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AI・機械学習を用いた画像分類とは?その方法、実活用例を徹底解説

AIや機械学習を活用した画像分類は広がりを見せています。最近では、次のような活用事例があります。

  1. パン屋さんのレジ業務への画像認識AI活用

  2. バスケットボールなどスポーツ関連への画像認識AI活用

  3. 運送会社の安全運行や防災分野への画像認識AI活用

  4. 電車やバスの改札・空港の認証ゲートでの画像認識AI活用

  5. 音楽フェスなどイベントでの画像認識AI活用

  6. 製鉄所における作業者の安全管理業務への画像認識AI活用

  7. Eコマースサイトへの画像認識AI・検索技術への画像認識AI活用

  8. マグロの検品業務への画像認識AI活用

  9. ワイン検査業務への画像認識AI活用

AI・人工知能の技術が積極的に活用されている分野の一つに画像認識があります。画像認識は、画像(動画)データからパターンを認識して、その特徴から対象物を特定します。画像認識はディープラーニングにより精度が飛躍的に向上したため、現在、さまざまな業種・業界で導入が進んでいます。
本記事では、AI・人工知能・機械学習を活用した画像分類について概観し、その方法、実際の活用例について、AIを活用した画像分類のおすすめツールを紹介します。

AI・機械学習を活用した画像分類とは?

画像分類とは、画像を何らかの特徴やルールに基づいてどのカテゴリ(モノの種類)に属するか分類することをいいます。

画像分類では、入力した画像からAIが最も似ていると考えられる対象を判別できるように、「畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network, CNN)」と呼ばれる手法を用いて学習させます。画像分類のAIでは入力画像から、その画像が最も類似している対象を自動的に検出します。

なぜ、画像分類のAI・機械学習を活用するのか?

AIを構成する重要な要素として、「ニューラルネットワーク(Neural Network, NN)」があります。この「ニューラルネットワーク」は人間の脳における情報ネットワークを模倣したもので、AIはこのニューラルネットワークで入力情報を「形」や「模様」「色」など注目すべき特徴量と呼ばれる情報に分解し、入力情報から対象を対応付けにより判定します。

例として入力画像が「ミカン」であるか判定する画像認識AIがあったとき、そのAIは映っている対象を「オレンジ(色)」、「球状(形)」といった複数の情報に分割して、作成した「ミカン」モデルの情報と結びつけて比較を行うことで判別を行います。

画像分類では、AIが入力する画像から最も似ていると考えられる対象を自動的に判別できるように、このニューラルネットワークを発展させた「畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network, CNN)」と呼ばれる手法を用いて学習させます。

 このCNNは、フィルタと呼ばれる領域をそれぞれの入力画像に合わせることで、フィルタと画像の重なった部分の特徴量が適宜計算され、形成される畳み込み層と呼ばれる層と、畳み込み層として抽出された特徴量を圧縮するプーリング層の2層が機械学習に大きく寄与します。

この畳み込み層とプーリング層のそれぞれの処理により、従来の点として特徴抽出を行い、学習を行っていたニューラルネットワークに対して、領域として特徴を抽出するようになったCNNで学習させたモデルの検出性能は大幅に向上しました。これが、画像認識の分野でAIが広く使われるようになった理由の一つです。

また、当初、CNNは画像認識のために開発された技術でしたが、現在はその性能の高さから画像認識の他にも物体の認識や状況の推定、音声認識などさまざまな問題・分野へと広く応用されています。

AI・機械学習を活用した画像分類の方法・ワークフロー

プログラミングを使わずにAIを作れるMatrixFlowでの画像分類の例を簡単にご紹介します。
ここでは、ファッション画像を種類ごとに分類します。

詳細は、以下のMatrixFlowのお役立ちサイトをご覧ください。

服の画像を種類ごとに分類する画像分類AIの作成方法

画像分類は教師あり学習の1つです。教師あり学習は正解・不正解のある学習データをAIに学習させる方法です。ファッション画像の分類の正解をAIに学習させることで、種類ごとの画像の特徴を覚えさせ、分類したい画像を入力したとき、それがどの種類に分類されるかをAIが判定します。

