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第10回:商品特性に見合った販路・売り方を選択できるか?

みなさま、こんにちは。
食の6次産業化プロデューサーの松田高政です。

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特別講座「新たな時代に新商品・サービスを生み出す能力とは(全11回)」の第10回目のテーマは、「商品特性に見合った販路・売り方を選択できるか?」です。

商品の企画の際に、第4回「最終消費者と利用シーンを想定できるか?」で、誰のために商品を企画するのか最終消費者が決まらないと何も決めることができない」と言った一つの要因が、販路・売り方の選択です。

誰に買ってもらいたいか「最終消費者」を決めることで、その人がどんな方法で商品を買うか、販路・売り方が想定できます。

このため、「販路・売り方=消費者の買い物行動」であり、商品特性、最終消費者、販路・売り方はセットで考える必要があります。

では、商品特性に見合った販路・売り方について、最終消費者を意識しながらどのような方法で選ぶか。具体的な手法と事例を見てみましょう。

問題:商品特性に見合った販路・売り方を選択できるか?

【問いかけ】
自社が開発した商品・サービスの販路として考えられるものを、販路または販売チャネル(多様な売り方)の特性等に応じて整理して列挙できるか。

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理論と手法を学ぶ

【理論・手法】
開発した商品を確実にターゲットとする消費者の目にふれさせ、購買させるためには、商品の特性を理解した上で、ターゲットの消費行動に見合った販路を選択する必要があります。

ただし、近年、開発したしてからどのように売るかを考えるケースが多く、営業等でニーズのミスマッチが多く生じています。

現在、食品の流通は多様な販売チャネルが確立されており、卸売業者や小売店等だけでなく、生産者自らが直売(ネット販売・イベント販売等)する手段も多数の選択肢が存在します。

また、商品によっては家庭向けの小売用商品ではなく、業務用商品として飲食店、ホテル・旅館等も視野に入れることもできます。

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図:用途別主要販売先(家庭用・業務用)

このように多様な販路がある分、それに合うものを作らなければなりません。

このため、商品開発は販路の設定と同時平行に進めるべきであり、各販路の利用顧客の属性や購買特性、商品ニーズを列挙できるように調査・理解した上で、販路の特性に見合った商品を開発することが重要です(商品企画の段階で販路を想定・調査)。

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図:商品企画書の例(生姜加工品)

すでに開発した商品がある場合は、今後の販路開拓の目標として、商品にふさわしい販路と、なぜその販路を設定したのか、その理由として、販路の特徴・特性(価値観・購買層・品揃え等)を改めて確認する必要があります(できれば現地売場確認)。

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写真:市場調査による販路・売場確認

実際の事例・経験談から学ぶ

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写真:のむジュレ

【実際の事例】
「のむジュレ」では、値段的には大手のものより少し高いが安全安心で原材料にもこだわっているので、首都圏の自然食品店や生協、こだわり系の高質スーパーをメインターゲットに設定しました。設定するにあたっては、商品の企画の際に、事前に店舗を見学し、競合商品も調べました。

また、ちょっと小腹がすいた時に飲み歩きができるカップタイプの商品なので、商品開発会議でお世話になった駅中店舗(東京駅の構内店舗)であるニッコリーナを情報発信の拠点として位置づけました。

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写真:ニッコリーナ

「のむジュレ」では、商品開発会議として、ニッコリーナの運営会社とそこに来るお客様の意見を聞きながら商品を完成させましたが、その際、試作品を支持してくれたお客様に尋ねた質問でかなり役立ったのが「この商品をどこで売って欲しいか?」という問いかけでした。

その場では、ニッコリーナの運営会社も方も同席していましたが、お客様は毎日そのお店だけに買い物に行くわけではありません。他にもお気に入りのお店が複数あるはずです。

その問いかけに対して、お客様から複数のお店(販路)の存在を教えてくれました。その場でニッコリーナ以外の情報を聞き出すのは失礼かと思いましたが、運営会社の方も快く会議を進行させてくれました。あの時は本当に有難かったです。

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結果的には、ニッコリーナはもちろんのこと、お客様に教えていただいた販路はほとんど開拓することができました。唯一、開拓できなかったのがコンビ二業界のナチュラルローソンで、取引条件(値段等)が合わず取引には至りませんでした。

想定外の販路としては、通販業界(ネット・カタログ)からの問い合わせが多く、夏の贈り物に一箱9個で3,000円程度と買いやすいギフトセットが企画され、取引先が増えました。

◇当初想定した販路・販売チャネル
小規模・高品質量販店・小売店(生協・自然食の店)
駅中店舗・地域産品専門店(東京駅ニッコリーナなど)
ナチュラル系コンビニ(エリアは限定、オフィス街に立地している所)
自社ネット販売(自宅用・リピーターのまとめ買い向け)

まとめ

以上、第10回の「商品特性に見合った販路・売り方を選択できるか?」はいかがだったでしょうか。

販路・売り方を選択するためには、普段からいろんな売場を見学し、商品の品ぞろえや買い物に来るお客様の属性などを、ある程度知っておく必要があります。

ただし、地方の生産者が都会(または全国)の売り場を全て把握することは至難の業です。

そこで、お勧めするのは、商品を支持してくれる消費者(購入してくれる人)を早めに見つけ、その人に販路や売り方を聞くこと。販路や売り方については、実際に住んでいる人や商品を良く買う人に聞くのが一番です。

買う場所(販路)は買う人(消費者)が一番詳しいのです。

このような理由から、私は新しい商品・サービスを開発する時に、生産者だけでなく販売者、さらには消費者を事前に巻き込んで、相談しながら完成させていく、「販売者・消費者参加型商品開発」の手法にたどり着きました。

この考え方を広く普及させるために、ここで情報発信している次第です。参考になりましたでしょうか?

さて次回、第11回は、「販路開拓・売上目標を達成し事業を成功に導くことができるか?」です。とうとう次回で最終回となりました。楽しみに!
そして、今回も、もしよかったら「スキ」・「コメント」・「フォロー」など、応援よろしくお願いします!


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