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ワーケーションを経験デザインだと考えてワーケーション2.0を想定してみる

ワーケーションはWi-Fiや宿泊設備、支援や制度だけが整えば広がるものでもありません。そこでどのような経験が可能なのか。ワーケーションをひとつの経験デザインだと考えてみましょう。ワーケーションの位置づけを上平先生@専修大学の「デザイン態度論」を参考にすると次のように整理できるのかなと思います。

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ワーケーションがまだまだなのに2.0?と言われるかも知れませんが2010年代半ばからさまざまな地域、企業ですでに実践されてきたところは「その次」を考えています。

少し厳しい見方をすれば、現時点でメディアで見られる批判の多くはworkation 1.0に対してのもので実施側はすでに次の段階に移っています。議論がかみ合わないのはそのあたりが一因にあるのではないでしょうか。

Workation 1.0

Workation 1.0は「ワーカーのため」と言えるでしょう。地域からするとワーケーションは従来の観光の代替・穴埋めとして捉えます。ワーケーションを行う人たちは観光客の一種、つまり消費する人であって、その人たちにどのような経験をしてもらうか、が主眼になります。また企業からすると、従来の仕事における生産性の向上や効率化がポイントになります。

Workation 2.0

Workation 2.0は「ワーカーと一緒に」がコンセプトになります。地域課題や企業課題、SDGsなどワーケーションを行う人たちと地域が一緒に何ができるか、が探られます。そこでは仕事の生産性というよりも、地域とのコラボレーションによって仕事、ビジネスでの創造や刺激が生まれるか、がポイントになります。

また滞在期間も複数回、継続的になり、ワーカーや企業からはより馴染みや愛着が生まれ、地域からの位置づけとしては関係人口創出が目指されます。その中で観光という行動、産業は従来と異なり、再定義されることになってきます。

Workation 3.0

Woraktion 3.0になると「ワーカーが自分自身で」というものになります。地域や企業がそれを準備するのではなく、ワーカーが自作自演で行い、自分自身やその地域をエンパワーするものになります。2拠点生活や移住など長期化し、観光という枠組みでは捉えられませんし、住民との境界は曖昧になり、「住民」になることも出てくるでしょう。そこまでいくとワーケーションは休み方というよりも、働き方、生き方が融合したものになります。

現在の議論は

発端ともなった?件の菅官房長官発言は明日の日本を支える観光ビジョン構想会議のなかの観光戦略実行推進会議から来ています。GoToキャンペーンのタイミングもあり従来の観光の穴埋めや観光促進の意味合いが強く出ています。現時点ではWorkation 1.0についての議論かなと思います。

これらWorkation1.0~3.0という図式はワーケーションを企画したり、考えたりする中である種必然的な展開を構造化したものですが、3.0になればよいというものでもありません。

ただ議論がかみ合わない、どこにフォーカスして考えればよいか分からないといった時に一助になればと思います。実際は、それぞれ観光、関係人口、移住促進など目的に合わせて施策を考えていくことが重要だと思います。

今回の記事はワーケーションをひとつの経験デザインだと考えると、ということでデザイン学に依拠している部分が多くあります。デザイン教育やデザイナーの立ち位置についてLiz Sandersの次のような記事も非常に示唆的で参考になります。

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