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遺骨との対話を通して「生」を実感する「川っぺりムコリッタ」

この作品は実に様々な遺骨が出てきます。

孤独死した父の遺骨

主人公の父。幼い頃両親が離婚し、それ以来会っていなかったから思い出がない。けれども、お風呂上りに牛乳を飲む所が自分と一緒だと分かる。親子だと感じる瞬間は少し泣ける。でも、夜中に光るって、怖い・・・

愛した夫の遺骨

ハイツ「ムコリッタ」の大家、詩織の夫の遺骨。いや、ビックリしました。ここだけ艶っぽいというか。骨を齧り、口づけし、身体に引き寄せる。いやもう・・・え!?となってしまった。

花火職人の妻の遺骨

タクシー運転手が語る、自分の妻の遺骨の話。これはもう別の意味で驚き。花火葬とでもいうのだろうか。花火の火薬に粉々にした遺骨を混ぜて、ドーンと打ち上げる。なかなか派手な散り方。

誰も迎えに来ない数多の遺骨

市役所の棚に無数にある、引き取り手がなく誰も迎えに来ない遺骨。誰も、だーーーれも来ない。おそらくあの若い市役所職員が、いずれ定年を迎えたとしても、同じ風景。いやもっと多くの遺骨が並ぶだろう。当然ながら一人ひとりに人生があった。

皆で見送った祖母の遺骨

最後に、個人的な話として。少し前に亡くなった祖母。焼く前は、今にも起きて来そうな。死に化粧をしてもらって生き生きとさえしていた。なんだか笑っているような感じ。もしかしたら生き返るのでは?なんて思ったりもした。けれども、そんな祖母を葬儀場で焼き、出て来た時はもう骨で。やっと諦めが付いた感じ。骨の部位を説明されたけれども、それが祖母だったとは到底思えないというか。思い出の中でのおばあちゃんと、実際目の前の骨とがイコールにならなくて。お墓に入れてもらい、拝んでやっともう会えないんだなと実感したというか。

だから、ムコリッタで山田が部屋に骨箱を置いているのを見て、区切りがいつまでも訪れない気持ちも分かるし、だからラストのあの場面も弔い出来てすっきりしたというか。お葬式とかお経とかは亡くなった人ではなく、生きている人に向けているのかなと思った。

取り留めない感想だけれど、この作品を観て色々感じました。

遺骨の処理方法が気になった

そう言えば、遺骨を粉々にする場面があったのだけれど、いいんだっけ・・・と思ったけれどもよいようだ。ただし、現物と分かると法律違反(これは劇中でも説明されていた)

粉骨について、遺骨は法律上で物に該当するという見方が一般的です。
法律での遺骨の取り扱いが物である以上、遺骨も粉砕しても違法ではありません。

出典:いい葬儀


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