「人権侵害に関する取り組みを求める請願」について その1 ~請願の仕組みと今回の請願の背景について~

現在、松戸市議会では3月定例会が開催中ですが、今定例会には「交通安全運動に協力した松戸市民が受けた人権侵害に関する取り組みを求める請願」という請願が提出されています。

この請願の問題点について、何本かの記事に分けて述べていきたいと考えていますが、第一回目のこの記事では、問題点の指摘の前に、請願の仕組みと今回の請願の背景について、まずは簡単に述べたいと思います。

請願文は請願者のページである下記リンクからご覧になれます。(請願文が記述されている部分に直接飛びます。)

<松戸市議会に人権侵害の対応を求める請願を提出しました (ご協力お願いします)|高橋しょうご>
https://note.com/takahashishogo/n/n2c76a6e96478#490abd77-172f-4514-b1c7-1882c8d3d1be

問題点を挙げる前に、「請願」とはどういうものなのかという点と、この請願文のいう「人権侵害」とは、具体的にどのような内容なのかについて、簡単にまとめたいと思います。

市民が行政や議会に対して要望等を行うための制度「請願」

地方議会における「請願」は地方自治法第百二十四条及び第百二十五条に規定されている制度で、市民が議会や市政等への要望がある時に、普通地方公共団体の議会に、議員の紹介を通して提出されるものです。

松戸市議会の場合、提出された請願は、まず各常任委員会に付託されます。ここでの審査で、採択すべきかどうか結論を出し、本会議で最終的な採決が取られるという流れになっています。

今回の請願は岡本ゆうこ市議(市民力・立憲民主党)が紹介議員となって今定例会に提出され、3月8日の総務財務常任委員会に付託されることになっています。本会議での採決は3月25日です。

ちなみに、似たような制度として、紹介議員を必要としない「陳情」という制度もありますが、これは地方自治法には規定されておらず、各地方自治体で扱い方が違います。松戸市の場合は、陳情として議会に提出すると、まず各定例会の直前に行われる議会運営委員会にかけられ、ここで定例会で扱うかどうか審議されます。ここで通れば、あとは請願とほぼ同じような流れになります。

請願も陳情も、まずは議会に対して行うものです。内容に関しては行政への要望も含みますが、その場合は議会で採択後行政への送付という流れになるので、直接首長なり担当部署なりに直接要望したほうが、早く要望が伝わりやすい、というケースも多いようです。

全国フェミニスト議員連盟による抗議と Vtuber

請願文において述べられている「人権侵害」とは、昨年8月、松戸署及び松戸東署で採用している交通啓発動画に関して、超党派の議員団体「全国フェミニスト議員連盟」が抗議文及び公開質問状を提出した件の事を指して述べたいと思います

<千葉県警本部、松戸警察署、松戸東警察署、千葉県、松戸市、松戸市教育委員会宛の公開質問状を提出。およびその回答について。|全国フェミニスト議員連盟>https://afer-fem.org/?p=1416

Vtuber とは、「モーションキャプチャー」という、実際の顔や体の動きを CG のキャラクターに連動させる技術を用いて、配信等を行う人達のことです。

抗議は、交通安全の PR 動画で登場する Vtuber 「戸定梨香」の CG 表現について、衣装や胸の動きなどが「女児を性的な対象として描いて」おり、「女性の定型化された役割に基づく偏見及び慣習を助長」しているとして、謝罪と動画の使用中止及び削除を求めたものです。

この抗議を受け、千葉県警は該当動画を削除しております。また、本件に関して、ネット署名サイト change.org において、青識亜論氏、おぎの稔太田区議らの呼びかけにより、「全国フェミニスト議員連盟宛の抗議と公開質問状」への署名活動が行われています。

簡単な説明になりましたが、以上となります。次の記事からは、今回の請願で私が問題であると考える点について述べたいと思います。


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