松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問107-125【衛生】論点:人口動態 / 死因別死亡率年次推移とその要因
第107回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問125
一般問題(薬学理論問題)【衛生】
問107-125
Q. 図は、1950年代から2010年代における心疾患及び脳血管疾患の死亡率の年次推移を示したものである。疾患ア~エは、心不全、虚血性心疾患、脳梗塞、脳内出血のいずれかである。次の記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
(注)1994年及び1995年の大きな変化は、死亡診断書の注意書きの周知あるいは国際ルール(ICD-10)適用の影響による。国民衛生の動向2020/2021より引用
選択肢|
1. 疾患アによる死亡率には、狭心症や心筋梗塞による死亡が含まれる。
2. 1995 年以降の疾患イの死亡率の上昇には、老年人口の割合の増加が関係している。
3. 疾患ウは、脳内出血である。
4. 1960 年以降、疾患エの死亡率が低下した原因として、食塩摂取量の低下やタンパク質摂取量の増加がある。
5. 寒冷刺激は、疾患エのリスクファクターとなる。
こんにちは!薬学生の皆さん。
Mats & BLNtです。
matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、薬学理論問題【衛生】を一緒に完全攻略しよう!
今回は、第107回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問125、論点:人口動態 / 死因別死亡率年次推移とその要因を徹底解説します。
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滝沢 幸穂 Yukiho Takizawa, PhD
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設問へのアプローチ|
第107回薬剤師国家試験の問125(問107-125)では、人口動態 / 死因別死亡率年次推移とその要因に関する知識を問われました。
国民衛生の動向2020/2021より引用された、かつて見たことがない折れ線グラフに記載されたア、イ、ウ、エという空欄に入る死因を特定する問題です。
厚生労働省のホームページにある人口動態調査の報告書を読んだことがありますか?
2024年8月現在の最新版は、令和4年報告書です。
人口動態統計(報告書)へのリンクは人口動態調査 結果の概要にあります。
下記のページはお気に入りに登録して定期的に見るように心がけましょう。
人口動態調査 結果の概要|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
上記のページの「人口動態統計(報告書)」に記載された最新版のリンクをクリックすると以下のページにとべます。
令和4年(2022)人口動態統計(報告書)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/houkoku22/index.html
死亡および死因に関するグラフ
概要
令和4年(2022年)の死亡数は1,569,050人で、前年比で129,194人の増加が見られました。
死亡率は12.9(人口千対)で、前年の11.7から上昇しています。
男性の死亡数は799,420人、死亡率は13.5であり、女性の死亡数は769,630人、死亡率は12.3です。
第二次世界大戦前の死亡数は90万〜120万人で、死亡率は16〜20台前半でした。
昭和41年(1966年)には死亡数が67万人と最少を記録し、昭和54年(1979年)には死亡率が6.0と最低でした。
昭和50年代後半から人口の高齢化により死亡数が増加し、平成15年(2003年)には死亡数が100万人を超えました。
75歳以上の高齢者の死亡数は昭和50年代後半から増加し、平成24年(2012年)以降は全死亡数の70%を超えています。
詳細な統計データについては、厚生労働省の人口動態統計参照。
主な死因
明治・大正・昭和初期には感染症が主な死因であったが、昭和33年以降、悪性新生物(腫瘍)、心疾患、脳血管疾患が上位を占めるようになった。
平成23年から肺炎が脳血管疾患を上回り、死因順位で第3位になったが、平成29年には死因統計の分類変更により第5位に下がった。
悪性新生物(腫瘍)の死亡率は昭和22年以降上昇傾向にあり、令和4年には死因順位第1位となった。
心疾患の死亡率は昭和60年に第2位となり、その後も上昇傾向が続いたが、平成6年からは一時低下し、平成9年に再び上昇した。
脳血管疾患の死亡率は昭和45年をピークに低下し、平成3年以降は横ばいで推移したが、平成7年に上昇し、その後は低下傾向にある。
肺炎の死亡率は昭和50年から上昇傾向にあり、平成23年には第3位に上がったが、令和4年には第5位に下がった。
自殺による死亡率は令和4年に前年より上昇し、17.4となった。
見ると、問107-125のグラフではない気がしますね。
心疾患および脳血管疾患の年次推移から、さらに細かい死因の分類を抽出して、特定させる問題です。
疾患ア~エは、心不全、虚血性心疾患、脳梗塞、脳内出血のいずれかである。次の記述のうち、誤っているのはどれか。
上記の厚生労働省の人口動態調査のページに死因の分類の一覧表があります。
表2 選択死因分類と死因簡単分類及び死因基本分類との対照表
選択死因分類コード | 分類名 | 死因簡単分類コード | 死因基本分類コード
Se15 | 高血圧性疾患 | 09100 | I10〜I15 |
Se16 | 心疾患(高血圧性を除く) | 09200 | I01〜I02.0,I05〜I09,I20〜I25,I27,I30〜I51 |
Se17 | 急性心筋梗塞 | 09202 | I21〜I22 | (再掲)👈
Se18 | その他の虚血性心疾患 | 09203 | I20,I24〜I25 | (再掲)👈
Se19 | 不整脈及び伝導障害 | 09206 | I44〜I49 | (再掲)
Se20 | 心不全 | 09207 | I50 | (再掲)👈
Se21 | 脳血管疾患 | 09300 | I60〜I69 |
Se22 | くも膜下出血 | 09301 | I60,I69.0 | (再掲)
Se23 | 脳内出血 | 09302 | I61,I69.1 | (再掲)👈
Se24 | 脳梗塞 | 09303 | I63,I69.3 | (再掲)👈
Se25 | 大動脈瘤及び解離 | 09400 | I71 | (再掲)
Ref.
