カクテルパーティー効果

【ASD】僕らの世界は音で塗りつぶされる

「カクテルパーティー効果」という現象をご存知でしょうか。

これは、騒音の中でも自分にとって重要な(興味のある)音声を聴き取ることができる能力のことです。

あなたも次のような経験、おありではないでしょうか?

・大人数の飲み会の席でも自分の名前はハッキリ聞こえる
・最近ハマっている音楽が遠くで流れているのに気づく
・電車で眠っていても降りたい駅のアナウンスで起きる

ほとんどの人が無意識レベルで行うことができる機能なのですが、発達障害(とくにASD)を持つ人はこれをするのが難しい傾向があります

もちろん、この記事を書いている僕もその1人です。最近、ちょっとした体験をしたので書いてみます。

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最近、友人の紹介で社会人交流イベント(?)に行く機会がありました。そのイベントは多様な属性の人が5~60人集まって、せっまい(本当にせまい!)会場で飲みながら自由に交流するという趣旨のものでした。

みんなお酒が入ってテンションも上がっていてすごい大声。会場の狭さも相まって、喧々囂々の大騒ぎ。僕も友人に連れられつついろんな人とお話をしたのですが、困ったことに相手が何を喋っているのかほとんどわからなかったのです。

「話している内容の意味が不明」、ということではなく「物理的に声が聞こえない」のです。(僕とお話してくれた方ごめんなさい!)

このときは発達障害に音声の取捨選択のできない人が多いことを知らなかったので、「え!?みんな普通に声聞こえてんの???」って感じでびっくりしていました。

後日ASDについて調べている中でこのことを知り、なるほどと納得しました。ひとしきり落ち込んだあとは知識を入れるの大事!

そしてふと、自分が小学生だったころを思い出すのです。

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僕が小学生の頃、学校に自閉症の女の子がいました。彼女はイスにずっと座っていられなかったり、急に大声でアニメのセリフを何度も叫んだり。当然、特別支援学級の子でした。

その子のことはあまり覚えていないのに、当時の先生がクラスのみんなに言った注意事項が今でも頭に残っています。

「〇〇ちゃんは、遠くの声も近くの声もおんなじように大きく聞こえてしまうから、教室にいるときはあまりうるさくしないであげてね」

なぜこれを覚えているかというと、ひねくれ少年だった僕は

「物理的に遠いのに同じ大きさで聞こえるってどういうこと??ありえるのか??とても耳が良いの?小さい音だけ増幅されるのか?」

と、とても不思議に思ったからです。今になってその記憶が僕の人生とつながってくるなんて、なんだか奇妙なものです。

今なら自閉症だったその子の気持ちも少し理解できるし、先生の言っていたことももっともだと思います。

少しだけ後悔しているのは、当時は自分のことを棚に上げて「あーあの子自閉症の子だ…。」とちょっと距離をとる意識があったことです。当時の僕は自分に自閉的な傾向があることを知りませんし、グレーゾーンで学校生活に支障がなかったため定型発達だと思い込んでいたわけですが…。それにしても、自分も差別的な意識を持っていたことを反省しています。

あの子、今も元気にしているといいな。

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