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ワーケーション・デジタルノマドと働き方・地域の未来

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ワーケーションやデジタルノマドがもたらす働き方や観光、地域などにもたらす影響について考えたことを書いています。
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デジタルノマド誘致とワーケーション

2024年はワーケーションと同様に2泊3日や3泊4日などでデジタルノマド誘致を見据えたモニターツアー、プランや施策が増えそうな気もします。 その多くはこれまでやってきた(日本型)ワーケーションを海外向けにアレンジするというイメージになりそうです。ただ正直に言えばその2-3日のためだけに海外からデジタルノマドが来るというのは少し難しいと思います。あるいは来たとしても期待される効果は訪問客増加以外にあまりないのではないかと思います。なぜなら観光はともかく仕事要素が少ないからです

デジタルノマドを日本で受け入れる準備 ー宮崎県日向市ー

日本ワーケーション協会、日本デジタルノマド協会(JDNA)それぞれに関わらせていただいているご縁から宮崎県日向市で行われたデジタルノマドのモニターツアーに同行する機会を得ました。参加者はバリ島、韓国から国籍はイタリア、ウクライナなど多様です。 デジタルノマド・ビザ 先日日本版デジタルノマド・ビザが発表されたように2024年は日本でもデジタルノマドがかなり意識されるようになるでしょう。 ビザの内容としては1000万円以上、6ヶ月滞在あたりがフォーカスされています。高度人材

日本におけるデジタルノマド誘致は成功するのか?

日本で初めてのデジタルノマド・サミットが福岡で行われました。僕自身も日本デジタルノマド協会顧問として名前を連ねさせていただいているのもあり、そこでお話させていただく機会をいただきました。 まずは日本ではいちはやく海外から50名を超えるデジタルノマドを誘致して1ヶ月近くさまざまなプログラムを実践している株式会社遊行のネットワーキング力と行動力、実践力がすごいなと思います。 まさに日本はデジタルノマド元年を迎えたと言えそうです。これを皮切りにインバウンドの観光と並んで特にビジ

デジタルノマドを受け入れる・獲得する準備はできているか?

日本でもデジタルノマドへの注目が高まってきています。2023年8月には日本デジタルノマド協会も立ち上がりました。松下も顧問として末席に加えさせていただいております。英語での論文や書籍など研究領域でもワーケーションよりもデジタルノマドをキーワードにしたものをよく目にします。 デジタルノマドというとバックパッカーでフリーランスのしごとをしている人というイメージが強いかもしれません。しかし近年はそうしたイメージとは異なります。 ワーケーションは日本的な視点だと2-3泊を想定して

ワーケーション事業で考えたいポイント

ワーケーション事業での相談が増える時期?になりました。いろいろな地域での取り組みが展開されること、楽しみです。お話を聞いたり、話たりするなかで改めて地域でのワーケーションの価値や意味を考えています。 「冷静と情熱のあいだ」ではないですが、こうした図が描けるのかなと感じています。都市部とは極端に一言でまとめると「東京=中心=集積」です。その逆は「地方=辺境=分散」と置けそうです。 中心をつくり、そこに多くの人が集まることでアイデアの創造や新しいビジネスのチャンスがあります。

「一肌脱ぐ」ワーケーション

MALL(経営学習研究所)のお声かけで静岡でワーケーションについてお話しさせていただく機会をいただきました。MALL、静岡市役所並びに関係者のみなさまに感謝いたします。 今回の自分の話でキーワードとして挙げさせていただいたのは「一肌脱ぐ」ワーケーションでした。これまでも一旗あげる(=新規事業や起業)、一皮むける(=ストレッチや修羅場経験での成長・学習)という言葉はありました。多分ワーケーションという文脈ではこれらに加えて「一肌脱ぐ」ということはウェルビーイングやSDGsなど

ホットクックとワーケーション

ワーケーションの今後 今年に入ってオフィスへの回帰が見られるなかでワーケーションは今後どうなるのか?ということをよく聞かれます。 確かに2020年以降、日本のさまざまな地域でワーケーションが注目され、盛り上がりました。2023年以降も(オフィス回帰と入れ替わるように)インバウンドの回復、またデジタル田園都市国家構想やテレワーク・ワーケーション官民推進協議会などの動きも見られます。 しかし、ワーケーションは無くならないけどそれがあまり可視化されなくなることが一番の普及かな