08.pdf (mhlw.go.jp)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/houkoku22/dl/08.pdf
薬剤師国家試験の出題基準から考えると、選択死因分類まで分けた死亡率の年次推移の知識を問うことは逸脱でしょう。
厚生労働省の人口動態調査に関して、最新の確定した報告書が出題範囲です。
ひょっとしたら循環器系の専門医でなければ死因基本分類コードまでの知識は有していないです。
さらに、出典として「国民衛生の動向2020/2021」という一般財団 厚生労働統計協会の出版物をもってきています。
調べてみたところ、一般的な医療系の出版物です。
が、薬剤師国家資格にふさわしい知識を有しているかを検出するための試験問題に一般的な医療系出版物を引用することの適格性に関しては、専門性の高い精査と審査並びに判断が必要かと考えます。
この第107回薬剤師国家試験 問125での引用範囲に限って言えば、異様というほかないです。
左のグラフが心疾患、右のグラフが脳血管疾患と分けた様子が推察できますが、グラフの上に書いてないと、分けたかどうかも判断不可能です。
コアカリキュラムにおいて検出されるべき薬剤師国家資格に求められる能力のうち、論点:人口動態の知識の有無の検出感度を限りなく下げる意図があったと推測されても仕方がないような問題設計と言えます。
レビュワーが審査の段階で差し戻すようなプロセスが厳守されていないように見受けられます。
もしくは、薬剤師国家試験問題の出典として引用していいものと引用することは適格性を欠くものとの分別が無理な場合、そういう人は問題設計から外したほうが、品質コントロールは容易になるのではないかと考えられます。
でも、ここで、焦ってはいけません。
薬剤師国家試験問題の原本に慣れることが、薬剤師国家試験の完全攻略のための第一歩です。
今回の論点とアプローチ方法について確認しましょう。
論点について
総合的な論点
この問題は、日本の人口動態調査に基づいて、特定の死因別の死亡率の年次推移を理解し、選択肢に対する正確な理解を求めています。問題の中心的な論点は、異なる心疾患および脳血管疾患に関する疫学的特徴、リスク要因、死亡率の変遷、そしてこれらの疾患に関連する社会的・環境的要因についての知識を正確に把握しているかどうかです。
具体的には、各疾患の死亡率の推移、関連するリスクファクター、及び環境要因や医療の進展がどのように影響を与えたかについての理解が問われています。また、正しい死因とそれに対応する死亡率の傾向を正しく結びつける能力が試されています。
選択肢ごとの論点およびアプローチ方法
1. 疾患アによる死亡率には、狭心症や心筋梗塞による死亡が含まれる。
論点: この選択肢は、虚血性心疾患(ア)に関連しています。虚血性心疾患には、狭心症や心筋梗塞など、冠動脈の狭窄や閉塞に起因する病態が含まれます。ここでは、虚血性心疾患に関する定義や、その分類に対する正確な理解が問われています。
アプローチ方法: 疾患アの死亡率の傾向から、虚血性心疾患に該当するかどうかを判断します。また、虚血性心疾患の定義に含まれる病態(狭心症、心筋梗塞)を再確認し、選択肢が正しいかどうかを検討します。
2. 1995 年以降の疾患イの死亡率の上昇には、老年人口の割合の増加が関係している。
論点: この選択肢は、心不全(イ)に関するものです。心不全は、高齢化に伴い発症率が増加する疾患であり、老年人口の増加が死亡率に与える影響が問われています。
アプローチ方法: 疾患イの死亡率の傾向と日本の高齢化の進行を関連付けます。さらに、心不全が高齢者に多い疾患であること、そして高齢化社会において心不全がどのように増加してきたかについての知識を動員して検討します。
3. 疾患ウは、脳内出血である。
論点: この選択肢は、脳梗塞(ウ)に関連するものです。脳梗塞と脳内出血の病態の違いや、死亡率の変遷を理解することが求められています。
アプローチ方法: 疾患ウの死亡率の年次推移(特に1995年以降の減少傾向)と脳梗塞の特徴を比較します。脳梗塞と脳内出血の違いを理解し、選択肢が誤りであるかを判断します。
4. 1960 年以降、疾患エの死亡率が低下した原因として、食塩摂取量の低下やタンパク質摂取量の増加がある。
論点: この選択肢は、脳内出血(エ)の減少傾向に対する食生活の改善(食塩摂取量の低下、タンパク質摂取量の増加)の影響に関するものです。脳内出血のリスク要因や予防策に対する理解が求められます。
アプローチ方法: 1960年代から1990年代にかけての脳内出血の死亡率低下の背景として、食生活の変化がどの程度影響を与えたかを検討します。特に、疫学研究における食塩摂取量の減少と脳内出血の関連を確認します。
5. 寒冷刺激は、疾患エのリスクファクターとなる。
論点: この選択肢は、寒冷刺激が脳内出血(エ)のリスクファクターであるかどうかを問うものです。環境要因と脳血管疾患のリスクの関連性に関する知識が試されています。
アプローチ方法: 寒冷刺激が脳内出血のリスクを高めるメカニズムや、関連する疫学的データを検討します。また、寒冷気候や季節性の影響がどのように脳内出血に関連するかを確認し、選択肢の正誤を判断します。
この問題は、異なる心血管疾患と脳血管疾患に関する幅広い知識を必要とし、選択肢ごとに異なる視点から疾患の理解が求められています。それぞれの選択肢が正確な知識に基づいているかどうかを評価し、論点に対して適切なアプローチを行うことで、誤った選択肢を特定することが可能です。
はじめましょう。
薬剤師国家試験の薬学理論問題【衛生】から人口動態 / 死因別死亡率年次推移とその要因を論点とした問題です。
なお、以下の解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形でGPT4o & Copilot または、Gemini 1.5 Pro が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。
GPT4oの製造元またはGemini 1.5 Proの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。
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問125
一般問題(薬学理論問題)【衛生】
問107-125
Q. 図は、1950年代から2010年代における心疾患及び脳血管疾患の死亡率の年次推移を示したものである。疾患ア~エは、心不全、虚血性心疾患、脳梗塞、脳内出血のいずれかである。次の記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
(注)1994年及び1995年の大きな変化は、死亡診断書の注意書きの周知あるいは国際ルール(ICD-10)適用の影響による。国民衛生の動向2020/2021より引用
選択肢|
1. 疾患アによる死亡率には、狭心症や心筋梗塞による死亡が含まれる。
2. 1995 年以降の疾患イの死亡率の上昇には、老年人口の割合の増加が関係している。
3. 疾患ウは、脳内出血である。
4. 1960 年以降、疾患エの死亡率が低下した原因として、食塩摂取量の低下やタンパク質摂取量の増加がある。
