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マーケティング観察 #010 レストラン・飲食店向け予約管理システム「トレタ」
こんにちは。matsumotoo(@matsumotoo988)です。
今回はレストラン・飲食店向け予約管理システム「トレタ」について、観察していきたいと思います。
トレタの運営会社について
まずは運営会社の情報です。創業者の中村さんは元々12年間飲食店を経営されており、そのころの経験からトレタを起業されたようです。
■運営会社について
創業:2013年7月1日
事業内容:飲食店向け 予約/顧客台帳サービスの開発・販売
従業員数:122名(2018年9月1日現在)
企業理念『食の仕事を、おもしろく』のとおり、飲食業界の問題解決をしていく企業になります(以下はトレタサイトより一部抜粋)
外食とは究極のホスピタリティ産業であり、人間のクリエイティビティが最も要求される仕事です。そこで働く人たちはもっともっと社会的に尊敬されるべきだし、憧れの仕事であっていいはずです。そしてテクノロジーが飲食店の役に立てることはまだまだたくさんあるはずです。
私たちはテクノロジーの力を使って、現場の仕事を支え、外食産業をよりよく変え、より豊かな食文化を作ることを目指しています。
運営サービスとしては、以下の2つになります。どちらも飲食業界の問題をテクノロジーで変えていくものサービスです。
■サービス内容
トレタ:飲食店向け予約/顧客台帳サービス
トレテル:飲食店のための予約トラブル防止アプリ
業界シェアNo.1のトレタとは?
トレタは飲食店向けの予約/顧客管理・SaaS型のサービスです。
元々日本で始まったサービスですが、2016年にシンガポールに現地法人を設立しており、アジア地域でも事業展開しています。
また2017年12月時点で、導入店舗数は約10,000店舗間近、予約数は約1億6000万件にのぼり、継続率99%を達成しているようです(プレスリリース参照)
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基本的に導入店舗数は右上がりに伸びており、6000社ごろからさらに角度が上がっている。タイミング的に、2017年にトレタがIT導入支援事業者に認定され、IT導入補助金(最大100万円の補助)が出るようになった効果の可能性がある。
続いて、2016年時点ですが、予約台帳システムの市場規模とトレタの市場シェアのデータです(出典:株式会社シード・プランニング)
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先述のトレタ導入店舗数1万店舗(2018年1月)でも、市場規模的にはまだまだ成長の余地がありそうです。そのため、リクルートやカカクコム(食べログ)といった大手事業者もサービスをリリースし、市場競争が激しくなっている状態だと推測されます。
最後にトレタの機能についてご紹介します。先ほどは予約台帳システム市場に分類されていましたが、主機能としては、顧客台帳/集計・分析/ウェブ予約などの機能もあります(詳細は、サービスサイトに記載)
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他には9種類のPOSとトレタでデータ連携できる機能であったり、
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ぐるなび/ヤフーダイニングなど約30のグルメサービスと連携し、トレタで一元管理することもできるようです。
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ビジネスモデルについて
基本的には、月額課金モデルで月々支払っていくモデルになりますが、オプション(トレタフォンなど)利用時は追加で費用が発生する仕組みです。
飲食店としては、トレタ導入でウェブ予約機能などの売上アップ、予約/顧客管理などでのコスト/リスク削減などに価値を感じて利用していると考えられます。
またUIのわかりやすさやトレタ上での顧客データ(来店履歴の有無)確認など紙台帳の置き換え以上のメリットもあるので、継続率99%という結果になっているのではないでしょうか。
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PEST分析
政治・経済・社会・テクノロジー的に課題が多く、まさにテクノロジーの力で業界を変えれる余地があると感じた。アナログな文化、無断キャンセル問題、利益率が低くなりがちであるなど業界課題がありそうに思えました。
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3C分析
2016年の市場シェア率で 1位 vs 2位で調べてみました。
■市場シェア率
2015年6月:トレタ→34%、ebica→11%(参考リンク)
2016年7月:トレタ→38%、ebica→15%(参考リンク)
※出典:株式会社シード・プランニング
