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武道から考える会社経営

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武道という視点から見た会社経営をするにあたってのヒントを配信しています。
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記事一覧

努力は才能を上回る。寝技柔道から仕事の基本とは何かを学ぶ

他人の努力は見えない。地道に一歩ずつ、努力した人だけが成功するというのは、世の中の道理だ。 寝技は練習量がすべて稽古日誌に、「足ぬき」が力ではないということが、やっと分かりましたと、ある人が書いていた。この数ヶ月、足ぬきの稽古を続けてきた。何度もやって見せて、説明はするけれど、相手をS字にするという理屈は、簡単なことのようで、実際やってみると難しい。 寝技では、努力が才能を上回ると言われる。実際、寝技が中心の「七帝柔道」では、「寝技は練習量がすべてを決定する」「白帯でも、

柳のようにしなやかに生きる。力を抜けば、歩むべき道が見えてくる

僕たちは、いつも過去にこだわって、今を見ていない。力を抜いて今をしっかりと見つめれば、歩むべき未来が自然と見えてくる。 父の死と事業継承自分の10年後を想像できるだろうか。たとえば、10年前はどうだったかを思い出せば、10年後が今とは全く違った状況になっていることは明らかだ。 僕は10年前、突然この世を去ってしまった父から受け継いだ事業が難航していて、月の半分は仕事で世界中を飛び回っていた。体重も激減し、歯もボロボロで、神経を抜くことになったり、無我夢中で働き続けた僕の体

ラインを踏まないだけで、会社も人生も良くなる ー ものを大切にする心

製造現場には「ライン」がある。新入社員の頃、このラインを踏んでいると先輩から厳しく叱られた。家庭でいえば敷居や畳縁(たたみべり)を踏まないというのと同じだ。 これらの習慣は、ものを大切にする心から生まれている。畳表(おもて)を保護する役目の「縁(へり)」を踏んでしまうと、摩耗してその機能が失われてしまう。敷居や工場のラインも同じことだ。 社内の柔道場にも、床ふきロボットが落ちないための「枠」を取り付けてあるが、これを平気で踏む人がいる。 敷居やラインを踏まないということ

武道に学ぶ「黒帯というインセンティブ」。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:武道とは人間の本質を理解し尽くした体系であり、だから最強なのだ。その知恵は企業の採用システムにまで影響を与える。本当だ。 黒帯という分水嶺最近、縁あって古流の空手を習っています。 もういろんな空手に触れてきました。 大学時代は糸東流、卒業してからは松濤館流、極真カラテから派生した芦原会館も経験し、やっと黒帯を取れたのは、また松濤館流の別の流派でした。 そして今は古流の空手の手ほどきを受けています。 空手ってみんな同じ

大卒を採用しなくなった理由ー謙虚さが大事

仕事をする上でなぜ謙虚さが大切なのか、それをどうやって学ぶのかについて書いています。 最近大卒を採用しなくなった理由 最近、大卒を採用していない。それには理由がある。大卒は他の人を見下すような振る舞いをする人が多くなったように思うからだ。それは何故か。江戸時代に武士の心得として書かれた「葉隠」にその答えの一つを見つけることができる。 大卒にはここに書かれたような「我が非を知る」という気概を持った人が少ないように思う。つい、無意識にも自分は高学歴だということが頭にあって、

「長」と名のつく人が、お客さまの方を向けば、納期や品質は自然と良くなる

まず社長である僕が、お客さまの方を向いているかどうか。それが大事だ。 社長がお客さまの方を向けば、部長も、お客さまの方を向いていく。部長がお客さまの方を向けば、課長もそうするだろう。課長がお客さまの方を向けば、係長や班長、そして担当者たちも真似をする。 「長」と名のつく人が、お客さまの方を向いて仕事をすれば、その下の人も自然と真似をして、社員一人一人が納期や品質を良くしていこうと考え始める。 社員全員がお客さまの方を向いて仕事をするようになれば、もし納期が遅れたりしたと

利他のこころー自分の受け取り方一つで世界はプラスに見えてくる

「利他のこころ」を学ぶことで、人生におけるあらゆる困難が、自分を成長させてくれる存在に感じられ、前向きに行動できるようになる。 「相手は自分を思ってくれている」という発想の転換 昨日の柔道稽古では肩固めからの足ぬきをやりました。稽古に来ていたのは12名、30秒間で受けと取りを交代して、総当たりでそれを11回繰り返すというなかなかハードな内容でした。 その中で、相手が本気になったときに、自分の足が抜けないことがありました。夜、家に帰った後に、「なんであいつあんなに強く締め

寝技をしていると、まるでテレパシーでも使えるように離れていても心が通うようになる!

