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アメリカの最近のキャッシュレス事情

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さて、質問箱の方でこのような質問を頂いたので、今日はこちらの方にお答えしたいと思います。

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結論から言うと、アメリカではここ数年ですっかりキャッシュレス化が定着しました。今僕の財布の中には現金が1ドルしか入っていません。あと2週間するとまた日本に行くんですが、おそらくこのままで次の2週間過ごすだろうと思います。なぜなら、本当に現金が必要ないからです。

そもそもキャッシュを以外の支払い方法が認知されてた

アメリカって元々キャッシュレス化が早くから進んでいました。公共料金や病院の支払いなども小切手を送付するのが普通でしたし、それどころかその辺のスーパーでのお買い物でも、やおら小切手帳を引っ張り出して、その場で小切手を記入するおばちゃんとかが沢山いました。80年代はこういうスタイルが本当に普通でしたが、最近では流石にあまり見なくなってきました。公共料金も今では引き落としが一般的です。なぜか病院だけはまだあとで小切手を送るのが割と一般的ですが、なぜこれだけ残っているのかは謎です。

それからクレジットカードも早くから普及しており、80年代にはすでにホテルの予約時にクレジットカードの番号を聞くところが多数ありました。ドタキャンなどをした場合、キャンセル料をそこから引かれるというわけです。日本も予約時にクレジットカードの番号の入力を義務付ければ、レストランでのドタキャンなんてなくなると思うんですけどね。

90年代からのデビットカードの普及

次に90年代になるとデビットカードが広く普及しました。銀行のATMカードが最初からデビットカードになったものが一般化したためではないかと思います。僕が2002年に再びアメリカに戻ってきたときは、もうどこの銀行のATMカードもデビットカードの機能を備えていました。これ、日本の銀行がいまだにデフォルトでやらないのが不思議なことの一つです。

なのでアマゾンを初めとするEコマースのサイトが立ち上がってきた90年代後半〜2000年代初頭には、すでに誰もがクレジットカードかデビットカードのどちらかを持っていました。これはEコマースの立ち上がりに大きく貢献したような気がします。また、プリペイド式のデビットカードも普及しました。これはその辺のスーパーですら手に入りますが、例えば50ドルとか入れておいて子供に与えるといった使い方もできますので、こちらも普及しています。

そんなわけで、2000年代の前半にはすでにもうかなりキャッシュレス化が進んでいました。それでもその頃にはまだまだキャッシュが必要でした。ちょっとしたコーヒーとかはまだまだキャッシュ払いでしたしね。僕の1ヶ月に1度くらいはATMから200ドルくらい引き下ろしていたものです。

スマートフォンがが進めた更なるキャッシュレス化

しかしこの業況を一変させたのが、2010年に生まれたSquare という会社です。この会社、iPhoneのイヤフォンジャックに刺せばクレジットカードリーダーになる簡単な磁気読み取り装置と、クレジットカード決済を処理するためのアプリを発売し、一気にキャッシュレスを促進したのです。

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これがどのくらいのインパクトがあったかというと、例えばコンサート会場などでCDやTシャツを買うときでさえ、キャッシュが要らなくなったのです。またこの会社、iPadが発売されるとすぐさま iPadと一体化したレジシステムを構築して販売を始めました。

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僕もアメリカで運営してるビジネスでこの会社のデバイスを使っていますが、顧客の管理システムも簡単に構築できて非常に便利です。来店したお客さんにメールアドレスを登録してもらうと、その後はスワイプするたびにレシートが電子メールで送られるようになります。また、オプションの印刷機を買えば、昔ながらのレシートを紙で印刷することも可能です。

その後様々な会社がこれと類似したシステムを販売し、今では、個人経営の小さな喫茶店や床屋でも当たり前のようにクレジットカードが使えるようになりました。これ以前にクレジットカードを導入しようとすると結構ハードルが高かったのですが、この会社はリーダーを買ってアカウントを作るだけなので、導入へのハードルが極めて低いのです。

非接触型の登場

さらにここから数年が過ぎると、今度はアップル自身がApple Payという非接触型の支払い方式をイントロしました。それ以前も非接触型の提案はいくつもあったのですが、なぜか普及しなかったのです。

現在でもApple Payは決して主流ではありません。それどころか、非接触型の決済方式自体がなぜかあまり普及しないのです。これはおそらく、先にクレジットカードやデビットカードがあまりに広く普及してしまったことによるものではないかと思います。

それでもにようやく最近になって少しばかり普及の兆しが見えてきました。例えば、ガソリンの支払いを非接触型でできるようになったところが増えてきましたし、また面白いところではATM自体が非接触型に対応していて、デビットカードを機械に入れなくてもキャッシュを取り出せるようになってきました。この他路上パーキングのパーキングメーターとかもApple Payに対応したところが出てきました。

こちらはガソリンスタンド。左端上が読み取るところです。

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こちらはATM。うちの近所でもよく見かけます。もっともキャッシュ自体が不要なので意味を感じないのですが。

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ただ、非接触型の普及にはまだもう一押し、キッカケが必要な気がします。メリットが今ひとつ見えないんですよね。この非接触型決済に関しては、日本の方が先を行っています。

その他のキャッシュレス決済

スマホからリクエストできるサービスはどれもスマホ内で支払いが完結しているので、これまた現金の必要性を省いてくれます。UberとかLyft などのライドシェアサービスの支払いもApple Payやクレジットカードの登録で済みますから、アメリカに出張や旅行に来ても、以前のように大量の現金は必要ありません。クレジットカードを持ち、Apple Payとウーバーへの支払いが設定してあれば、現金を一銭も使わないで済む可能も大きいです。どうしても心配だったら、100ドルも換金してくればどうにでもなると思います。

小型化する財布

あまりにキャッシュレスが進んだので、最近ではお財布の形状そのものが変わりつつあります。僕もスマホの裏に貼り付けて使うタイプの財布を使っていますが、ハッキリ言ってこれで十分です。

また、ミニマリストスタイルのかっちょいい財布も色々と販売されています。小銭もお札も要らないとなれば、当然の流れですよね。

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まだキャッシュが残っているところ

では全てがキャッシュレスしたかというと、昔からある中華料理のお店とか、英語がロクに通じない床屋さんとかに行くと、現金でないと支払いできないお店も残っています。また、サンデーマーケットとかガレージセールに行けば、やっぱり現金がまだまだ幅を効かせています。あとは、単発のイベントの支払いとかもだいたいキャッシュですね。

あと、ちょっと素性のよくわからない日雇いの労働者の方に支払いをするときには、キャッシュで払うようにしています。以前、小切手を切って悪用されたことがあるので、それ以来現金で払うようにしています。でも、そんなことは滅多にないので、普通の生活では全く必要ありません。

そんなわけでアメリカに出張や旅行に来る方は、次の4つをやっておけば準備万端です。

- クレジットカードを忘れずに持ってくる
- SIMフリーのスマホを用意する
- Uber とLyftのアプリをダウンロードし、クレジットカードを登録してお
- Apple Payにクレジットカードを登録しておく

Uber とLyftのアプリが使える状況にしておくと、移動にキャッシュが要らない上に、行き先を告げる必要さえもないので本当に便利です。

以上、2019年4月時点に置ける、アメリカのキャッシュレス事情をお送りしました。質問者の方の参考になれば幸いです。

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