結論からいうと、ebicaの方が連携グルメサービスで優位な面もありそうですが、導入のしやすさ的にはトレタの方がかなり優位そうでした。また営業シーンなどは調べきれませんでしたが、Webの比較だとトレタの方がサービス説明・導入事例などが丁寧に作り込まれており、ebicaは情報量が少なく機会損失している可能性を感じました。
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また予約台帳の1画面(各テーブルの予約一覧)の画面キャプチャを比較してみると、トレタの方が見やすく、飲食店の従業員さんも使いやすそうな印象を受けました(導入の意思決定に寄与していそう)
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プラットフォーマーとしてのトレタ競合を考えてみる
まずはこちらの記事で「レジ周り争奪戦」の業界構造についてご覧ください
あくまで仮説なのですが、トレタの業務提携などを見ていると、「レジ周り争奪戦」であげていた4つの主戦場(集客媒体、予約、POS、決済)全てを滑らかに統合することを目指しているように感じました。
■店舗コスト一覧
人件費:30%
原材料費:30%
家賃:15%
販管費:25% ⬅︎トレタはこの領域を横断的にアップデートしたいのでは?(仮説)
また企業理念『食の仕事を、おもしろく』を実現しようとすると、今までと同じエコシステムだと業界課題も変わらないため、この部分で既にサービス構築しているリクルートが競合になる...かもしれません。
またこの一連の流れを確保できると、集客〜決済までの一連のユーザーと店舗データを取得できることも大きな利益となります。トレタでは飲食店の需要予測→サプライチェーン最適化の取り組み、リクルートでも予約ニーズやネット予約のキャンセル予測などの活用事例が既にあるため、この源泉となるデータをめぐる競争が発生する可能性がありそうです。
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※偶然かもしれないですが、2015年にセールスフォース・2018年にNTTドコモなどから事業拡大のため、大型の資金業務提携をしています。
まとめ:観察して感じたこと
今回は「トレタってなぜ業界シェアNo.1サービスなのか?」を深掘りしたくて、調べてみました。業界としては、新規参入の競合が多いですが、たった創業6年で業界のリーダーポジションを獲得しており、非常に面白かったです。
個人的には以下の理由がありそうに思えました。
(1)他社サービスと自社サービス連携を推進した
これは近年ITサービスでは鉄板だと思います。自社サービスで囲い込むのでなく、前提として他社サービスでもデータ連携し、エコシステムとしてユーザーに価値を届けにいく考え方です。
(昔はそもそも連携自体にコストがかかるので、自社でサービスで囲い込んでいたのかもしれません)
(2)圧倒的なプロダクト改善スピード
アプリのバージョンですが、2019年時点でトレタ→バージョン29.4、ebica→バージョン 11.3となっています。ebicaの方が創業は2012年6月とトレタより約1年ほど早いのですが、アプリ化のタイミングやアプリの改善回数がトレタの方が圧倒的に早く、改善実行力がUIの磨き込みにも反映されているのでは?と感じました
(3)絶妙なタイミングでの独自ポジショニング
集客媒体 > {予約管理:空きポジション} > POS > 決済 のフローの中で、レストランボードがポジションを抑えきる前にトレタが参入できた。また集客媒体サービス保有企業だと、自社媒体からの予約管理しか受け付けられないが、どの媒体にも属していないトレタではどの媒体とも連携可能なポジションングになれた。
(4)POS/集客媒体連携のしやすい実装をしていた(仮説)
実装ソースはみれないですが、他サービスとデータ連携しやすいようにトレタは実装していると思われます。まさに後発サービスならではの戦い方で、(3)の肝となる戦略です。これにより、そもそものデータ連携に必要なコストが抑えられ、競合よりも非常に有利な戦いができると考えられます。
(5)飲食業界全体を変えようとするアクション(より大きな課題解決)
トレタでは飲食業界に対して色々な取り組みしていますが、特にみていただきたいのが以下です。業界全体の課題である人材不足/労働環境のブラック化についての解決策の提案をしている内容です。解決につながる事例もあり、今後非常に可能性があるのではないでしょうか...?
また以下のようなアクションも実行しており、業界全体への問題解決向けてトレタがアクション→新しいトレタの事業が生まれるサイクルが発生しているように思えます。
お読みいただき、ありがとうございました。他にも色々あると思いますが、今回はここまでとさせてください。
自分なりに解説して見ましたが、もし何かの参考になりましたら、幸いです!今後も記事を更新していきますので、よかったらフォローいただけるとうれしいです。
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