マデイラ島とデジタルノマド

マデイラ島は大西洋上にあるポルトガルの島でデジタルノマドの受け入れを積極的に行なっているエリアです。コロナ禍のなかで特にここPonta do Solが打ち出した「デジタルノマド村」はさまざまなメディアに取り上げられ有名になりました。 Ponta do Sol 島の南岸にあるPonta do Solに1週間滞在してきました。こちらの村は徒歩で15-20分もあればだいたい行ける範囲に収まります。村のコワーキングスペースは文化センターに併設されていて無料です。食事などお店はそこ

デジタルノマド的社員(DNE: Digital Nomadic Employees)への注目

最近はデジタルノマドについての原稿やトークが続いたので簡単に思っていることをメモ。 足元では海外からの観光者が戻ってきつつあるという感触もあり、そちらの推進、対応が優勢されているのもあるでしょう。一方でそれだけでよいのかという話です。 MBOの調査ではアメリカのデジタルノマド推計として2019年に730万人だったのが2020年には1009万人、2021年には1550万人と年々40%以上の増加率を見せています。 各国ではデジタルノマド・ビザの発給なども進んでいるのもありま

論文に見る海外デジタルノマドとワーケーションの類型

日本ワーケーション協会の交流会イベントで という論文を読みました。現時点で一番新しい海外デジタルノマドとワーケーションの類型を見るレビュー論文ではないかと思います。論文の内容について備忘録的に。 この論文を「肴」にじゃあ日本だとどうなんだろうとか、あの地域の事例で考えると…など骨太な議論ができました。ついつい目先のTo Doをこなすことに注力してしまいます。もちろんそこからの気づきも多くありますが、同時に論文をもとに考えるといった形で思考を巡らせることも大事だなと思います

DoやBeとしてのワーケーション

自分用のメモ 観光はSight-seeing、すなわち「see(見る)」ですが、J. アーリの『The Tourist Gaze(観光のまなざし)』 などでも取り上げられるように「Gaze(観る)」でもあります。 「観る」はその対象を注意深く見たり、意識して見ることに加えて、そうした見方そのものを見ることでもあります。あるいはJ. アーリの言うように「観る」は社会的に構築されたものとも言えます。 こうした考え方はワーケーションにも適応できるのかなと思います。それは「観る

ステージとモード

ワーケーションや居住地制限撤廃など柔軟な働き方についてさまざまなところでお話させていただいたり、書かせていただくことが多くなっています(機会をいただき感謝です)。その中で繰り返し強調するのはオフィスか自宅か、学びと働く、旅と仕事など二者択一ではなく「どちらでもある=重ねる」ことです。 例えばいま研究を続けているワーケーションについては自分は次のように説明しています。 他にも新聞で中原先生@立教大はリスキリングや複業・副業を含めて、働くと学ぶを次のように「ながら続ける」こと

地方におけるワーケーション施策・支援の勘所

2022年に向けて柔軟な働き方の展開とオフィス回帰が同時に起こっています。ヤフーやメルカリなどをはじめ社員のウェルビーイングのために居住地を問わず交通費などそのための支援も充実させてくるところも増えてきました。もちろんすべての業種や企業がそうなるわけ/べきではありませんが一定割合は定着するのではないでしょうか。 それとワーケーションという文脈をあわせて考えてみると、ワーケーションのスタイルによっていくつかに分類できそうです。 ひとつは都市型ワーケーターで、基本的には都市部

ワーケーションにおける「質の良い交流」とは?

南伊豆町にお招きいただいて箕浦さん、天野さん(メルカリ)とご一緒してサテライトオフィス、ワーケーションについてお話させていただきました。箕浦さんのワーケーションにおけるDXや教育の重要性、天野さんの和歌山ワーケーションの舞台裏などいずれもなるほどというものでした。 松下の話はさておき、パネルディスカッションでSENA株式会社の生畑目星南いただいた質問でワーケーションでいう地域との交流が大事と言われますが「質の良い交流」とは何か?というものがあり、非常に考えさせられました。