5. 寒冷刺激は、疾患エのリスクファクターとなる。
■■GPT4o
衛生|問 107-125
■論点|人口動態 / 死因別死亡率年次推移とその要因
この問題の論点は、日本の人口動態調査における心疾患および脳血管疾患の死亡率の年次推移と、それに寄与する要因の正確な理解を特定することです。
■解説1|
選択肢1. 疾患アによる死亡率には、狭心症や心筋梗塞による死亡が含まれる。[正しい]
疾患アは、虚血性心疾患であり、狭心症や心筋梗塞による死亡が含まれます。虚血性心疾患は冠動脈の閉塞や狭窄によって引き起こされる疾患で、これが死亡率の変動に大きく影響しています。虚血性心疾患の死亡率は1995年以降大きな増減はなく、2010年以降若干の減少傾向を示しています。
選択肢2. 1995 年以降の疾患イの死亡率の上昇には、老年人口の割合の増加が関係している。[正しい]
疾患イは心不全であり、1995年以降の死亡率の上昇には高齢化が大きな要因となっています。
心不全は老年人口の増加に伴い発症率が高まる疾患であり、2019年には虚血性心疾患の死亡率を上回りました。
選択肢3. 疾患ウは、脳内出血である。[誤り]
疾患ウは脳梗塞であり、脳内出血とは異なります。
脳梗塞は血管の閉塞によって脳の一部が酸素欠乏に陥り、機能障害を引き起こす疾患です。
脳梗塞の死亡率は、1960年から1980年にかけて増加し、1995年以降は減少傾向を示しています。
選択肢4. 1960 年以降、疾患エの死亡率が低下した原因として、食塩摂取量の低下やタンパク質摂取量の増加がある。[正しい]
疾患エは脳内出血であり、1960年から1990年にかけて死亡率が著しく低下しました。
食塩摂取量の低下やタンパク質摂取量の増加がこの低下の要因として挙げられます。これらの食生活の改善は、高血圧の管理や脳内出血の予防に寄与しました。
※疫学研究のデータや考察がなければ、こういった因果関係について明確に断言することはできないので、薬剤師国家試験の正誤問題として、記述のしかたが適格かというと、適格ではないように思われます。Lectureで後述します。
選択肢5. 寒冷刺激は、疾患エのリスクファクターとなる。[正しい]
寒冷刺激は、脳内出血のリスクファクターの一つであり、血圧の上昇を引き起こすため、脳血管に対する負担が増加し、脳内出血のリスクが高まります。
※疫学研究のデータや考察がなければ、こういった因果関係について明確に断言することはできないので、薬剤師国家試験の正誤問題として、記述のしかたが適格かというと、適格ではないように思われます。Lectureで後述します。
■解説2|
虚血性心疾患(ア)について:
狭心症や心筋梗塞は、冠動脈疾患の主要な病態です。
これらの疾患は、冠動脈の狭窄または閉塞により、心筋への血流が制限されることで発症します。
死亡率の安定化には、医療技術の進歩や生活習慣の改善が寄与しています。心不全(イ)について:
心不全は、心臓が十分な血液を全身に送り出せなくなる状態で、高齢化に伴いその発症率が増加します。
高齢者人口の増加は、心不全の発症リスクを高め、死亡率の上昇に直結しています。脳梗塞(ウ)について:
脳梗塞は血管の閉塞によるもので、脳の一部が酸素不足に陥ることで発生します。脳梗塞の死亡率の減少には、降圧薬の普及や血圧管理の改善が寄与しています。脳内出血(エ)について:
食塩摂取量の減少は高血圧の予防に直接的に関与しており、脳内出血のリスクを低下させます。
加えて、寒冷刺激による血圧上昇は、脳内出血のリスクを高めるため、寒冷の予防策が重要です。
■結論|
正しい選択肢は3です。疾患ウは脳梗塞であり、脳内出血とは異なります。
■補足|
選択肢1:
虚血性心疾患に狭心症や心筋梗塞が含まれる点は正確であり、これらの病態が死亡率に与える影響は重要です。選択肢2:
心不全の死亡率上昇には、高齢化が主要な要因として寄与している点が妥当です。選択肢4:
脳内出血の死亡率低下には、食塩摂取量の低下とタンパク質摂取量の増加が関連していると考えられます。選択肢5:
寒冷刺激が脳内出血のリスクを増加させる点も妥当で、適切なリスク管理が求められます。
■Lecture
論点解説 1.
日本の人口動態調査報告書「死因分類表」
各分類に該当する疾患の病態
1. 循環器系の疾患 (I00〜I99)
循環器系の疾患は、心臓や血管に影響を与える病気の総称です。これには、動脈硬化、冠動脈疾患、心不全などが含まれます。これらの疾患は、血液の流れが妨げられることによって、組織への酸素供給が不足し、臓器の機能が損なわれることがあります。
2. 高血圧性疾患 (I10〜I15)
高血圧性疾患は、血圧が持続的に高い状態を指し、心臓、腎臓、脳、血管に重大な影響を及ぼす可能性があります。高血圧は動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。また、慢性的な高血圧は心臓や腎臓の機能障害を引き起こす可能性があります。
3. 心疾患(高血圧性を除く) (I01〜I02.0,I05〜I09,I20〜I25,I27,I30〜I51)
高血圧性疾患を除く心疾患には、冠動脈疾患、心筋梗塞、心筋症、心不全、リウマチ性心疾患などが含まれます。これらの疾患は、心筋への酸素供給の不足や、心臓の構造的・機能的異常に起因し、心拍出量の低下をもたらします。
4. 脳血管疾患 (I60〜I69)
脳血管疾患は、脳内の血流障害による病気で、脳卒中が代表的です。脳内出血や脳梗塞が主な形態であり、これらは神経細胞の壊死を引き起こし、運動障害、認知障害などの後遺症を残す可能性があります。
5. 大動脈瘤及び解離 (I71)
大動脈瘤とは、大動脈壁の一部が膨らんだ状態を指し、破裂のリスクが伴います。解離は、大動脈壁の層が剥離する状態であり、急速な進行が多く、破裂した場合には致命的です。両者ともに、早期の診断と治療が重要です。
6. 高血圧性心疾患及び心腎疾患 (I11, I13)
高血圧によって心臓や腎臓に負担がかかることで発症する疾患です。心臓では心肥大、腎臓では慢性腎臓病を引き起こし、進行すると心不全や腎不全に至ることがあります。
7. 心筋症 (I42)
心筋症は、心筋の構造や機能に異常をきたす疾患で、拡張型、肥大型、拘束型が存在します。これらは、心臓のポンプ機能を低下させ、心不全や不整脈の原因となる可能性があります。
8. 不整脈及び伝導障害 (I44〜I49)
不整脈は、心臓の正常なリズムが乱れる状態を指します。伝導障害は、心臓の電気信号の伝達に異常が生じることで、心拍の不整や心停止の原因となることがあります。
9. くも膜下出血 (I60,I69.0)
くも膜下出血は、脳動脈瘤の破裂などにより、くも膜下腔に出血が生じる疾患です。突発的な激しい頭痛が特徴であり、迅速な医療介入が必要です。
10. 脳内出血 (I61,I69.1)
脳内出血は、脳内の血管が破れて出血が起こる状態です。出血による脳組織の圧迫や壊死が生じ、重篤な神経学的障害を引き起こすことがあります。
11. 脳梗塞 (I63,I69.3)
脳梗塞は、脳の血流が遮断されて、脳組織が壊死する状態です。原因は、血栓や動脈硬化による血流障害であり、早期の治療が後遺症の軽減に重要です。
論点解説 2.
