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20241130 大学教員が真に体験すべきFD(授業研究)

 FD関係は詳しくありませんが,自分の体験を振り返ると大学に授業評価アンケートが導入され,FD研修が義務づけられるようになってから余裕でもう2,30年以上たっていると思います。
 その間,授業がうまいとされる先生の授業を拝見したり,ICTなどの導入事例を学んだり,効果的なアクティビティを紹介してもらったりすることを通じて,自分が学生の頃受けていた授業にくらべると,どの大学のどの先生の授業も全体的にかなりレベルアップしたのではと思います。
 しかし,最近「もっとしないといけないFD研修があるのでは?」「これは意外と他のどの大学でも行われていないのでは」と思う内容がでてきました。
 
 それは,「現在の高校で実際に行われている教育を知ること」です。
 
 別に,「高校の先生の方が授業がうまいからその方法を学ぶべきだ」とかいう意味ではなく,
 
・現在の高校生はどの程度板書をノートに取っているのか?
・現在の高校生はどの程度の難易度の定期試験を受けているのか?
・現在の高校生は赤点補習等をどの程度恐怖しているのか?
・現在の高校生はどの程度の評定平均が普通なのか?
・現在の高校生はどの程度の宿題を課されているのか?
・現在の高校生はどの程度授業でGWを体験しているのか?

 
などについて,自分の大学に進学してくる人が多いベスト10くらいの高校に依頼して「リアル」を教えてもらっている方がよいのではということです。
 
 この2,30年で大学の授業が大きく変わりましたし,入試のシステムや問題も大きく変わってきているので,それに対応して高校で受ける授業や指導の内容も大きく変わっているのではと思います。そのため,「教員が高校生だった頃に受けていた教育」を現在の高校生が同じように受けていると思って授業を計画すると痛い目に合うのではと思うことが最近増えました。
 
私の狭い範囲での体験にしか基づかない私見ですが
 
・現在の高校生はどの程度板書をノートに取っているのか?
 
→アクティビティやGWの活動が増えたことにより,昔のような「授業時間中はほぼシャーペンを動かしノートを写している」ような授業は減少し,書き込み式のプリント配布なども増えたことで「ノートを取る総量はかなり減少しているのではと思います。
 
・現在の高校生はどの程度の難易度の定期試験を受けているのか?
・現在の高校生は赤点補習等をどの程度恐怖しているのか?
・現在の高校生はどの程度の評定平均が普通なのか?

→これは本当に妄想ですが,「平均60点」ではなく「平均80点」くらいの難易度になるように調整されるようになってきだしていて,赤点を取ったりする恐怖を体験しないような配慮が増えているのではと思います。
 
・現在の高校生はどの程度の宿題を課されているのか?
 
→夏休みなどの長期休暇中の宿題はかなりへっているように思えます。
 
・現在の高校生はどの程度授業でGWを体験しているのか?
 
→かなり増えているのではと思います。
 
 昔は「大学はレジャーランドだから入れば遊んでいれば卒業できる」というイメージがあり,大学での教育は「楽」なイメージがあったと思います。最近ではそこまで楽なイメージはないかもしれませんが,「受験勉強の方がつらい」イメージは持っているのではと思います。
 しかし,大学に入ってみるとスライドを配布してくれるから全くノート取るの不要の楽な授業もあるけど,いまだにチョーク&トークがメインでノート取りまくらないといけない授業もあったり,試験対策や予想問題演習などもなくいきなり試験を出されてしかも本当にS評価が1割,A評価が2割の人しかもらえない厳しい評価の授業もあったり,ゼミでもないのに時間以外の勉強が必要だったりするし,丁寧な見本や書き方の説明も無しにレポートを出題されたりして,「高校より厳しい!おかしい!」となって大学に不適応を示してしまう学生も出てきだしたように思えます。
 
 まあ,大学は高校のあとに位置していて当然そこで求められる能力も高いのも当たり前だと思うのですが,それが高校で身についているものと大幅にズレがある場合,そこをつなぐ方策を用意せずにいると責められるのは確かだと思います。
 
 おそらく,どのレベルの大学でも「自分の大学に進学してくる平均的学生が高校で受けてきた教育」について知識を増やすのは有意義だと思いますので,全国の大学のFD活動でそうした取り組みが増えると大学の授業も地に足がついたものになるかもしれないなあと思いました。

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