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ワーケーションを進める・支援する3つの視点

ワーケーションにさまざまなイメージが入り混じっているのでその企画や実施、支援などをどのように行えばよいのか、議論が錯綜しがちです。

欧米人のように「2週間休んで南の島へ行く」のは無理とか、上司からワーケーションを命じられたりしたら嫌だ、とか。

一方で、地域も急に予算を確保するように検討しないといけないとか、そもそもどの部署(観光?関係人口?企業誘致?)がやるのかなど悩みを抱えているところもあるのではないでしょうか。

この記事ではワーケーションはそもそも何なのか?定義や歴史、また地域で何をやるのか?というよりもどのように区分けすればよいのか、を整理したいと思います。

今回の整理は以下の「定義や流れ」という大きな文脈と具体的な「活動」についてのちょうど中間になります。実際に省庁や自治体、企業が受け入れ・推進を検討するにはこのレベルが一番入りやすいのではないでしょうか。

大きくは以下の図のように3つに分けられるかと思います。ワーケーションにはWork in Vacationという視点とVacation as Workという視点。またワーケーション自体とは少しずれますが比較的導入しやすいブリージャー(Bleisure)もあります。

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Bleisure

Bleisure(ブレイジャー)とは出張の前後に休暇を「足す」ものです。BBCなどでも取り上げられています。ワーケーションの本質は「重ねる」ことにあると思うので、ワーケーションに似ていますが若干イメージが異なります。しかし逆にそうだからこそ、現ルールに取り入れやすいものになります。

これだと出張規定を見直すだけで可能になると思いますし、仕事と休暇を分けているので労災などの問題も比較的クリアしやすいのではないでしょうか。ただ出張の前後の土日で休暇を楽しむとなると有給休暇とはまた異なるので、そのあたりは課題になります。

もちろん現時点では国内外の移動が制限されたり、自粛が求められるので出張が回復しないと実施は難しいものになっています。

Work in Vacation

ワーケーションとして一番イメージしやすいのがこのパータンかなと思います。ただし、休暇で滞在しているのにメール対応やら仕事やらが入ってくるので気が休まらない、という批判が起こりやすいところでもあります。

「休暇に仕事が入ってくる」ではなく、「(最低限の?)仕事に対応することを前提に有給休暇含めて長期休暇を取得できる」にもっていけるかがポイントになると思います。JALの例でもあるように、休暇中の仕事を仕事として認めるか。認めるなら労災はどうする、などの課題が出てきます。

Work in Vacationは一番イメージしやすいからこそ、それぞれの仕事イメージ、休暇イメージがバラバラで重ねにくいことが課題として挙げられます。

Vacation as Work

仕事をバケーション的環境で行う、あるいは、仕事としてバケーション的活動を行う、といったものはVacation as Workと言えます。こちらは仕事として来ているわけで「合宿的」なものと言えるでしょう。サービスやソフトを開発したり、チームビルディングや研修として一定期間集中して行うイメージです。

バリ島などでもアメリカから3-5人のスタートアップが自分たちのサービスをローンチするために滞在するという話はよく聞きます。確かにベイエリアの家賃を考えると物価が安く、リゾートであるバリ島に滞在するのは集中して仕事に取り組むのにはある意味、合理的なアプローチとも言えます。日本でも同様に東京の都心部にオフィスを構えるコストを考えると比較的文化の安いエリアに「篭る」のはアリなのではないでしょうか。

またいわゆる「仕事」ではなく、直接仕事に結びつくかは分からない活動を展開する例もあります。CSRやCSV、また近年ではSDGsなどに関連した活動も当てはまるでしょう。例えばSalesforceの熊野古道を修復するという取り組みなどもあります。

またnulabのリゾートワーク制度では社員の人材育成の一環として捉え、その地域の学校で教える活動を課しています。

つい先だってもJALが地域での活動を入れ込んだワーケーションの実験に取り組むことを発表しました

こうした社会的活動に関心を持つ若者も一定数いますし、それが企業の魅力にもなりえます。そういった意味で、地域と連携してVacation as Workに取り組む企業は増えそうです。

おわりに

もちろんこれらのパターンすべてが無理という業種もあるかと思いますが同時にワーケーションに適する業種だったり、それを希望する人は一定数いるという事実です。ただポイントはいずれにせよ全員に強制するわけではなく、ワーケーションというスタイルを認める、許容する土壌をつくることが重要だと思います。

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