松戸市議会総務財務常任委員会 令和3年度請願第5号概要 その3<理事者への質疑、継続審議の動議、討論、採決>

前回の記事では、松戸市議会令和3年度請願第5号「交通安全運動に協力した松戸市民が受けた人権侵害に関する取り組みを求める請願」の総務財務常任委員会での審査について、「紹介議員への質疑」の部分までご紹介いたしました。

本記事では、その次の「総務部行政系課長への質疑」の部分からです。今回行政経営課は直接の担当課ではないものの、「人権啓発」の観点からの課長が出席することとなりました。

前回も申し上げた通り、あくまでも、私のメモと記憶を頼りに、「だいたいこういうやり取りだっただろう」というものを書いていきますので、誤りや漏れががある可能性は十分にあります。何卒ご了承ください。

※参考資料

請願文は下記の記事の中にあります。(請願文の部分はここです。)

請願文にある「全国フェミニスト議員連盟による抗議ならびに公開質問状」はこちらです。

理事者(総務部行政経営課長)への質疑

<DELI委員(政策実現フォーラム)>
・通常市民から人権侵害に関する相談があったときは、法務省の人権相談窓口などを紹介するという認識だが、それでよいか?
・岡本議員から話が出た「ネットパトロール事業」は、個別の案件を市が調査するようなものなのか?

→<行政経営課長>
・法務省の窓口や人権擁護委員などを紹介している。市が個別のケースの判断に介入することはない。市としては、人権侵害の啓発を行っている。
・「ネットパトロール事業」については把握していない。

<DELI委員>
例えば今回のケースで相談があったとして、人権擁護委員等を紹介して人権侵害が認められた場合、市の啓発活動に反映させたりすることはありえるのか。

→<行政経営課長>
その場合は啓発を行っていきたい。

<宇津野史行委員(日本共産党)>
フェミニスト議連の抗議文の宛先の一つは松戸市長となっている。市側の対応は?
・一定の影響力を持っている方々から市に抗議があった場合と、一市民からの抗議があった場合、対応に差があるのか。

→<行政経営課長>
・「他の行政機関が行った事業であり、詳細は把握していない」と回答した。
・対応に差はない。

<宇津野委員>
4つの請願事項の中で、今回のケースを受けて行ったこと、或いはすでに行われているものはあるか?

→<行政経営課長>
今回のケースを受けて行ったことはない。人権啓発活動は行っている。

委員間のフリートーキングによる意見交換

委員から発言なし

継続審査の動議

飯箸公明委員長(公明党)から継続審査の意向はないかとの問いに、宇津野委員から動議が出されたため、直ちに議題となった。

<宇津野委員>
請願者の意見を総合すると、一定の影響力があるひとからの公的機関への働きかけで市民への発信力に制限がかかることへの懸念という点は貫いていると思う。ただし、請願文には「市民を犯罪の原因と断定する」とあるものの、フェミニスト議連の抗議文にはそのように書かれてはいない。請願の趣旨は極めて理解できる。もう少し、請願文の内容を精査する期間があってもいいのではないか。

⇒賛成:宇津野委員のみ⇒継続審査は否決

討論

<DELI委員>:反対
市では個別の案件には対応していない。現在は、人権と人権が衝突しているような状態である。行政が予断を持って啓発活動を行うべきではない。市が所管ではないというのも理由として大きい。市としては市民には人権擁護委員等を紹介して、人権侵害だと認定されれば啓発活動というアプローチをとってほしい。
ある個人の人権は他者の人権と衝突するときに限り制限がかかるもの。
表現の主体が公なのか個人なのかも判断するうえで重要である。憲法学者の志田陽子氏は現代ビジネスの記事の中で、”自治体の広報は「公」が発する言論に属するもので、一般人と同じ「自由権」の保障を受けるものではない。…”(※)と述べていて、私たちも概ね賛同している。

<宇津野委員>:反対
今回の問題は、請願者のほうが正しいか、フェミニスト議連のほうが正しいか、判断が難しい問題で、人権の衝突を我々が判断することはできない。請願文では「市民を犯罪の原因と断定」しているとの主張だが、フェミニスト議連が問題にしているのは、「女性の定型化された役割に基づく偏見及び慣習を助長」していることと、「女児を性的な対象として描くキャラクターを公共機関が採用すること」である。この請願を認めると事実の食い違いまで認めてしまうので、この文章では賛成できない。人権の視点は重要なので、また違った視点で議論できればと思う。

採決

起立者なし⇒「不採択とすべき」

※DELI委員が引用したのは、この記事のこの部分と思われます。

自治体の広報は「公」が発する言論に属するもので、一般人と同じ「自由権」の保障を受けるものではない。そこに「公の言論としては不適切ではないか」との批判が生じてきたとき、公の機関が発する表現は憲法21条の「表現の自由」によって保護されるわけではなく、またこれを規制する法律がとくにあるわけでもないので、市民と「公」との協議によって適切な表現へと収束させることが求められる。

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