このような画像分類が実現すれば、目視では大変な画像分類の作業を簡単にできます。また、製品の仕分けや画像による検索、在庫の管理などに利活用することができます。

AIを作成する全体的な流れを簡単に説明します。

まず、AIはデータセットのデータを元に学習や予測をしていきますので、「シャツ」や「ドレス」など用意したファッション画像の種類10個を用意します。そして、それぞれのラベルに該当するファッション画像をフォルダに入れます。

データの準備ができたら、レシピの作成を行います。レシピは、AIが処理を行う手順を示す設計図のようなもので、MatrixFlowではブロックとブロックを結ぶだけで簡単に作成することが可能です。

最後にAIに学習をさせます。

今回のAIは「テストデータ正解率」が84.1%となりました。

「テストデータ正解率」は、テストデータの予測結果のうち実際の正解とどれだけ一致しているかを示す評価指標です。
今回は、予測の8割以上が実際の正解と一致しているAIなので、精度が高いと言えるでしょう。
具体的には、「シャツ」の画像をAIに入力すると、8割以上の可能性で「シャツ」という結果が得られるということになります。

画像分類にAI・活用した実例

1.パン屋さんのレジ業務への画像認識AI導入活用事例

画像分類を活用した事例として、パン屋さんのレジでトレイ上のパンの種類・値段をカメラで一括識別するシステムが稼働しています。画像識別技術をレジ精算に応用する世界初の試みで、 ベーカリーショップのレジ業務に革新をもたらしました。

パン屋さんにある商品の登録数は無限で、商品の形状や色、トッピングなどの情報が無数にあります。実に、100種類以上のパンが並ぶこともあり、新商品やマイナーチェンジした商品など、新人スタッフがすべての商品名を覚えるのは決して簡単ではありません。スタッフを新規採用しても、商品名を覚えるのに時間がかかるため、入社すぐの時期から一人でレジを任せることは難しくなっていました。このAIレジを導入することで、オリジナリティ溢れるパンを販売している店舗でも、レジ業務の効率化が実現しています。

この技術を応用すると、パン屋さんだけではなく、洋菓子店、その他あらゆる小売店にて、POSレジやセルフ精算機、対面とのハイブリットのセミセルフ精算機、キャッシュレス端末など、お店の人員規模や形態に合わせて柔軟に組み合わせが可能です。

2.バスケットボールなどスポーツへのAI導入活用事例

画像認識AI導入活用事例として、AIを用いた「ハイライト動画自動作成サービス」が共同で開発されています。このサービスは、3人制バスケットボールリーグの、2021年シーズンに参戦する四つの国と地域の男女96チームに提供されました。利用者は、試合名やチーム名、選手名をそれぞれ指定して、ゴールシーンなどのハイライト動画をAI技術により抽出作業を自動化し、ダウンロードして利用することが可能です。

これにより、抽出動画の秒数の調整や、音楽の合成などの編集が可能なため、将来的にはSNS上への共有やチームプロモーションなどに広がっていくことが期待されています。

3.運送会社の安全運行や防災へのAI導入活用事例

運送会社の安全運行や防災へのAI導入活用事例として、気象情報会社、運送事業者などで、AI等の先進技術を活用した車両の運行データの解析により、運送事業者の安全な運行を可能にするための路面情報や周辺気象情報の抽出が実施されています。

実証実験では、走行中に取得した路面の画像データを、気象情報会社の提供する気象データとともにAIで解析を行い、乾燥・湿潤、凍結、積雪などの路面の状態を自動で判定しました。

これらの実証実験の結果をもとに、防災等への活用が期待されています。

4.電車やバスの改札・空港ゲートへの画像認識AI導入活用事例

電車やバスの改札への画像認識AI導入活用事例として、2021年に、千葉県佐倉市にて運行するバス会社が、顔認証乗車システム実証実験を行いました。

実証実験では、バスに乗車する際に、現金の支払いや定期券の提示等をしなくても、顔認証によって乗車代金の決済が可能になりました。

さらに、バスと鉄道という異なる公共交通機関において、顔認証乗車システムで決済という同一の仕組みによる乗車代金の決済を可能とすることで、都市版のMsaS実現へ向けてスタートが可能となります。将来的には、もっと気軽に移動できるようなパーソナルモビリティや、自動運転によるバス運行、ドローンタクシーといったさまざまな交通手段の提供を実現し、自家用車の利用ができない高齢者や子供などが安心して便利に移動できる新しい都市交通システムの実現が期待されます。

