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終末を描いた作品紹介【3】 映画「ノウイング」
本作は大ヒットSF作品『アイ・ロボット』のアレックス・プロヤス監督によるディザスタームービーです。
そしてまごうことない終末作品です。しかもゴリゴリの奴。
この映画はハラハラとしたパニックムービー要素というよりは終末に際したとき人類はどういう行動を取るのかといった、繊細な心情変化を描こうとしているように思われます。
『インディペンデンスデイ』のエメリヒ監督の作品を愛してやまないという人にとっては、いまいちカタルシスに欠けるところもあるかもしれません。
ですが本作は2009年に公開されてから終末作品好きの中でもよく話題に上がっている作品になりますので、観て損はすることはないでしょう。
本稿ではこの作品の評価されているポイントや私自身が感じた魅力についてまとめています。
映画「ノウイング」の世界観とココスキポイント
まず、この作品は全体的に鬱屈とした雰囲気が漂っています。
これが受け入れられないという人もいらっしゃるかもしれませんが、魅力でもあります。
漠然と世界に伝播する不安、そういうものを楽しむための見せ方でしょうか。
ある種、そこが「リアリティのある終末」という魅力になっているように感じます。
そもそもこの作品の人類の大半が終末が近づいていることを終盤まで全く把握していませんしね。
ストーリーとしては50年前の小学生たちが埋めたタイムカプセルから、数字が羅列されたメモを本作の主人公(ニコラス・ケイジ)の息子が持って帰ってくるところから大きく進んでいきます。
ニコラス・ケイジ演じるジョンは宇宙物理学の博士で、そのメモに載っている数字の羅列が実際に起きた過去の惨事と符合していることに気付き、動揺。
このメモの解明とこれから起こる惨事の予測に動き出す。。。
といった感じですね。
全体的にエンタメに振り切っていないという点にも注目してみるといいかもしれません。
ココスキポイント1
案外終末ってこんな感じなのかも…突然やってくる終末のリアリティ
近年終末作品は、大衆に向けたものにするためにハラハラドキドキのパニック要素が強いものが多いですが、この作品はその風潮に一部では迎合しつつも、哲学や宗教などある種の観念じみた要素を描こうとしています。
そもそも「終末」は、大災害に次ぐ大災害ですからその世界で言えば多くの人間が死に瀕するわけです。
世界は鬱屈とした雰囲気であってしかるべきですし、人々は神や信仰といった人知の超えたものにすがる世界であっていいはずです。
この作品では米国大統領は全世界に「お別れメッセージ」なんて発信しませんし、脱出用ロケットも箱船も造られません。
きっと現実もそういうものなのかもしれませんね。
ココスキポイント2
日本人には馴染みが薄いキリスト教色が濃い
原作は聖書と言い切っても過言ではないかもしれません。
アイロボットもそうでしたが、生命倫理や宗教じみた命題、とりわけキリスト教色が色濃く出ています。
アダムとイブ、神、インテリジェント・デザイン説(ID説)、昔大学の講義で学んだような宗教学を思い出します。
プロヤス監督の信条なのかもしれませんね。
ただ、このような命題や信条を映画に反映させる是非は置いておくとしても、このポイントは好き嫌いが分かれるところではないでしょうか?
興業作品至上主義の方のおっしゃりたいことも十分理解できますしね。
しかし、私はこの作品以外でメジャーどころの観念的終末作品を聞かないのでその意味では「日本における終末作品の軌跡」に大きな貢献を果たしていると思います。
この作品が日本で親しまれているからこそ、国内の終末作品好き人口が維持されている可能性も捨てきれませんからね。
(「ココスキポイント2」はいつもネタバレギリギリを攻めることになるので、内容薄くなりがちですがご了承ください汗)
まとめ:ヌメっと系終末映画作品「ノウイング」
この作品を私のゴミみたいな言葉で一言でまとめると「ヌメっ」です。
いや悪い意味ではなく、面白くないわけではないのですが作品の全体としてはこんな感想。
あとちょっと観た後、頭が少しよくなったような気分にもなりましたね。
興業全振りというわけではなく、芸術作品としての様相も持っているように感じました。
私のような俗人が語るべきではない作品なのかもしれませんが、独特な雰囲気とキリスト教的な考え方が根底に流れている感覚(教会の中で映画見ているみたいな感じ)。
こういったものを感じることができる作品となっております。
昨今のパニックディザスター終末映画に飽きてきた方に是非見ていただきたい終末作品でした。
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