酔いどれ詩人が酔う前に

移住民の駄文

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最近の記事

1 もってるやつ

朝起きるのがみんな9時を過ぎるから大丈夫かなこの家庭は、と思いながら起きる。一歳になる息子ちゃうの動きに合わせて顔をうずめたり匂いをかいだりする。 ちゃうごしの妻は授乳の途中で寝るため乳房を放り出して寝ている。 気にならない。気にならない。気になるような神経、ぷつんと切る。 部屋は日が当たらず、けど間取りも広さも気に入ってるし電気をつけてしまえばよい。太陽が欲しいと思ったらバルコニーに出ればいい。大きな木が影をつくり日は降り注ぎはしないがセロトニンは分泌される心地がする。

    • ストレッチのうた

      大粒の雨が天井をたたいている、リズムがなくて探そうとする、ジャズを聴いているときの気分。 ヘルプ!と叫んだところで誰にも聞こえないほどの雨粒の太鼓隊、リズム群、パーカッション団。けれどそもそも誰も助けに来ないのは雨らの爆雑音のせいではない。 ここにいる人々には英語が伝わらない。 しかし日本語で助けて!と言っても伝わらない。それも同様の理由、ここにいる人々には独自の言語があり、日本語もドイツ語も、タイ語も伝わらない。 それでも助けてほしいときはどうすればいいのか、雨粒のミ

      • ハンガリー入国しました

        疑似ニート終了。 息子も無事産まれた。 ドイツ、タイ、ハンガリー、と海外で働いて思うのは、どこか寂しさが拭えない自分がいる、ということです。 僕はシンプルに言えば飽き性、神妙に言えば飽くなき探究心を持って人生をライドオンしているのですが、 息子も産まれたばかりで、僕を包んでくれる妻からも離れて遠い地で"寂しさ"を感じています。 寂しさ。 それが僕の原動力になっているのは間違いない気がします。 だからこそ、多くの人がそれとどう対峙しているのか、"寂しさ"が独特に身体にまとう

        • 父のコンプレックス

          訳あって少しの間、実家に暮らしている。 訳あって母親が家を空けることが多いため、そのときの父の夜ご飯を僕が作っている。 不幸な話ではない。 前進しているからこそ実家にいる。 実家生活ももう120日を超えたあたりだと思う。30歳を過ぎて120日も実家に滞在することは、新しい発見の連続、そして、新しい両親の姿を見ることができる。 新しい両親、というのは父と母が突然新しいことに取り組み始めたということではなく、 昔では聞き取れなかった父の優しさや、味わい切れていなかった母の味、鼻

          醤油に飽きてしまつた

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし84日目。 醤油に飽きてしまつた。 空港を降りたらそこに広がる醤油の香り。を味わった人なんて本当にいるのだろうか? 僕にはそれがわからなくなるほど醤油臭が身体や下着にまとわりついていて、もし外国人の嫁を娶っていたら「あれ、昨日あなたもしかして醤油で髪洗った?」とか「あんた!日本人のオンナと浮気したわね!」とか言われるほどの人間なのか。逃げられん。 うちは九州生まれの酒呑みの両親だから、という謎の言い訳によって、うちの母親がつくる料理は味が濃

          醤油に飽きてしまつた

          この私の書き方はボツであるがゆえに

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし83日目。 谷崎潤一郎の「文章讀本」を読んでいる。 よくもまあこうも本が読めるもんだ。Z世代はお金よりも時間を求めるらしいが、たしかに、時間がなくっちゃ本も読めない。 本の書き方買った時は気づかなかったんだけど、この「文章讀本」は、本の書き方を記してある。今現在、本の書き方を教えようとする本がたくさん出版されているが、谷崎の時代からこういう本はあったんだなと知る。にしても、どの書き方本よりも面白い。しかも分かりやすい。今現在の書き方本は実用

          この私の書き方はボツであるがゆえに

          お酒という選択肢

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし82日目。 僕は酒癖が悪かった。 実家での息子の振る舞いとして、何の気無しを装い、食事中に話題を提供することは良いことだと思う。ただテレビと新聞の世界にしっかりと身体を結い生きる昭和のサラリーマンの父に、突然今日読んだ中村文則の「掏摸」の感想を話すような息子よりかは、今日の株価の動きを話せるような息子のほうが扱いやすい。 けれど僕は株価に詳しくないので、山口達也がまた酒に騙されて容疑者になった話をしてしまう、という情けない時間が、実家では許さ

          河原者からスターへ

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし81日目。 家で映画を2本観た。そのうちの一つは2019年日本公開、 「僕たちのラストステージ」 邦題が恥ずかしいけれどそれはスルーして。  この映画は、1930年代、サイレントからトーキーの時代まで人気を博したアメリカのお笑いコンビ、ローレル&ハーディの晩年を描いた映画である。 僕は腐っても芸大卒というのもあり、チャップリンやキートン、ハロルドロイドの三代喜劇王はかじったことがある。 けれどその時代の映画を見て爆笑したことがあるかと言わ

          河原者からスターへ

          noteって何産?

