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スリランカで5年間日記を書いてわかった絶対にやってはいけない継続

ケニア共和国で生まれてスリランカ民主社会主義共和国で小学生をやってタンザニア連合共和国で中学生をやっていた共和国と謎に縁のあるおれは、両親から半ば強制的に小学生の頃に日記を書かされていた。
そして今思うことはSLUM DUNKの三井寿がごとき後悔のみである。

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井上雄彦「SLUM DUNK」より抜粋

この世にはやってはならない継続というものがある。
「継続は力なり」とは世界各国に存在する名言であるが、問題は継続したことによってどのような「力」がつくか?だ。
時に継続は本人が望んでもいない力を与えてしまったりもする。

現在話題になっているつんく♂さんのnoteでの「凡人はとにかく数をこなして沢山つくればフィードバックも得られるし研究も進む」みたいな主張には同意できるけど、なんでもかんでもやりゃーいいってもんじゃない。


数をこなすことによって身についてしまう無為な能力だってあるのだ。
この良い例がなにかとインターネット界隈を騒がせている少年革命家ゆたぼんくんのパパである。
この人は「もっと自由に生きたくないかい?」というブログを2011年くらいからほとんど毎日ずーっと書き続けているのだが、文章がまっっったく上達していない、と一部で話題になっていた。

おれはこの人の文章をパッと見てわかっちまったんだよな。
「あ~、これ、おれの日記と一緒じゃん」
おれにはわかる。そう、ゆたぼんのパパはちゃんと成長している。継続はちゃんと力を与えてくれるのだ。継続は裏切らない。では何が成長したのか?

スリランカにいる頃、おれは日記を書かされていた。毎日800字詰めの作文用紙一枚を埋めるくらいだ。今にして思うと大した量ではないが、小学2年生レベルでいくと結構な量だ。
当時のおれの頭にあったことはただひとつ「如何に効率よく原稿用紙を埋めるか?」これだけである。特別におれが編み出したしょーもないテクニックを紹介しよう。

擬音戦法
「パーン」という鉄砲の音。
びっくりして心臓が「ドキドキ」した。
僕は「ゼーゼー」と息を切らした。
などという風に擬音を使って文字数を稼ぐのが初歩的なテクニックである。ドカン、バタン、トコトコなどとにかく日常に存在する音を文章中で使うだけで文字数が稼げる。
さらに伸ばし棒を使うのがコツだ。こうすることで無意味な音で原稿用紙が埋まる。

とにかくしゃべる
「どういうこと?」
「つまりこうだ」
「!?」
「説明しよう……」
しゃべった「」の後は空白でいいという日本語の謎のルールを逆手に取りとにかくしゃべって文章を書かないようにするのだ。
さらに応用テクニックとして人名をつけるというのもある。

〇〇くんがこう言いました。
「こっちのほうがいいよ」
「本当だ」

こんな感じでとにかく少ない労力で作文用紙を埋めるのだ!
またこれと同様に他人の名言などをただ書くというテクニックもある。
こうすれば自分は何を書こうか考えることなく埋めることができる。ただ、手を動かさなければならないぶんちょっとだるいけど。

注意
こうしたテクニックは多用しすぎると逆に紙面がスカスカになってしまって手抜きがバレるので、適度に埋めるのがコツである。


おわかり頂けただろうか?

これが5年間毎日日記を書いた男の集大成である。
人はやらされる仕事には全然身が入らないなどという話しもあるが、それを継続した結果、上手くなるのは手抜きなのだ。
スリランカの都心で自爆テロが起こってホテルが吹っ飛んだとき「ドカーーーーーーーーーーーン」で二行稼いだ。
つまりそういうことなのだ。情緒も深みもあったもんじゃない。
人の生き死にや政治思想、差別や憎悪の結果の出来事ですらおれにとっては日記の余白を埋めるための手立てでしかなくなっていたのだ。
おれの日記とは日々の出来事や感じたことをつづる日記ではなく、いかに手を抜きつつ適当に原稿用紙を埋めるかということにのみ特化したものとなっていた。

継続とは力である。
続けることで人には力がつく、否定されたとはいえ1万時間やればその道のプロになれるという話には一定の説得力があるし、10年続けたら謎の仕事が生み出せるといった話もある。
だが、望まぬ事をやるときには注意が必要だ。
深淵を覗いている時、深淵もまたお前を覗き込んでいるということを忘れてはならない。
やりたくもないことをやっていても力はついてしまう。どうせ継続するなら自分が伸ばしたい方向に伸ばした方が絶対に良い。

気づかずに伸ばしてしまった能力はこうして供養するのが一番だ。
もしかしたらそのうち、反省文を1億枚書けとか言われて、思わぬタイミングで活用できる時も来るかも知れないけど……。


【注意】人間なんてどーせ嘘つきなんで、人が書いた物は話半分に受け取っておくことをオススメしておきます。この記事を勝手に信じても責任は取らねーぞ!

マツリの合気道はワシが育てたって言いたくない?