「虚血性心疾患」に該当する死因分類について
虚血性心疾患に該当する分類
09202 | 急性心筋梗塞 | I21〜I22
09203 | その他の虚血性心疾患 | I20,I24〜I25
1. 急性心筋梗塞 (I21〜I22)
急性心筋梗塞は、冠動脈が閉塞し、心筋への血流が急激に減少または停止することによって、心筋組織が壊死する疾患です。
病態生理
冠動脈の閉塞は通常、動脈硬化によるプラーク破裂やその後の血栓形成によって引き起こされます。これにより、酸素と栄養が供給されなくなった心筋細胞は急速にエネルギーを喪失し、細胞死が進行します。壊死した心筋は機能を失い、心臓のポンプ機能が低下します。これが急性の心不全や致命的な不整脈(例:心室細動)の原因となり、即時の治療がなければ死に至る可能性があります。
診断と治療
急性心筋梗塞の診断には、心電図(ECG)や血清心筋マーカー(トロポニンなど)が用いられます。急性期の治療には、血栓溶解療法や経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が含まれます。また、β遮断薬やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬が再発予防に重要です。研究によって、早期治療が長期生存率を著しく向上させることが確認されています。
2. その他の虚血性心疾患 (I20, I24〜I25)
その他の虚血性心疾患には、狭心症や慢性虚血性心疾患(例:陳旧性心筋梗塞、虚血性心筋症)が含まれます。
病態生理
狭心症 (I20):
狭心症は、心筋への酸素供給不足により、胸痛や胸部不快感を引き起こす状態です。一般に、冠動脈が部分的に狭窄しているため、酸素需要が増加する状況(例:運動、ストレス)で症状が現れます。狭心症は安定型(予測可能な症状)と不安定型(予測不能な症状)の二種類に分けられ、不安定型狭心症は急性心筋梗塞の前兆となることが多いです。
慢性虚血性心疾患 (I25):
慢性虚血性心疾患は、過去に発生した心筋梗塞や持続する心筋の虚血によって心臓機能が長期的に損なわれる疾患です。心筋が繊維化し、ポンプ機能が低下することで心不全を引き起こすことがあります。また、冠動脈バイパス術後やPCI後の再狭窄もこのカテゴリーに含まれます。
診断と治療
狭心症の診断には、運動負荷試験や冠動脈造影が使用されます。治療には、ニトログリセリンなどの冠動脈拡張薬、アスピリンなどの抗血小板薬、スタチンによる脂質管理が含まれます。慢性虚血性心疾患の管理には、生活習慣の改善や薬物療法(ACE阻害薬、β遮断薬)が重要です。研究により、これらの治療法が心臓のイベントリスクを低減し、生命予後を改善することが示されています。
これらの虚血性心疾患は、共通して冠動脈の動脈硬化と関連が深く、予防や治療の焦点は動脈硬化の進展を抑え、血行を改善することにあります。生活習慣の改善、薬物療法、さらには適切な外科的介入が、患者の生命予後に大きな影響を与えることが証明されています。
論点解説 3.
人口動態調査における分類表(1)~(4)の定義について
1. 死因基本分類表
人口動態統計で使用する基本的な死因分類表。
日本独自の分類として、国際分類に細分類項目を追加している。
5桁目にアルファベットの小文字を使用。
人口動態統計用の追加細分類項目は、4桁目に数字、5桁目にアルファベットの大文字を使用。
2. 死因簡単分類表
日本の死因構造を全体的に概観するための分類表。
死因基本分類表を基に作成され、WHOの死亡製表用リストを参考にしている。
分類項目は、一定の死亡数が認められるものや、国民や研究者にとって関心が高いものから選定。
5桁の分類番号を設定し、ICD10の章構成に合わせて分類している。
最初の2桁がICD10の章構成。
3桁目が中間分類、最後の2桁が整理番号。
3. 選択死因分類表
社会的に関心の強い死因を選択して作成された分類表。
ICD-9との連続性を考慮している。
死因簡単分類表で死亡数の多い上位15の疾病を参考にして選定。
悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、不慮の事故については、社会的重要性から細分化している。
悪性新生物では部位別死亡順位上位10程度の部位を選定。
心疾患、脳血管疾患、不慮の事故は、死亡数が一定数以上の疾病や事故を選定。
結核は社会的に関心が高いため追加。
4. 死因年次推移分類表
年次ごとの死因の動向を観察するための分類表。
明治32年(1899年)以降の主要な死因の動向を踏まえて作成。
ICD-9の主要死因について一部見直しを行っている。
論点解説 4.
日本における高齢者の増加と、虚血性心疾患および心不全の死亡率の変遷との相関について
1. 日本における高齢化の進展
1995年から2020年にかけて、日本の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は著しく増加しました。1995年には約14.5%だった高齢者の割合は、2020年には約28.8%に達し、世界でも最も高齢化が進んだ国の一つとなりました【1】。
高齢化に伴い、虚血性心疾患や心不全を含む心血管疾患のリスクが増加することが知られています。加齢とともに、動脈硬化や心筋の機能低下が進行しやすくなり、これが心血管疾患の発症を促進します。
2. 虚血性心疾患の死亡率の変遷
虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞を含む)の死亡率は、1995年から2020年にかけて日本で一定の変動を示しました。
1990年代後半から2000年代: この期間、日本における虚血性心疾患の死亡率はゆるやかに増加しました。これは高齢者人口の増加に起因すると考えられます。しかし、2000年代以降、虚血性心疾患の死亡率は徐々に安定し、むしろ減少する傾向が見られました。この減少は、高血圧や高コレステロール血症の治療法の進歩、喫煙率の低下、健康的な生活習慣の普及、医療技術の進展が寄与したと考えられます【2】。
2010年代以降: 2010年代には、虚血性心疾患の死亡率は横ばいか、やや減少傾向にありました。しかし、高齢者の割合が増加し続けたため、虚血性心疾患の発生数自体は増加しました。これは、年齢調整死亡率(人口の年齢構成の変化を考慮した指標)が減少している一方で、実際の発生数が増加していることに関連しています。
3. 心不全の死亡率の変遷
心不全は、さまざまな心血管疾患の最終段階であり、高齢者に多く見られる疾患です。この期間、心不全による死亡率も高齢化に伴って増加しました。
1995年から2000年代: 心不全の死亡率は徐々に増加しました。この増加は、特に高齢者人口の増加に伴うものです。高齢化が進むとともに、心筋梗塞や高血圧などの疾患が進行し、心不全へと移行するケースが増加しました【3】。
2010年代以降: 2010年代には心不全の死亡率がさらに上昇しました。この期間、医療技術の進歩により虚血性心疾患による急性期の死亡が減少したため、結果として生存者が心不全を発症しやすくなったことが一因と考えられます。また、心不全の治療法は進歩しているものの、慢性的な心不全に対する治療は依然として難しく、死亡率の増加を抑制するには限界がありました【4】。
4. 高齢化と心血管疾患の関連
高齢化は虚血性心疾患や心不全のリスクを直接的に増加させる要因です。高齢者においては、以下のような要因が心血管疾患のリスクを高めます:
動脈硬化の進行: 加齢に伴い、動脈の弾力性が低下し、動脈硬化が進行しやすくなります。これにより、虚血性心疾患のリスクが増加します。
心筋の劣化: 加齢とともに、心筋の収縮力が低下し、心不全のリスクが高まります。
併存疾患の増加: 高齢者では、糖尿病や高血圧などの併存疾患が多くなり、これらが心血管疾患のリスクをさらに高めます。
1995年から2020年にかけての日本における高齢化は、虚血性心疾患および心不全の死亡率に大きな影響を与えました。虚血性心疾患の年齢調整死亡率は減少傾向にあるものの、高齢者人口の増加により実際の発生数は増加しています。一方、心不全による死亡率は高齢化とともに増加傾向が続いており、今後も高齢者人口の増加に伴い、さらなる増加が予想されます。
Ref.
総務省統計局, "日本の高齢者人口の推移," 2020年.
NIPPON DATA80 Research Group, "Risk factors for cardiovascular disease in the Japanese elderly population," Journal of the American Geriatrics Society, 2001.
