ゴールデン・リバー
この映画の原題は
『シスターズ兄弟(The Sisters Brothers)』である。
情け知らずの凄腕の殺し屋兄弟の物語。
欲望があり、暴力があり、血の愛がある、兄弟愛の物語である。
何も情報を得ずに観ていると
最初は、粗暴なチャーリー(ホアキン・フェニックス)が兄で、
心優しいイーライ(ジョン・C・ライリー)が弟かと思って観ていた。
作中のセリフで、イーライが兄、チャーリーが弟と分かるのだが、
前半は何か違和感を感じていた。
で、見終わったあと原作小説のデータで判明したのだが、
やはり映画と小説では兄と弟の設定が逆になっていた。
たぶんジョン・C・ライリーの方が年上なので入れ替えたのだろうが、
老けた弟という設定で原作どおりにしても正解だったように思う。が、
まあどっちが兄でも弟でもこの物語の面白さに変わりはない(かな?)。
特に、チャウチャウみたいな顔したイーライが可笑しくて格好よかった。
凄腕だが実は殺し屋稼業を辞めたがっている、愛馬の死には悲嘆に暮れる、
高級ホテルで生まれて初めて目にした水洗トイレに子供みたいにはしゃぐ、
歯ブラシと歯磨きの存在を生まれて初めて知り口臭エチケットに目覚める、
女教師に貰ったスカーフを大事に持ちその香りを愛おしく嗅ぎ自慰に耽る、
そんな、愛に焦がれ、愛にあふれる、愛すべきキャラクターだ。
ラスト30分くらいで物語は激動し怒濤の展開に突入するのだが、
そこからのイーライの鬼の活躍が凄まじい。
この後半でイーライ兄設定が活きてくる。
血の愛と血の季節。
そしてラスト、実家のカーテンからこぼれる優しい日差しと安らぎの寝顔。
いい映画を観た。
原作小説を読んでその違いを確かめたくなる映画だった。
2018年 米国・フランス・ルーマニア・スペインの西部劇映画。
監督:ジャック・オーディアール
原作 : パトリック・デウィット『シスターズ・ブラザーズ』
脚本:ジャック・オーディアール / トーマス・ビデガン
出演 : ジョン・C・ライリー / ホアキン・フェニックス /
ジェイク・ギレンホール
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