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当事者の私が読んでよかったASD関連本4選!【世界自閉症啓発デー】

毎年4月2日は世界自閉症啓発デー!ということで、今年もいち当事者として何か書きたいと思い、筆を執っています。

昨年は提言みたいな内容だったので今年は襟を正し(?)、当事者としてこれまで読んできた神経発達症(発達障害)関連本のオススメをご紹介します。だいたい私が読んだ時系列順となります。

本はそれぞれ製品ページへ飛べるようにしておくので、気になったものはぜひご覧になってみてください。

また、皆さんのおすすめ本があればぜひコメントなどで教えてください。

自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体 / 本田秀夫

1冊目は、精神科医である本田秀夫先生の『自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体』です。

私が新卒入社した会社を適応障害で休んでいるとき、通っているメンタルクリニックで発達障害、特にASDの可能性を示唆され、最初に読んだのがこの本でした。

「自閉症スペクトラムとはいったい何だろう?」という最初の疑問を非常にわかりやすく解説してくれる内容で、文章も平易でボリュームも分厚すぎない、まさに”最初に手に取るべき本”という良書だと思います。

特性を持っているから障害(Disorder)なのかといえば必ずしもそうではなく、社会制度的な意味での障害、つまり”D(Disorder)"がつかずAS(Autism Spectrum)として社会に参加している人も多くいるという視点が目からウロコでした。

タイトルの通り、内容が自閉症スペクトラム中心ではありますが、その他の神経発達症や併発しやすい精神障害などについても触れられています。
そしてこれらの解説のみならず、ASDの人たちの教育や、どのように社会参画を目指していくかを考えていく章もあったのが印象的でした。

発達障害グレーゾーン / 姫野 桂

2冊目は、ご自身が神経発達症当事者でもあるライター、姫野桂さんの『発達障害グレーゾーン』です。

近年「発達障害」という言葉が取りざたされる中、特性を持つが診断がつかない、いわゆる「グレーゾーン」の人にフォーカスを当てた書籍です。
今でこそ診断がついていますが、何を隠そう私自身が最初の1年ほどはグレーゾーンでした。そして、そんなグレーな状態にもやもやを感じている最中にこの本に出逢ったというわけです。

内容は、様々なグレーゾーンの人たちへの取材や当事者会のレポートという感じで、まさに”発達障害グレーゾーンのケーススタディ”でした。診断が出てはいないが、特性によって日常で困ることはたくさんある!というまさに当時の自分にバチバチ当てはまる内容で、うなずきながら読んでいた記憶があります。

著者の姫野さんご自身がまさに発達特性を持つライターとして長年ご活躍している方である、というのもぴったりだと思います。この本を読み終わってびっくりしたんですが、適応障害でほぼ寝たきり状態の自分でも読み終われたぐらい読みやすかったんです。何を言っているかわからねーと思うが、読み終わってから「読み終わった」ことに気づきました(?)

「発達の特性あてはまるんだけどどうなんかなー?」という人にオススメです。

科学から理解する 自閉スペクトラム症の感覚世界 / 井出 正和

3冊目は、実験心理学や神経科学の研究者である井出正和先生の『科学から理解する 自閉スペクトラム症の感覚世界』です。

こちらの本は、「ASDの特性を持つ人が世の中をどう知覚するか?」という観点に焦点をあてた内容です。ASDを持つ人の多くは感覚過敏や感覚鈍麻をもっていると知られておりますが、”感覚”というものは定性的なものだったりするので、研究があまり進んでおりませんでした。しかし近年、fMRI(functional MRI: 磁気で脳の活動を画像で取得できる)の登場で、今までより定量的に分析ができる環境がととのったことも後押しして研究が進んでいるようです。

触覚、視覚、時間分解能や知覚の統合処理など、ASD者とそうでない人のあいだにはさまざま違いがあるようです。研究の話はわりと好きなので、興味深く読むことができました。

世界中、そして井出先生たちがおこなっている最新の研究をまとめた一冊であり、おそらく国内で他にこの手の本はないと思います。

児童精神科医が語る あらためてきちんと知りたい発達障害 / 篠山 大明

4冊目は、篠山大明先生の『児童精神科医が語る あらためてきちんと知りたい発達障害』です。

「親しみやすい表紙だなぁ」と思って読んでみると、中身は本格派!笑
最初にADHD/ASDの概念の誕生から現在までの歴史がまとめられていて、その部分だけでも自分は買ってよかったと思いました。
関係する研究者の肖像画や写真が多く載っているのですが、「アスペルガー症候群」の由来でおなじみハンス・アスペルガーさんがめちゃくちゃイケメンで笑いました。(笑うな)

そして歴史を俯瞰したあとは、児童精神科医としてよく訊かれるという以下の質問に対する答えや考え方がありました。

  • 発達障害は治りますか?

  • 発達障害は遺伝しますか?

  • 薬物療法は必要ですか?

特性を持つ子供の親御さんが心配からよく質問されるようです。たしかに多そう。どれも丁寧で当事者やご家族に寄り添った、でも科学的な事実を捻じ曲げない誠実さを感じる回答でした。私も今後人から同じような質問をされた際の参考にしたいと思っています。

実際の臨床でのケースも多くイメージしやすいですし、発達障害の歴史を知りたい人や、先ほどの疑問を一度でも抱いたことのある人は読んで損しないはずです。


以上です。ほかにもいくつかの本を読んでいますが、”自閉スペクトラムについて多くの人に知ってもらうためには?”という視点でチョイスしてみました。(『感覚世界』はニッチだったかも?)

神経発達症あるいは発達障害。わたしも当事者ですが、正直とても生きづらいです。
でも、このことを”人生をあきらめる理由”にはしたくないと思っています。

そんなやつが生きている様子をYoutubeで上げています。ぜひ遊びに来てくれると嬉しいです。お読みいただきありがとうございました。


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