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし80日目。 僕という人間は国産なのか日本産なのか。 国産と日本産の違いずっとじゃないにしてもある一定期間、日本で過ごしていれば国産と呼ぶ。 また、最終加工が施された場所を原産国とするため、輸入材料が使われていても国産と表記できる。 つまり、ある夏の期間、とりあえずワイハでバカンスしたあと、日本でダラダラ寝ていればその牛は国産。また、サウジアラビアで生まれ育てられたミミズが最終的に日本で加工されれば国産品となる。 一方の"日本産"はそれを認めず

          うん、読んでええで

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし79日目。 戸塚ヨットスクール事件についての動画を見た。 1980年代。 愛知県にある、体罰肯定のヨット学校というか更生施設に、家族に暴力をふるってしまうなどの未発達と思われた子供たちが親の懇願で入校するが、その生徒たちが次々と亡くなり、いきすぎた体罰があったとして学校長らが捕まったという事件。 学校長は6年の刑務を終えた出所後も、体罰を肯定し、また次々と死者や自殺者などを出してしまう。 それでも自分の教育方針を曲げることなく、 今でも講演会

          うん、読んでええで

          芸人か否かゲーム

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし78日目。 "芸"という言葉には草木、植物という意味がある。 永六輔の著書「芸人」を読んでいる。 ブックオフで買った理由は100円だったことと、本の冒頭に芸人の定義として "職業の肩書きが「芸人」という人だけではなく、いつのまにか気づいたら芸人だったという人も含める" と書いてあったから。 「僕は芸人が好きです」 この言葉の含意にピンキリあるからなかなか恥ずかしくて言えない。けれど「職業が芸人ではない人の中にも芸人はいる」 という定義を

          夫婦の会話がつまらない

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし76日目。 僕らはおしゃべりが好きな夫婦。 もし夫婦間の会話がなくて困っているなら、相手の話しがつまらないなら、ラジオを始めてみると良い。 夫婦円満の秘訣を知らないstandFMで、妻とラジオをやっている。 今は毎日配信を心がけている。妻はpilatesトレーナーで僕は柔道整復師だから、身体についての談義という名目で喋っているが、身体に対しての良情報が流されるかといえば疑わしい。特に誰かに聞かせるようにやっているというよりかは、毎日自分たちか

          夫婦の会話がつまらない

          苛々なのは此処だからか

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし75日目。 上も右も左も下も、無いと仮定したら。 もうここしかない。 読書をする。 なんてったって時間があるから、朝ゆっくり起きて、今日は荷物の整理なんかして、スーパーマーケットで食材を揃えて、帰って晩飯をつくる。その隙間隙間で読書をしたりする。 働いて働いてストレスを溜めるなんて時間はないから快適で、わざわざ解消する必要もないから、それに割く時間も要らない。 なのに苛々する。僕と同じ生活をしている妻との擦り合わせがうまくいってないというの

          苛々なのは此処だからか

          母不在。父に塩辛

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし74日目。 父のつまみにイカの塩辛をつくった。 妻と暮らしている時は基本部屋にテレビを置かない。 何のポリシーもないが、買うお金がもったいないし、テレビニュースってなんかもう、なんかもう、だよね。 けれど実家にはテレビがある。実家にはなぜこんなにもテレビがあるのか。こんなにもというのは台数のことではなく、ほぼずっとついている、父母が起きている限りずっと休まず、こんなにも、こんなにもリビングを支配している、こんなにも存在意義を主張する。ある。そ

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし73日目

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし73日目。 日日是好日という映画を見た。 日日是好日。にちにちこれこうじつ。 簡単に言ってしまえば、"毎日はすばらしい"みたいなことです。 映画ではもっと、日と、日と、是と、好と、日という漢字でこの字が成り立ってますよ、と言ってるぐらいゆっくりと、それぐらい一つ一つ、丁寧に春夏秋冬、13年ほどの月日を1時間半におさめていてすばらしい。 "丁寧に13年間を1時間半に収める"っていう言葉の時点で、その難しさがわかっていただけると思うが、ちゃんと映

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし73日目

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし72日目

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし72日目。 なんかちがうぞ、初心と。 noteを始める理由があったかスッと思い出せないが、始めるにあたってこんな風にしたいなと思ったことがある。 それは"こんな風にしたい"というような理想なんて掲げないことである。 働いてないくせ実家に70日以上も滞在しているのに、なぜか給与があるため焦りも不安もない僕は、ひきこもりよりも意地がない。たしかに子供が生まれるから備えあれば憂いなし、今勉強をするにはとっておきの時間かもしれない。 あれがしたい、

          ハンガリーへ行くはずが実家暮らし72日目