Okura, Y., et al. (2008). "Clinical characteristics and long-term prognosis of heart failure patients in Japan." Circulation Journal, 72(4), 492-498.
Tsutsui, H., et al. (2019). "Heart Failure as a General Pandemic in Asia." European Heart Journal Supplements, 21(Supplement B), B10-B12.
論点解説 5.
脳内出血と脳梗塞に起因した死亡率の年次推移の死亡率の変動に寄与した要因について
脳内出血の死亡率の減少(1960年から1990年)
高血圧管理の改善:
1960年代から1990年代にかけて、高血圧は脳内出血の主要なリスク要因と認識され、その管理が大きく改善されました。降圧薬の普及や治療指針の整備により、高血圧の患者数が減少し、脳内出血による死亡率が低下しました。生活習慣の改善:
健康教育の普及により、食生活や運動習慣が見直され、特に塩分摂取量の減少が進みました。日本は伝統的に塩分摂取量が多かった国ですが、減塩の取り組みが進んだことで高血圧の発症率が低下し、それに伴い脳内出血の発症リスクも減少しました。医療技術の進歩:
脳内出血に対する早期診断技術の向上や、救命率を高めるための治療法の発展が進みました。CTスキャンやMRIの導入による迅速な診断と、急性期の治療法の改善が、脳内出血による死亡率の低下に寄与しました。
脳梗塞の死亡率の増加(1960年から1980年)
高齢化の進行:
日本の高齢化が進むにつれ、脳梗塞の主なリスク要因である動脈硬化の患者が増加しました。高齢者では動脈硬化が進行しやすく、それに伴い脳梗塞の発症リスクが高まるため、死亡率も増加しました。食生活の変化:
1960年代以降、日本の食生活は急速に西洋化し、脂質や糖質の摂取量が増加しました。これにより、肥満や糖尿病の発症が増え、それが脳梗塞の発症リスクを高めました。特に、動脈硬化の進行を促進する要因となるコレステロールや脂質の摂取が増加したことが、脳梗塞の増加に寄与したと考えられます。脳血管障害に対する認識の変化:
医学の進歩により、脳血管障害に対する認識が深まりました。脳内出血と脳梗塞の区別がより明確になり、これが脳梗塞による死亡が正確に分類されるようになったため、脳梗塞の死亡率が相対的に増加しているように見える可能性もあります。
脳内出血の死亡率が減少した要因には、高血圧の管理の改善、生活習慣の改善、および医療技術の進歩が挙げられます。一方で、脳梗塞の死亡率が増加した背景には、高齢化の進行、食生活の変化、および脳血管障害に対する認識の変化が寄与しています。これらの要因は、日本における脳卒中関連の死亡率の変動を理解するための重要な手がかりとなります。
論点解説 6.
脳血管障害(脳卒中)の病態、予防法、治療法
脳内出血と脳梗塞は、いずれも脳血管障害(脳卒中)に分類されますが、その病態、予防法、治療法には顕著な違いがあります。それぞれの特徴について、科学的根拠に基づいて論述します。
1. 脳内出血(Intracerebral Hemorrhage, ICH)
病態
脳内出血は、脳内の血管が破れて出血が起こることによる病態です。出血によって脳組織が圧迫され、脳機能に障害が生じます。主な原因は高血圧であり、血圧の上昇が脳内の小動脈にダメージを与えることで、血管が破裂します。他の原因には、血管奇形、脳動脈瘤、凝固障害(抗凝固薬や血小板減少症など)も含まれます。
予防
高血圧の管理: 高血圧は脳内出血の最大のリスク要因であり、血圧を適切に管理することが予防の鍵です。降圧薬の適切な使用や生活習慣の改善(減塩、適度な運動、禁煙など)により、脳内出血のリスクを大幅に減少させることができます【1】。
血液凝固異常の管理: 抗凝固療法を受けている患者では、出血リスクの増加が問題となるため、出血のリスクと治療のバランスを考慮した管理が重要です。ビタミンK拮抗薬やNOACs(新規経口抗凝固薬)の適切な使用が推奨されます。
治療
外科的介入: 出血の大きさや位置によっては、手術による血腫除去が行われます。特に、出血による脳ヘルニアや神経症状の進行が見られる場合、緊急の外科手術が必要です【2】。
保存的治療: 軽度の脳内出血では、血圧管理を中心とした内科的治療が行われます。降圧薬や浸透圧利尿薬(マンニトールなど)が使用され、脳圧の管理が重視されます。
再出血の予防: 急性期を過ぎた後の管理として、再発予防のために高血圧管理や血管修復手術(動脈瘤の場合)などが考慮されます。
2. 脳梗塞(Ischemic Stroke)
病態
脳梗塞は、脳の血流が遮断されることで脳組織が虚血状態に陥り、最終的に壊死する病態です。主な原因は、動脈硬化による血管閉塞や心原性塞栓(心臓からの血栓が脳血管に流入)です。脳梗塞は、血栓が大きな血管を塞ぐアテローム血栓性脳梗塞、心臓からの血栓が原因となる心原性脳塞栓症、小さな血管が詰まるラクナ梗塞に分類されます。
予防
動脈硬化の予防: 高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の管理が動脈硬化の予防につながります。スタチンや降圧薬、抗血小板薬(アスピリンなど)の使用が予防効果を高めます【3】。
心房細動の管理: 心房細動が脳梗塞の主要なリスク要因の一つです。抗凝固療法を適切に行い、血栓形成を抑制することで、心原性脳梗塞の予防が可能です【4】。
治療
血栓溶解療法: 発症から4.5時間以内であれば、tPA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)を用いた血栓溶解療法が推奨されます。この治療は、血栓を溶解し、血流を回復させることで、脳の損傷を最小限に抑えることが目的です【5】。
血管内治療: 発症から6時間以内に行う場合がある血管内治療(血栓回収療法)は、特に大血管の閉塞に対して有効であり、カテーテルを用いて血栓を直接除去する方法です。
抗血小板療法・抗凝固療法: 発症後の再発予防として、抗血小板療法(アスピリンやクロピドグレル)や抗凝固療法(ワルファリン、DOACs)が用いられます。これにより、再発リスクを低減します【6】。
脳内出血と脳梗塞は、いずれも重篤な脳血管障害ですが、その病態、予防法、治療法は異なります。脳内出血の予防には主に高血圧管理が重要であり、治療には外科的介入が含まれることがあります。一方、脳梗塞の予防には動脈硬化や心房細動の管理が鍵であり、治療には血栓溶解療法や血管内治療が重要です。これらの違いを理解し、適切な対応を行うことが、患者の予後改善に寄与します。
Ref.
Chobanian, A. V., et al. (2003). "Seventh report of the Joint National Committee on Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure." Hypertension, 42(6), 1206-1252.
Broderick, J. P., et al. (1999). "The importance of early surgery for subcortical hemorrhage: An analysis of the CT-verified series." Stroke, 30(5), 935-942.
