリア・チャイルド P.56

アメリカで最も有名なフランス料理の研究家。昔から料理が好きだったのかと思っていたらそうではなく、裕福な家の生まれで料理は専属の料理人がいたという。キャリアも始めから料理人を目指したわけではなく、185センチの長身を生かしてCIA!?だったり、コピーライターだったりとユニークな経歴。戦争時代は女スパイだったという噂もうなずける。映像を見る限り強そう。

予告編▼

食通の夫に連れられて初めて食べるフランス料理に魅了された彼女が、名門料理学校「ル・コルドン・ブルー」に通う。いやもうここから本気度が違うでしょ。よっぽど美味しかったのだろう。

さらに初心者コースではなく、いきなりプロ養成コースを選ぶところがまさに彼女らしい。プロ養成の場所は当時は男社会。そんな中、彼女は持ち前のガッツで料理のスキルを身に着ける。料理に関する技術を身に着けた彼女は「それを読みさえすれば、誰でも本格的なフランス料理を作れる本」の執筆のために40代を費やす熱心さ。そしてテレビ出演。

ふと、テレビ番組で料理ってマーサ・シチュワートみたいだなと思って読み進めていたら、まさに彼女はジュリアの番組を徹底的に研究したようだ。

91歳でこの世を去る彼女が最後に口にしたものに、彼女の人生がつまっていると感じた。喜びの表情で息を引き取った彼女の人生は最高に幸せだったろう。

21人一覧

全部の感想を書きたいのですが。まずは2人。

  1. グレイ・ガーデンズの囚われ人 イディ・ブーヴィエ・ビール

  2. 寂しがりやの人形絵本作家 デア・ライト

  3. ジーグフェルド最後の舞姫 ドリス・イートン・トラヴィス

  4. 路上で死んだフォーク・シンガー カレン・ダルトン

  5. テレビスターになった料理研究家 ジュリア・チャイルド

  6. 嘘つきなテキスタイル・デザイナー フローレンス・ブロードハースト

  7. 「ニューヨーカー」の孤独なコラムニスト メーヴ・ブレナン

  8. アーティストたちを虜にした美神 キャロライン・ブラックウッド

  9. ハーレムの天才少女ピアニスト フィリッパ・スカイラー

  10. カリスマ主婦デザイナー ドロシー・ドレイパー

  11. ロック評論界のビッグ・ママ リリアン・ロクソン

  12. ロータスランドの女王 ガナ・ワルスカ

  13. ポップ・アートな修道女 コリータ・ケント

  14. アフリカ系女性初のコミック作家 ジャッキー・オーメス

  15. シャングリラを夢見たミリオネラ ドリス・デューク

  16. 名声だけを求めたベストセラー作家 ジャクリーン・スザン

  17. ソフトコア・ポルノ映画の女性監督 ドリス・ウィッシュマン

  18. バーレスク最後の女王 キャンディ・バー

  19. 消えたフォーク・シンガー コニー・コンバース

  20. 「ドラゴン・レディ」と呼ばれた女優 アンナ・メイ・ウォン

  21. 悪魔に魂を売った作家 メアリー・マクレーン

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