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脳梗塞になって変わった自分のこと5

嚥下障害後の食事 | 

脳梗塞(ワレンベルグ症候群)を2022年大晦日に発症して、それ以前と以後で変わったこと その5


・概要

脳梗塞の一種であるワレンベルグ症候群を発症、その症状の一つ、嚥下障害について、その症状は、飲食物が喉を通らないので入院中は経管流動食を余儀なくされ不便。症状が軽い人もいるが、長期化した場合、厄介な症状になることも。自分の場合は、奇跡的なタイミングで、幸運にもほぼ回復。ただし退院後もたまに引っかかり、流し込む為の水が不可欠。

・発症直後/急性病院での状況

 大晦日に脳梗塞(ワレンベルグ)を発症、急性期病院に入院した時点では、体が動かせないとか、モノが見えないとか、唾液すら飲み込めない体、いわゆる嚥下障害(食べ物飲み物が喉から摂取できない症状)が起こった。

 何度か検査、トライしたが喉が全く反応しない、水などは無理に入れると気道に入り、誤嚥性肺炎(死亡リスクが高い)になる恐れがあるので、急性期病院では飲み込む訓練は余り出来ず、口を開けたり舌を動かしたり、首を鍛えるなどの基礎的な訓練が中心となった。

 その間は、鼻の穴から管を通して喉を通って胃に直接、液状栄養剤が三食送り込まれていた。管が喉に常に触れていてむせたり痰もでて、当然唾液も出るが、何も飲み込めないので、数分おきにティッシュに吐き出していた(夜間は痰が絡んだり辛かった)、ティッシュの山がすぐ出来た。

 急性期では口からの飲食は全く出来ない状態が続いた。自分の場合、経管食が与えられている間は全く空腹感満腹感もなかった、食べる意欲がわかないまま、約1ヶ月半後に回復期病院へ移り、奇跡が起きる。

・奇跡の反応(回復期病院)

 転院先のリハビリ病院(回復期病院)の初日午後に検査を含めたX線での症状確認があった。全く飲み込めないことは伝えてあるのだが、まずゼリーを与えられる。
 担当医師が、嚥下訓練用ゼリーをスプーンにすくって「飲んでみなさい」と口に入れてくる。舌に乗った瞬間、甘酸っぱい味が約2ヶ月ぶりに意識の中に広がる。そして気がついたら半分以上飲み込めていた。自分でも驚いた。
 その後の嚥下訓練用ヨーグルトでも、喉が反応した。綺麗に滑るようには飲み込めないが、喉がやっとこさ反応して、喉も右半分くらいで飲み込めているようだとのことだった。まさに奇跡的だった。

 病院側も、これほど飲めるとは思っておらず、別の喉をこじ開けるようなアプローチを検討していた。そっちも試したが喉が硬く反応しなかった。結果的に、「飲み込める」ことが尊重され、食材をペースト状、ゼリー状、細切れ状など段階的に変える方法で様子を見る事になった。完全には喉はまだうまく動けてない、誤嚥リスクもあるという状況だった。そこから喉が少しずつゴクンとなる感触みたいなものを得て、リハビリなども唾を飲み込みながら喉を動かすような訓練がになっていく。

 次の奇跡は、米(お粥)。これが難関だろうと思われたがむせることなく完食!まる2ヶ月ぶりの飯粒が旨く、喉がいい反応をした
 そして米が食べれるようになると、満腹感が得られるようになり、体力も付き、リハビリも一段レベルが上がり、空腹感を感じるようになる。他の食材も形態を変えながら、食べれるようになる。
 最後の難関が誤嚥しやすい、喉が反応できないといけない。そして最終的に嚥下障害のほぼ回復と退院まで、約110日4ヶ月を要した。

・退院後の状況/嚥下障害の症状さまざま

 今でも、喉に張り付きやすい食材(パンや餅類)、そして飲料などは注意している。そうしないとむせたり、慌てたりする。
 口の中に入れる量も、多すぎると喉が半分くらいしか開かないので、飲み込みにしくじってむせて戻ったり、つっかえたりする。
 上手く飲め込めないときは、誤嚥に注意しながら落ち着いて水で流し込む。そう、万が一の時のコップ水が安心だったりするので欠かせない。

 それでも、ほぼ普段の食事ができている。危ないと言われていたラーメン類(固形物と同時にさらっとスープが喉を通るので誤嚥しやすいと言われた)も、落ち着いて食べれば何でも無い。
 退院時に、自宅の食事にも誤嚥防止のとろみをつけないといけない患者さんがいるのだが、自分の場合は制約なし。ほんとうにありがたいことだ。

 ワレンベルグ症候群にかかる人で嚥下障害になる人は多く、またその症状も軽重が大きい。軽い人は数週間で飲み込みが出来たりするようだ。
 逆に私のように、なかなか反応が戻らない人も居て、さらに症状が重い人も存在し、喉を切開する施術をしたり、どうしても飲み込めない状況になると、胃瘻を設けたりしないといけなくなる。そうなるととてもやっかいな障害だ。

 また、飲み込めない状態が長く続き、経管栄養期間が長くなると、喉に管が入り続けるため、痰の量が多くなり、固くなっていく、そうなると自力で吐き出しづらくなって、吸引して痰を取る装置を付けざるを得なくなったりする。これがけっこう辛い(聞いた話)。固形物が食べられない上に、呼吸困難に見舞われるような危険な状況にも陥る。

・ターニングポイント

 自分の場合は、たまたま転院初日に(喉が)反応してくれたので、手術などの大ごとにならずに、食事療法となった、時間はかかったが、ほぼ回復できた。おそらく治療の方向性を判断する大事なタイミングでの奇跡だった。
 急性期病院から、リハビリ専門の回復期病院への転院自体が大事なポイント。ここでじっくり(嚥下の)リハビリに取り組めるところかどうか?だったが、嚥下の回復はそこしかないという有名な病院で、ベッドが空くのを待っての転院だった。そこに移れたのもラッキーだった。

元気になってラーメンを腹一杯食べられる。



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