Amarenco, P., et al. (2006). "High-dose atorvastatin after stroke or transient ischemic attack." The New England Journal of Medicine, 355(6), 549-559.
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Hacke, W., et al. (2008). "Thrombolysis with alteplase 3 to 4.5 hours after acute ischemic stroke." The New England Journal of Medicine, 359(13), 1317-1329.
Sacco, R. L., et al. (2006). "Guidelines for prevention of stroke in patients with ischemic stroke or transient ischemic attack." Stroke, 37(2), 577-617.
論点解説 7.
日本人の食塩摂取量の変遷と脳内出血の発生率の変遷について
日本人の食塩摂取量の変遷と脳内出血の発生率の変遷には、明確な相関関係があることが複数の疫学研究で示されています。以下に、これらの関連性について科学的根拠に基づいて論述します。
1. 日本人の食塩摂取量の変遷
日本では、伝統的に食塩摂取量が非常に高い傾向がありました。戦後直後の1950年代から1960年代にかけて、日本人の1日あたりの平均食塩摂取量は20グラム以上と報告されており、これは現在の推奨量を大きく上回る値です。この高い食塩摂取量は、主に味噌や醤油、漬物といった塩分の多い伝統的食品によるものでした。
しかし、その後の公衆衛生政策や健康教育の進展に伴い、食塩摂取量は徐々に減少しました。特に1970年代以降、政府や医療機関による減塩キャンペーンやガイドラインの策定が進められ、日本人の食塩摂取量は1980年代には約12グラム/日、2000年代には約10グラム/日まで減少しました。
2. 脳内出血の発生率の変遷
脳内出血は、高血圧が主要なリスク要因であり、高血圧の管理が不十分であった時代には、脳内出血の発生率が非常に高い状況が続いていました。1960年代から1970年代にかけて、日本における脳内出血の発生率は高く、脳卒中全体の中での死亡原因としても主要な位置を占めていました。
しかし、1970年代以降、食塩摂取量の減少に伴い、高血圧の有病率が低下し、それにより脳内出血の発生率も著しく減少しました。1980年代から1990年代にかけて、日本での脳内出血の発生率や死亡率は顕著に低下しています。
3. 疫学研究による相関の証明
いくつかの疫学研究や公衆衛生学的研究により、食塩摂取量の減少と脳内出血の発生率の低下との間には強い相関があることが示されています。
NIPPON DATA80: 1980年から開始されたこの大規模な疫学研究では、日本人の食塩摂取量と血圧、脳卒中リスクとの関係が調査されました。この研究により、食塩摂取量が多いほど血圧が高くなり、特に脳内出血のリスクが増加することが確認されました。逆に、食塩摂取量の減少が脳内出血のリスクを低下させることも示されています【1】。
Hisayama Study: 福岡県久山町で行われたこの疫学研究でも、食塩摂取量が高い地域ほど脳卒中(特に脳内出血)の発生率が高いことが報告されています。また、食塩摂取量が減少した結果として、脳内出血の発生率が低下したことが示されています【2】。
4. 食塩摂取量減少による公衆衛生上の影響
日本においては、1970年代以降の食塩摂取量の減少により、高血圧の有病率が低下し、それが脳内出血の発生率の低下に直接的に寄与していると考えられます。これにより、日本全体の脳卒中による死亡率も大きく減少し、健康寿命の延伸に寄与しました。
日本人の食塩摂取量の減少は、脳内出血の発生率や死亡率の低下に強く関連しています。これは、食塩摂取量の減少が高血圧の予防や管理に寄与し、その結果として脳内出血のリスクが低減されたことを示唆しています。公衆衛生政策としての減塩推進が、日本における脳血管障害の減少に大きく貢献したといえるでしょう。
Ref.
Ueshima, H., et al. (1989). "Changes in cardiovascular disease risk factors in Japan, 1956–1980." NIPPON DATA80. Hypertension Research, 12(2), 23-28.
Kubo, M., et al. (2007). "Trends in the incidence, mortality, and survival rate of cardiovascular disease in a Japanese community: The Hisayama Study." Stroke, 38(1), 17-23.
論点解説 8.
日本人のタンパク質摂取量の変遷と脳内出血の発生率の変遷について
日本人のタンパク質摂取量の変遷と脳内出血の発生率の変遷との関連については、食塩摂取量と脳内出血の関連性ほど明確な疫学的エビデンスは多くありませんが、いくつかの研究や理論的な背景から考察することができます。以下に、科学的な根拠に基づいて論述します。
1. 日本人のタンパク質摂取量の変遷
戦後の日本における食生活は、大きな変遷を遂げました。1950年代の日本人の食事は、主に米や野菜、魚を中心としたものであり、特に動物性タンパク質の摂取は現在よりも少なかったです。しかし、1960年代以降、経済成長に伴って食生活が多様化し、動物性食品(肉、卵、乳製品)の消費が増加しました。これにより、総タンパク質摂取量が増加し、特に動物性タンパク質の摂取が増えました。
日本国民栄養調査によると、1950年代の日本人の1日あたりのタンパク質摂取量は約60グラムでしたが、2000年代には約80グラムに達しています。この増加は主に動物性タンパク質の消費増によるものです。
2. 脳内出血の発生率の変遷
脳内出血は、主に高血圧がリスク要因とされています。前述の通り、日本では1950年代から1970年代にかけて脳内出血の発生率が非常に高かったものの、1980年代以降は減塩運動や高血圧治療の進展に伴い、発生率が顕著に減少しました。
3. タンパク質摂取と脳内出血の関連性
タンパク質摂取と脳内出血の関連性については、以下のような観点から考察が可能です。
高血圧に対する影響: 一部の研究では、高タンパク質食が血圧を下げる効果があることが示されています。特に、大豆や魚などの良質なタンパク質源を摂取することで、血圧が低下し、その結果として脳内出血のリスクが減少する可能性があります。例えば、大豆タンパク質は、ACE(アンジオテンシン変換酵素)の活性を抑制し、血圧を低下させる効果があることが報告されています【1】。
動物性タンパク質と動脈硬化: 動物性タンパク質の摂取が増加すると、動脈硬化の進行が促進される可能性があります。動脈硬化が進行すると、血圧が上昇しやすくなるため、間接的に脳内出血のリスクが増加する可能性があります。しかし、日本においては、脳内出血よりもむしろ脳梗塞や心筋梗塞のリスクに関連している可能性が高いです【2】。
全体的な栄養バランスの改善: 戦後、日本の食生活が向上し、タンパク質摂取量が増加することで、栄養バランスが改善されました。この栄養バランスの改善が、全般的な健康状態の向上につながり、結果として高血圧や脳卒中(特に脳内出血)の発生率を低下させる一因となった可能性があります。栄養バランスの改善は、食塩摂取量の減少とともに、高血圧の予防に寄与したと考えられます【3】。
4. 疫学研究の限界と今後の課題
タンパク質摂取量と脳内出血の発生率との関連について、直接的な因果関係を示す疫学研究は限られています。多くの研究は食塩摂取量や脂質、糖質との関連に焦点を当てており、タンパク質に特化した研究は少ないのが現状です。しかし、栄養バランス全体が高血圧や脳卒中リスクに与える影響を考慮することは重要です。
今後の課題としては、特にタンパク質の質(動物性 vs. 植物性)や量が脳血管障害に与える影響を詳細に調査することが必要です。
日本人のタンパク質摂取量の増加は、経済成長に伴う食生活の変化とともに進みましたが、脳内出血の発生率の減少には、食塩摂取量の減少や高血圧治療の進展が主な要因として寄与していると考えられます。タンパク質摂取と脳内出血との直接的な関連を示すエビデンスは限定的ですが、栄養バランス全体の改善が間接的に高血圧や脳卒中リスクの低減に寄与した可能性はあります。今後、さらに詳細な研究が必要です。
Ref.
