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NHKが発表した「障害」の表記に関する所感のまとめ

僕が発達障害関連の情報を集めている過程で見つけた、NHKが2020年4月1日にHP上で公開した『「障害」の表記について』という発表の内容をまとめます。

この内容は2019年11月22日に開催された第1441回放送用語委員会で話し合いがされたものだそうです。

詳細が気になる方は、リンクを掲載するので実際のPDFもご覧になってください。

https://www.nhk.or.jp/bunken/research/kotoba/pdf/20200401_3.pdf

(1)障害表記に関する世論調査

2019年の10月に、20歳以上の男女1,204人を対象に「障害」の表記に関するアンケートを実施。

アンケート内容は「障害」・「障がい」・「障碍」の3つそれぞれの表記について、「見たことがあるかどうか」、「抵抗感があるかどうか」の観点から4つの選択肢、そして「わからない」を加えた5つからひとつを選んでもらうもの。

結果をざっくりまとめると以下。

・「障害」は「見たことがあり、抵抗感がない」が80%
・「障がい」は「見たことがあり、抵抗感がない」が63%で、「見たことはないが、抵抗感はない」が「障害」よりも増加
・「障碍」は「見たこともないし、抵抗感がある」が42%で最多

(2)障害者団体に対するアンケート

13の障害者団体に対して以下のアンケートを実施。質問1と2はその理由まで。

【質問1】貴団体では,次のどの表記を使うのがよいと考えていますか?
【質問2】貴団体では,現在,団体の広報誌やホームページなどではどの表記を使っていますか?
【質問3】「障害」「障がい」「障碍」それぞれの表記についてのご意見等があれば,お書きください。

結果をまとめると以下。

・【質問1】:「決めていない」が最多で7団体。次いで「障害」が5団体
・【質問2】:12団体が「障害」
・【質問3】:「害」と「がい」を分ける必要性も、「碍」の字にそこまでこだわる必要もないという意見が多めな印象

(3)意見

放送用語委員に出席した外部識者から出された意見。

・当面は「障害」の表記を変える必要はなさそう
・団体間にも温度差がある
・それぞれ微妙なニュアンスの違いで使い分けが見られるのでデータを蓄積していくのもいいかもしれない
・「障がい」について抵抗を抱く人が2018年の調査よりも増えているのでメディア側から表記を変えるのは急ぎすぎ

(4)放送用語委員会の意見

この委員会での最終的なまとめを引用します。

「障害」の放送での表記について,以下のことを確認する。
・原則は「障害」とする。
・必要に応じて「障がい」を使うこともできる。
・固有名については「障がい」「障碍」を使うこともできる。
・上記の事項は,今後も実情に応じて不断の見直しを行う。

NHKは当面「障害」でいく方針のようです。個人的には、意味するところは同じなので「障害」も「障がい」も変わらないと思っています。僕のASD傾向も原因かもしれませんが、定義が一緒である以上は見た目にこだわることもないのかなと。

そして「障碍」の表記については今回はじめて知りました…!なんだそりゃ。漢検2級の僕には読めません。そんな書き方もあるんだなあと勉強になりました。

僕としては「表記をいろいろ変えるのはどうなの?」という立場ですが、こうして文字を書いて発信している以上は、文字の与える印象にも気を配っていきたいとは思っています。

お読みいただきありがとうございましたっ。

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