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【随想】 「ナマケモノ」の話

 人間は“怠け者”な生き物である。
 そんな人間が、驚くほど「働き者」に変貌するときがある。

 それはどんなときか?

 それは、その行動が自分の“利”になると確信したときである。
 もともと人間には「利(もしくは楽)を好んで、損(もしくは苦)を嫌う」性質がある。だから、利(もしくは楽)を得ようと働き、損(もしくは苦)を避けようとするのじゃ。

 しかし世の中、“利”になることばかりが転がっているわけではない。“損”を承知で動かねばならないときもある──いや、むしろ、コチラの状況の方が圧倒的に多いかも知れない。

 『論語』の孔子さまは《君子は義にさとり、小人は利に喩る》と仰っしゃったが、生憎、世間はそんな小人たちで満ち溢れている。

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