He, J., et al. (1999). "Effects of soybean protein on blood pressure: A randomized, controlled trial." Annals of Internal Medicine, 131(2), 123-131.
Kromhout, D., et al. (1995). "Dietary saturated and trans fatty acids and cholesterol and 25-year mortality from coronary heart disease: The Seven Countries Study." Preventive Medicine, 24(3), 308-315.
Ueshima, H. (2007). "Explanation for the Japanese paradox: Prevention of increase in coronary heart disease and reduction in stroke." Journal of Atherosclerosis and Thrombosis, 14(6), 278-286.
論点解説 9.
高血圧治療の歴史
日本における高血圧治療の歴史は、医療技術や公衆衛生政策の進展とともに大きく変遷してきました。以下に、1950年から2020年までの高血圧治療の歴史を年表形式で概観します。
1950年代
1950年: 第二次世界大戦後、日本では高血圧が広く認識されるようになりましたが、治療法は限られていました。主に生活習慣の改善が推奨され、薬物治療の選択肢は少なかったです。
1958年: 日本高血圧学会(当時は日本循環器学会内の分科会として設立)が設立され、高血圧に関する研究と教育が進められ始めました。
1960年代
1960年: 硫酸ヒドララジンやレセルピンなどの降圧薬が日本で導入され、高血圧治療における薬物療法が本格的に開始されました。
1964年: 日本での国民健康保険の普及により、より多くの人々が医療にアクセスできるようになり、高血圧治療が一般化し始めました。
1970年代
1970年: β遮断薬(プロプラノロールなど)が日本で利用可能になり、高血圧治療の選択肢が拡大しました。
1971年: WHOの基準に基づき、日本高血圧学会が高血圧の診断基準と治療指針を制定。これにより、全国的な治療の標準化が進みました。
1976年: カルシウム拮抗薬(ニフェジピンなど)が導入され、特に高齢者における高血圧治療が改善されました。
1980年代
1980年: 高血圧患者に対する減塩指導が公衆衛生政策として強調されるようになりました。「減塩運動」が全国的に展開され、食塩摂取量の減少が図られました。
1984年: ACE阻害薬(カプトプリル)が日本で認可され、重症高血圧や心不全を伴う患者の治療がより効果的になりました。
1987年: 日本高血圧学会が「高血圧治療ガイドライン」を初めて発行。これにより、全国的な治療戦略の統一が進みました。
1990年代
1993年: ARB(アンギオテンシンII受容体拮抗薬)の第一号であるロサルタンが日本で承認され、より副作用の少ない治療法が提供されるようになりました。
1999年: 「高血圧治療ガイドライン1999」が発行され、より詳細な治療指針とエビデンスに基づく治療が強調されるようになりました。
2000年代
2000年: 日本人の食塩摂取量が1950年代に比べて約半分に減少した結果、高血圧の有病率の抑制と脳卒中死亡率の減少が報告されました。
2004年: 日本高血圧学会が「高血圧治療ガイドライン2004」を発行し、ライフスタイル改善の重要性がさらに強調されました。また、動脈硬化性疾患予防のための包括的な治療が推奨されました。
2008年: ARBとカルシウム拮抗薬の併用療法が高リスク患者に対して推奨され、個別化医療の概念が進展しました。
2010年代
2011年: 「高血圧治療ガイドライン2011」が発行され、最新のエビデンスに基づく治療戦略が再度見直されました。特に、高齢者における降圧目標が議論されました。
2014年: 日本高血圧学会が「高血圧治療ガイドライン2014」を発行し、より厳密な血圧管理が推奨されました。このガイドラインでは、糖尿病や慢性腎臓病を合併した患者に対する個別化治療が強調されました。
2017年: 日本でも「臨床研究法」が施行され、治療法のエビデンスレベル向上のための臨床試験が活発化しました。
2020年代
2020年: 「高血圧治療ガイドライン2020」が発行され、新しい降圧薬の導入や、人工知能(AI)を用いた診療支援が開始されました。特に、遠隔医療やIoTを活用した患者モニタリングが普及し、治療の効率化と個別化がさらに進みました。
1950年から2020年にかけて、日本における高血圧治療は、降圧薬の進展とともに劇的に進化しました。食塩摂取量の減少や公衆衛生政策の推進により、高血圧の有病率が低下し、脳卒中などの関連疾患の死亡率が大幅に減少しました。また、エビデンスに基づくガイドラインの発行により、治療の標準化と個別化が進展しました。これにより、国民の健康寿命の延伸に大きく貢献しています。
論点解説 10.