また、運輸関連へのAI画像認識活用の同様な取り組みとして、羽田空港にある顔認証ゲートは「初めての人や高齢の人でも、抵抗感なく迷わない」簡単で安心なセキュリティシステムとして稼働しています。顔認証ゲートの利用には、事前登録は一切不要です。日本のパスポートに内蔵されているICチップ内の顔写真と、入国ゲートで撮影した本人の写真を画像認識AIを用いて照合し、本人確認を行っています。

このゲートに用いられている顔認識技術で、老化や化粧・表情による顔の変化も確実に認識できるので、共連れ等の不正も検知することが可能となりました。

5.音楽フェスなどイベントへのAI導入活用事例

2021年にポートメッセなごやで開催された音楽フェスでは、画像認識AIカメラを活用して滞在人数を瞬時に計測し、計測した滞在人数を可視化したり、属性分析をしたりする試みが行われました。

昨今のコロナ禍において、展示場や劇場、ホールなどあらゆる大規模空間では、感染防止のためいわゆる「3密(密閉・密集・密接)」を防ぐため、滞在人数の制限がなされています。コンサート会場など、大規模空間にてイベントを実施する際、大人数が同時に入退場する場合は、出入口が複数あるなどの理由により入退場の管理が容易でない施設があります。そのような施設においても、安全・安心なイベント(展示会やコンサート)の開催を実現するため、施設内の滞在人数をリアルタイムで把握することが重要です。

これらの画像認識AIを活用した技術は、会場内の滞在人数をリアルタイムで把握し、入場者数の管理を容易にするため、今後さらに人数等の制限を順守した「安心・安全なイベント開催」の実現にも繋げやすくなるでしょう。

6.製鉄所における作業者の安全管理業務への画像認識AI導入活用事例

AIによる画像認識技術を、製鉄所における作業者の安全行動サポートに活用する技術が導入されています。製鉄所における安全推進に関するAIを活用した画像認識技術の適用が進みつつあります。

AIによる画像認識技術を活用した人物検知による事例、安全リスクへの対応等の事例はほかにも多くありますが、製鉄所の安全管理業務への応用には、特殊な条件による開発技術が必要です。製鉄所の工場内は場所によって照明条件が異なったり、多種多様な装置が配置されていたりすることに加え、作業者もさまざまな姿勢で作業を行うため、人物検知そのものが困難な環境です。そこで、大量の人物画像を撮像してAIによる機械学習を行うことに、製鉄所での実用レベルの画像認識による人物検知を実現しました。この技術により、条件によって立ち入り禁止エリアが変化する特殊な工場内においても、AIが正しくエリアを認識することが可能となりました。

さらに、立ち入り禁止エリアに作業者が進入してしまった際、AIが警報を発するとともに自動でラインを停止させるシステムも実現しています。このシステムの稼働で、従来人手のみで行われていた安全な職場づくりをさらに強力にサポートすることができるようになりました。

7.Eコマースサイトへの画像認識AI・検索技術の導入活用事例

通販サイトでは、欲しい商品の写真をアップロードすると、サイトに掲載されている膨大な商品の中から類似のものを見つけ出すことが可能になります。

Eコマースプラットフォームに関するユーザーのクレームは大きく2つに集約されるといいます。

・欲しいアイテムを見つけるのが困難
・アイテムが豊富すぎて混乱する

自分の欲しい商品写真をアップロードするだけで類似商品を探し出してくれる画像検索は、こうしたユーザーのクレームを一挙に解決する有効な手段となります。

この技術を支えているのは、マシンラーニングとディープラーニングを活用した人工知能による商品検索アルゴリズムです。

今後さらにこれらの技術とレコメンドを組み合わせて、ユーザーのサイト内における閲覧履歴やクリック動作から趣味嗜好を分析し、ユーザーへの需要が高いレコメンデーション機能にも応用できるでしょう。

