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人語の一口話(112) ワンアウト3塁1塁

 夏の高校野球。
 各地で繰り広げられてきた予選もきょうの愛媛大会が幕を閉じ、全国49代表が出揃いました。

 いよいよ高校野球の舞台が甲子園球場に移るのですね。
 とても楽しみです。

 表題にしたワンアウト3塁1塁。
 一度、その場面をイメージしてみてください。

 攻撃側にすれば得点のチャンス。
 逆に、守備側からしますと、失点してしまうピンチということになります。

 この場面で、野球ファンが知りたいのは何なのか。

 そのことを頭に入れた実況をしていただきたいと、切に願ってやみません。

 ベンチの様子や投手の立ち居振舞い。打席に入る選手の表情を映し出すのもいいのですが、ピッチャーが投球動作に入るちょっと前には、必ず伝えなければならない事があるのです。

 守備陣形です。

 「内野は前進。浅い守備。バックホーム態勢です。」
 「内野は・・ ファーストとサードが前に出てきています。セカンド、ショートは中間守備でしょうか。ダブルプレーを狙っています。」
 「内野の守備は、それほど前には出てきていません。1点は仕方がないということでしょうか。」

 どのような守備のフォーメーションを採用したのかについて伝えてもらわなければ、野球の持つ醍醐味やおもしろさを感じることが難しいからです。

 守備陣形さえ伝えてくれれば、指揮する監督を含めた守備側チームの意図が読み取れるのです。
 それに呼応して、攻撃側の作戦が変わってくるというとても大事な要素なのです。

 『伝える努力』

 競技に対するリスペクトと受け手のニーズを踏まえていない野球中継ほど、ファンを退屈にさせるものはありません。

 まもなく、甲子園で熱戦が始まります。


   

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