離れていても、以心伝心、まるでテレパシーが使えているように、お互いに意思が通じ合うような瞬間がよくある。これはどういう状態なのだろう。 テレパシーで相手と話している感覚ちょっと難しい相談を副社長とした。一旦は僕の意見を押し通したのだけど、一晩たってから、柔道の寝技稽古をしている時間が、ふと思い出されて、離れていても、まるでテレパシーのように、相手と会話しているような感覚になったとき、やっぱり彼の意見が正しいように思えてきた。 ものごとには直感というものがあって、最初に思い

僕たちは脳の力の氷山の一角しか知らない ー もっと謙虚にいのちと付き合おう

僕たちには天から与えられたいのちがあって、そのいのちには、僕たちが知らない力がたくさん隠されている。 柔道の稽古が終わったら全員で素読をしている。今年は無門関だ。ただ古典を声を出して読むだけの素読が何になるとはじめは思っていたが、やっているうちにだんだんと意味までわかってくるから、不思議だ。 しょせん、頭でわかったように思っている部分は氷山の一角で、僕たちの脳はもっと大きな力を持っているのだと思う。 それを、ぜんぶ知っているかのように、頭の隅っこだけで考えて、結論を出す

納期は営業から製造へとバトンを渡すリレーのようなもの

納期は一部門だけが責任を負えばそれでいいものではありません。納期は営業から製造、配送へとつなげていく「バトンリレー」のようなものです。 納期には3つの種類がある 今日は、納期について考えてみたいと思います。納期には「顧客に対する納期」「仕入先に対する納期」「工場内での納期」の3つがあります。 1番目の「顧客に対する納期」は、取引先へ納品する納期のことです。 2番目の仕入れ先に対する納期は、生産に用いる材料や副資材などの納期です。この納期は資材部が遅れないように各業者へ

体を動かせば自然にアイデアが出る ー 脳の隠された力

お風呂に入っていたら、ふと良いアイデアがうかんだという経験はありませんか。机にばかり座っていないで体を動かすことで、アイデアは自然に出てきます。 机に座ったままでは、良いアイデアが出ない 500以上の棚がある倉庫へ製品を入出庫して、ある製品がどこの棚に入っているのかを調べることができるプログラムがありますが、プログラムを作成した担当者がすでに不在でメンテナンスができず、困っていました。 そこで、「キントーン」を持ちいて誰でもメンテナンスができる、新しい「倉庫入出庫」アプ

教わった技じゃなくて、盗んだ技じゃなきゃ使えない。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:武道の道は人生に通ずる。本物の武道の師匠は、弟子にていねいに教えない。教えを絶対の真理として伝えることは、武道家としての資質を奪いかねないからだ。では、武道家としての資質とは何か、それは「自ら学ぶ姿勢」である。それを武道では「盗む」という。トップ画はhttps://x.gd/EDo0l 教わる、と盗む、の違い「教わった技なんか使えないよ。盗んだ技、じゃなくちゃ」。 尊敬する合気道の先生の言葉です。 盗むことと、教わること

AI時代だからこそ武道が必要。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:AIにない人間の能力の代表は「直感」だ。AIに頭脳を乗っ取られる前に、AIよりすぐれた直感力を取り戻し、強化しよう。その方法論は武道にある。トップ画はhttps://x.gd/CRM5U ますます重要性を帯びる武道最近、欧米のメディアで、AIに対してひんぱんに使われる形容詞があります。 それはカウンターインテュイティブ(counterintuitive 直観に反した)という言葉です。 「AIの出す結論は、しばしばカウンタ

ものを言う

土曜日は現場をまわりました。工場で元気のいいあいさつをする社員と会うと、気持ちが良いものです。昨日は久しぶりに、社員の方から話しかけてきてくれたのが、とても嬉しく感じられました。 僕が柔道を習った川瀬先生は、いつも「(人に会ったら)ものを言え」というのが、口ぐせでした。今の若い人は、人に会ってもほとんど話をしません。スマホ世代だから、日本人は「相手の気持ちは推してはかるべし」というのでしょうか。しかし実際には黙っている人ほど、気持ちの悪いものはありません。 一時期よりはマ