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【随想】 「戦争と日本」の話

 戦争が始まる度、常に日本国内で問題となるのは、「日本の戦争との関わり方」である。
 なんせ、日本がいくら財政支援をしても同胞からは感謝されず、むしろ「日本は金を出しているだけだ」と軽蔑される有様だからだ。戦闘民族各国の「日本人も血を流せ」の大合唱に対し、日本政府は苦しい言い訳を発信するばかりである。

 金を出さずに血を流せ!!

 聞こえは勇ましいが、これは“兵站”の重要性を理解していない“猪武者”的な暴言だ。
 当然のことながら、戦争は“鑓働き”だけでは遂行できない。軍隊を動かすには“金”が要る。まさか、兵士を裸の手ぶらで戦地に送り出すわけにはゆくまい。武器・弾薬、食糧、生活物資……その他諸々を賄うには莫大な軍資金と、それに関わる人材が必要となる。「戦争=鑓働きオンリー」思考の猪武者各位に問申す。その戦争資金はどこから出てくるというのだ。戦闘民族各国は“打ち出の小槌”を持っているというのか。 日本の戦国時代でも、税制を革新し経済を発展させた大名が強国としてのし上がっていった。幕末維新の時代、徳川幕府が西国諸藩に屈したのは、旧態依然の経済が破綻したからに他ならない。腹が減っては戦はできぬ、軍資金かねが無ければ戦に勝てぬのだ。猪武者は国を誤らせ、猪国家は世界を滅ぼす。
 戦争における後方支援(=兵站)はけっして軽蔑される行為ではない。軽視した際の悪弊は、敗戦国・日本が一番骨身に応えているはずだ。日本政府は諸外国の批判に右往左往することなく、後方支援の重要性を堂々と世界に発信するべきである。

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