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【ショートショート】#9 メディア・ブラックアウト
自己都合の世界に行きたい。入り浸りたい。自分だけに都合よい世界を作りたい。そう考えた俺は毎日、毎日、毎日。俺に寄せられるコメントを自分の都合の良い物だけを選別してより分けていくことになる。
「これはアンチ、はい、これは荒らし、これは誹謗中傷」
どんどん。どんどんと来るコメントに対して俺は飽きることなく飽きることなく、俺はブロックしていく。言論統制は気持ちいい。まるでこの世界の支配者になったかのような気分に浸れる。
一通り気に食わないコメントを除去した後、俺はその気持ちの良い湯船につかることにした。誰も余計な事をしない世界で、ただ自分のやりたいことだけをやって、言いたいことだけを言う。
そして積み上がるは金の山。イヤー楽しいね。こういう世界。全く持って愉快だよ。どうしてみんなここに来ないのかな?きっと馬鹿だからここにたどり着く前に無理だって思うんだろうね。
そんなある日の事。いつものようにその湯船につかっていたのだけれど、どうも自分でもしっくりこない。いつもの調子が出ない。自分の都合の良いように世界を取り払ったつもりなのに、どうしてか何か知らないけど
「自分で気が付く。自分が面白いことが出来ていないことに」
するとそこに一つのコメントが届く。
「いつも見てます!いつも面白いですね!」
そのコメント見た時、俺は有る言葉を漏らしていた
「こいつもアンチだな」
そう言うと俺はそのコメントをブロックした。
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