8.マグロの検品業務への画像認識AI導入活用事例

マグロの検品業務への画像認識AI導入活用事例として、天然マグロの品質を判定する画像認識システムが開発・活用されています。マグロの目利きになるには、最低でも10年はかかるといわれており高齢化などでマグロの目利きができる熟練者は全盛期の半分にまで減少しており、後世にその技術や知識を伝えるのが難しくなっていうという課題があります。

焼津にある水産工場では、キハダマグロの尾の断面約4,000本のマグロの断面画像を収集しこれらを機械学習によりAIに学習させ、およそ1か月で目利きのノウハウを取得することが可能となりました。さらに、AIは大量の画像から、画像の違いを独自に解釈し、業務ノウハウとして確立することに成功しました。

このシステムを実際の工場の検品フローに投入したところ、その道35年の職人とくらべて約85%の一致率を達成することができました。

9.ワイン検査業務への画像認識AI導入活用事例

ワイン検査業務への画像認識AI導入活用事例として、輸入ワインの中味を自動で検査する装置が開発されました。

従来は、検査作業員が目視による検品を実施していたワインの瓶を光に透かして、ラベルの隙間から液体に微細な異物が混入していないか確認する作業では、経験と熟練した技術が必要とされます。このため、輸入ワイン販売数量を検品作業するために1ラインあたり10名程度の作業員が必要となっていました。

この自動検査機は、赤外光照明・カメラにより、ワインに異物が混入していないかを確認する検査装置です。ここでも画像認識AIが活用されています。作業員が検査機にワイン瓶をセットして検査をスタートすると、約10秒間、瓶が傾斜した状態で旋回し、液体に緩やかな渦流が発生するため、画像認識AIにより、ラベルの陰に隠れた異物まで高精度に検出することが可能となりました。

画像認識AIにより、あらかじめ各種瓶の形状に合わせた最適な傾斜角・旋回パターンの設定や、赤ワインや白ワインなど液色に応じた最適な光量、撮像タイミングを設定し学習させることで、作業員は検査したい品種を選択すれば自動で検査することが可能です。

自動検査機を導入することで検品作業の効率化を図ると同時に、今後見込まれる労働力不足に対応することが期待されています。

AI・機械学習を用いた画像分類とは?その方法、実活用例まとめ

AI・機械学習を用いた画像分類について、その方法と、実用・活用事例についてご紹介しました。
MatrixFlowを操作すると、ドラッグ&ドロップで簡単にAIを作成できますので、画像分類について試してみたい方はぜひトライしてみてください。

MatrixFlowは、画像分類AIの作成だけではなく、需要予測、在庫最適化、生産計画立案、人員配置など、製造業を始めとしたさまざまな分野の課題を解決することができます。

MatrixFlowは実際に操作する際に役立つマニュアルや、AIの作り方や結果の見方、精度の高め方などAIコンサルタントに相談できるサポート体制もありますので安心です。

MatrixFlowに関するご質問や、ご自身の持つ課題を解決することができるのか?といったご質問・ご相談がありましたら、以下のお問い合わせからお気軽にお問い合わせください。



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株式会社MatrixFlowは、「テクノロジーで世界をつくる」をミッションとするAIベンチャーです。大人から子供、ビジネスマンから学生、デザイナーからサイエンティストに至るまで、様々な人々がAIを活用し、素晴らしい着想を得たり、あっと言わせるクールな活動をすることを支援したいと考えています。その実現に向けた第一歩として、プログラミング不要のクラウド型AI構築プラットフォーム「MatrixFlow」を開発しております。また、様々な会社でのAI活用を推進するためにAIの受託開発・コンサルティング事業も行っております。

【会社情報】
設立 :2018年10月
本社 :東京都台東区
URL:https://www.matrixflow.net/
事業内容:ビジネスのためのAI活用プラットフォーム「MatrixFlow」の運営、および、AIの受託開発・コンサルティング


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