寒冷刺激が脳梗塞や脳内出血による死亡に対してリスクファクターとなるか
寒冷刺激が脳梗塞や脳内出血による死亡に対してリスクファクターとなるかについて、いくつかの疫学研究が実施されており、その結果からリスクとの関連性が示されています。以下に、科学的根拠に基づいて論述します。
1. 寒冷刺激と脳血管障害のメカニズム
寒冷刺激が脳血管障害のリスクを高める主なメカニズムは以下の通りです:
血圧の上昇:
寒冷刺激により、体温が低下すると、交感神経系が活性化されます。この結果、末梢血管が収縮し、血圧が上昇します。高血圧は脳内出血や脳梗塞の主要なリスクファクターであるため、寒冷刺激による急激な血圧上昇が、これらの疾患のリスクを高めると考えられます【1】。
血液粘稠度の増加:
寒冷下では、血液の粘稠度が増加し、血液の流れが悪くなります。これが血栓形成を促進し、脳梗塞のリスクを高める可能性があります【2】。
心血管系への負担:
寒冷刺激によって心臓への負担が増加し、特に高齢者や心血管疾患を持つ人々においては、脳血管障害のリスクが増大します【3】。
2. 寒冷刺激と脳梗塞のリスク
いくつかの疫学研究により、寒冷環境が脳梗塞のリスクを高めることが示されています。
季節性の脳卒中発生率:
脳梗塞の発生率は、冬季に高くなることが報告されています。例えば、日本の福岡で行われた研究では、冬季における脳梗塞の発生率が他の季節に比べて有意に高いことが確認されています【4】。これは寒冷刺激による血圧上昇や血液粘稠度の増加と関連していると考えられます。
室内外の温度差:
寒冷地での研究では、屋内と屋外の温度差が大きい場合、特に高齢者において脳梗塞のリスクが増加することが示されています。これは急激な温度変化により、血圧が急上昇することが要因とされています【5】。
3. 寒冷刺激と脳内出血のリスク
寒冷刺激が脳内出血のリスクを高める可能性についても、いくつかの研究で確認されています。
急性血圧上昇による影響:
寒冷刺激は急激な血圧上昇を引き起こし、その結果、脳内の小血管が破裂しやすくなります。これは、特に寒冷環境にさらされることが多い地域に住む高血圧患者において、脳内出血のリスクを増加させる要因となる可能性があります【6】。
季節性の発生率:
日本や中国での研究において、冬季に脳内出血の発生率が増加する傾向が示されています。これは寒冷刺激による急激な血圧上昇が主な要因と考えられています【7】。
4. 対策と予防
寒冷刺激による脳血管障害のリスクを低減するためには、以下のような対策が推奨されます:
適切な暖房の使用:
冬季において、室内を適度に暖かく保ち、急激な温度変化を避けることが重要です。特に、高齢者や高血圧患者に対しては、室内外の温度差を減らすことが推奨されます。
適切な衣服の着用:
寒冷な環境では、体を冷やさないようにするため、適切な防寒衣類を着用することが推奨されます。
定期的な血圧測定:
冬季には、特に高血圧患者は血圧を頻繁に測定し、異常な上昇がないかを確認することが重要です。
寒冷刺激は、脳梗塞や脳内出血のリスクファクターとして認識されています。寒冷環境において血圧が急激に上昇することで、脳血管障害のリスクが増加する可能性があります。特に、冬季における脳卒中の発生率が他の季節よりも高いことが示されており、寒冷刺激と脳血管障害との関連性が示唆されています。予防のためには、寒冷環境への対策を講じることが重要です。
Ref.
Woodhouse, P. R., et al. (1993). "Seasonal variations of blood pressure and its relationship to ambient temperature in an elderly population." Journal of Hypertension, 11(11), 1267-1274.
Keatinge, W. R., et al. (1984). "Increased platelet and red cell counts, blood viscosity, and plasma cholesterol levels during heat stress and associated risks of thrombosis in healthy young men." Journal of Clinical Pathology, 37(10), 1144-1150.
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Shinkawa, A., et al. (1990). "Seasonal variation in stroke incidence in Hisayama, Japan." Stroke, 21(9), 1262-1267.
Wang, Y., et al. (2018). "Cold spells and their associated effects on mortality in a multi-country study." Environment International, 116, 246-254.
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Wang, X., et al. (2013). "Impact of cold weather on the incidence of ischemic stroke and hemorrhagic stroke in China." Stroke, 44(9), 2614-2616.
こちらの文献も読んでみるとよいです。
日本全国を8つの地域に分けて、外気温による心疾患と脳血管疾患の死亡リスクの変動を分析した結果があります。
20℃を基準とした際、外気温が低下すると、自宅での心疾患および脳血管疾患による死亡リスクが上昇する傾向が見られます。
地域別に見ると、北海道では外気温低下に対する死亡リスクの増加が緩やかである一方、温暖な地域ではその傾向が顕著です。
特に、自宅での脳内出血のリスクは、北海道では低いものの、甲信越や東海・近畿地方では高いオッズ比を示しています。
くも膜下出血のリスクは、九州や東北地方で高く、地域差が顕著に表れています。
年平均外気温と死亡リスクの関係を示す図表があり、温暖な地域では低温時の死亡リスクが特に増大することが示されています。
病院での死亡リスクは、外気温の変化による影響が少ないことが分かります。
これらのデータは、地域による住宅内の温熱環境の違いが、死亡リスクに影響を与えている可能性を示唆しています。
Ref.
羽山 広文, 釜澤 由紀, 菊田 弘輝, G-21 人口動態統計を用いた疾病発生に関する研究 : その3 脳血管疾患と心疾患について, 空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集, 2010, 2010.2 巻, 平成22年, セッションID G-21, p. 1419-1422
論点解説 11.
令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況
確定数は、令和4年報告書が最新版ですが、概数は令和5年の月報年計が最新です。
死亡数および死亡率
令和5年の死亡数は157万5936人で、前年比6886人増。
昭和50年代後半から死亡数は増加傾向に。
令和2年に11年ぶりの減少を記録したが、その後増加。
75歳以上の高齢者死亡数は、全死亡数の約70%を占める。
40歳以上の死亡率は、50~54歳及び70~74歳を除き前年より低下。
死亡率性比では、55~79歳で男性の死亡率が女性の2倍以上。
エクセルファイルの図は、論点が人口動態の衛生の問題で出題されることがあるので、見ておくと傾向と対策が立てられる場合もあります。以下の図を見て気づくことがありますか?主な死因に、新型コロナウイルス感染症が初めて掲載されました。令和4年報告書の主な死因と比較してみてください。
死因順位
令和5年における日本の主な死因順位は、悪性新生物(腫瘍)が第1位で、死亡者数は382,492人、死亡率は人口10万人あたり315.6人でした。
心疾患(高血圧性を除く)が第2位で、死亡者数は231,056人、死亡率は人口10万人あたり190.7人でした。
第3位は老衰で、死亡者数は189,912人、死亡率は人口10万人あたり156.7人でした。
脳血管疾患は第4位で、死亡者数は104,518人、死亡率は人口10万人あたり86.2人でした。
悪性新生物(腫瘍)の死亡率は昭和56年以降、一貫して上昇しており、令和5年には全死亡者の24.3%を占めています。
心疾患(高血圧性を除く)は昭和60年に脳血管疾患を抜いて第2位となり、令和5年には全死亡者の14.7%を占めています。
老衰は昭和22年をピークに低下傾向にありましたが、平成13年以降は上昇傾向にあり、平成30年には脳血管疾患を抜いて第3位となり、令和5年には全死亡者の12.1%を占めています。
脳血管疾患は昭和45年をピークに低下傾向にあり、令和5年には全死亡者の6.6%を占めています。
人口動態統計に関する過去問を解説しています。
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では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第107回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問125
一般問題(薬学理論問題)【衛生】
問107-125
Q. 図は、1950年代から2010年代における心疾患及び脳血管疾患の死亡率の年次推移を示したものである。疾患ア~エは、心不全、虚血性心疾患、脳梗塞、脳内出血のいずれかである。次の記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
(注)1994年及び1995年の大きな変化は、死亡診断書の注意書きの周知あるいは国際ルール(ICD-10)適用の影響による。国民衛生の動向2020/2021より引用
選択肢|
1. 疾患アによる死亡率には、狭心症や心筋梗塞による死亡が含まれる。
2. 1995 年以降の疾患イの死亡率の上昇には、老年人口の割合の増加が関係している。
3. 疾患ウは、脳内出血である。
4. 1960 年以降、疾患エの死亡率が低下した原因として、食塩摂取量の低下やタンパク質摂取量の増加がある。
5. 寒冷刺激は、疾患エのリスクファクターとなる。
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