
デジタル・トランスフォーメーションに失敗する会社に足りないもの
おはようございます。ドドルあおけんです。
このnoteでは、月〜金日替りテーマでIT系のビジネストレンドなどをできるだけ噛み砕いてご紹介しています。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)の木曜日。今日は富士通が最近リリースしたレポート「社会への価値提供に貢献するデジタルトランスフォーメーション」の中身を見ながら、事業のデジタル化と社会貢献の両立ができる会社とそうでない会社の違いが理解できる回です。
世界9カ国のビジネスパーソンへのヒアリングを集計
社会への価値提供という少しぼんやりとしたテーマではありますが、持続可能な社会、これ以上ぶっ壊れない地球・やさしい社会にするためにデジタルの力を使ってあなたの会社はどんなことできる?というくらいにまずは考えてみます。
今回は国内だけでなく、アメリカ、中国、日本を含む先進9カ国のビジネスパーソン900名へのヒアリング。80%がCレベル(CEOとかCIOとか)の経営層のようですね。半数以上が100億円超の売上企業ということで、世界のそれなりに大きい企業の経営層の意見をまとめました、というレポートです。
そんな人たちなので、日本の普通の会社員の感覚とは多分離れているだろうと思いながら見たほうが良さそうですね。
会社を続けていくには
まず最初は、企業が持続可能であるためには社会への価値提供が必要か、という問いです。なんだか100%でなければいけないような気もしますが。。
92%、残りの8%はどんな会社なんですかね。
このスライドの中で注目したのは、右のグラフの上から3つ目。企業が利益を追求するのみでなく、社会へ価値を提供すべき理由として、45%が「投資家が環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視、選別して行う投資を樹融資するようになっているから」という回答です。
資本主義社会なので株主還元の優先順位が上がるのはしょうがないですし、経営層は株主から選ばれる前提で考えるとそこを意識せざるを得ません。
そういう意味ではSDGsの流れの中で環境、社会への配慮が足りない会社の株主は尊敬されなくなってきている、ダサくなってきているという流れがあるのかもしれません。
続いて社会への価値を提供する上でどんな課題があるのかを見てみます。
社会に貢献したい!でも。。。
社会に価値を提供する事業を実行する上での課題として挙げられているのは、アイデアを実現可能なプロジェクトにすることが困難が35%で1位。2番めはROIが明確にできないが34%、3番目がアイデアを創出することが困難が29%、と続きます。
これは考えたらこれは当たり前な話で、例えばタクシー会社だったら、全部の車をガソリン車でなく、水素で動く車に変えれば、二酸化炭素削減というわかりやすい社会貢献ができます。
できますが、水素で動く車がガソリン車の10倍高かったら、そして水素ガスステーションが町に一箇所もなかったら、それは採算合わないし、日々の運用も成り立ちません。
いいな、と思うけど、プロジェクト化できないし、投資対効果は計算できないし、水素ステーションないのにどうやって日々の業務をしていいのかアイデアが出ない。
これはシンプルな事例ですが、コスト・投資に見合った利益を期待できなければできない、というのが基本ルールなので、理想はあるけどできない、という会社は多いということです。
デジタル・トランスフォーメーションは事業にどれくらい影響がある?
75%が既存事業の変革に、57%が新規事業に影響があるとしていて、結果どっちも影響があるというのが32%ということです。
思いつく一番カンタンなデジタル・トランスフォーメーション(DX)は、ペーパーレスです。前職では早くからペーパレスの文化が根付いていたので、チラシとか会社案内とか紙で渡されると、あーいらないです、うちペーパレス推進なんで、と断っていました。慣れれば紙がなくても何も違和感がないわけで、それを進めるだけでも、既存事業のDX推進になります。
DXでどんな価値を提供できたのか?
回答者900名中でDXを通じて提供できた社会価値があるといっているのは、300名強なので3分の1くらいでしょうか。その内訳を見てみると企業として目指すべきDXのカタチがおぼろげながら見えてきます。
20%超の回答があったものを抜き出してみます。
・人々に対する安心・安全の提供 - 38%
・ウェルビーイング(健康と福祉)の向上 - 33%
・都市のスマート化や持続可能性への貢献 - 32%
・気候変動への対抗 - 32%
・ダイバーシティやインクルージョンの促進 - 27%
今回の回答者はいわゆる一般の会社員と比較すると”意識高い系”になると思いますが、この流れは益々加速していくと思いますので、今後何か事業を計画しようとするときはデジタル化を進めることで儲かる!という視点にプラスして、上に挙げたようなことも事業の狙いに含まれているとプランとしては厚みが出て秀逸なものになっていくと思います。
DXを成功させるには?
DXがうまく行く会社とそうでない会社の違いはなんでしょうか?下のチャートでいうと赤が成功した会社、薄い赤は取り組んでるけど結果でてない、グレーはそもそも取り組めてない、ということです。
結果、やれている所とできてない所の差はわかりやすくて、リーダーシップの部分ですね。できていないところは全体的に六角形がちっちゃいんですけど、特にリーダーシップの部分が凹んでますので、DXを進めるには、トップダウンで、が鉄則ですね。
DXは結局一部門でできるものではなくて、組織全体で取り組まないと結果を出せないので、それを束ねる経営トップがやるとはっきり決めて、旗を振らないと難しいということです。
各項目について成功要因をまとめると次のようになります。
※レポートがちょっと難しい言い回しなので少し変えてます。
1.リーダーシップ
CEOの優先事項としてDXに取り組む
2.エコシステム
パートナーとともに信頼関係をベースにしたエコシステムを構築する
3.人材のエンパワーメント
必要なスキルを持つ社員を育成するため成長の機会を与える
4.アジャイルな文化
イノベーションに挑戦し、変化に対応できる企業文化をつくる
5.データからの価値創出
信頼性と高いデータを取得し、ビジネスの成果につなげる
6.ビジネスとの融合
デジタル技術をビジネスプロセスに組み込みきちんと価値を生み出す
パートナーとの協業体制、人材育成、企業文化、イノベーション、データ取得〜活用、デジタル技術とビジネスの融合。。。これだけ多岐に渡るエリアを総合的にカバーできないときちんと結果を出すことが難しく、それをリードできるのは企業のトップしかいない、というのがわかります。
そもそもデジタル技術を使って何を成したいのか? これからの経営者はこのシンプルな問いにきちんと応えられないといけない、それができない経営者、会社は有効なデジタル・トランスフォーメーションができない、ということになりそうです。
ということで、本日のお話は以上です。
日報
備忘録として。
・Kさま、N取締役ミーティング@AJT (12pm)
・Pステコミ@AJT(3pm)
・Kさま向け資料作成〜送信
・Mさまメール
(独り言)色々つながっていくとよいけれど
明日は、グローバル・未来の金曜日。TEDトークから、アフターコロナではなく、アフターすごいAIの時代、人間はどのように生きるべきか、という近未来のお話をご紹介したいと思います。
マーケティングの月曜日
経営戦略・事業開発の火曜日
EC・ロジスティクスの水曜日
DX(デジタル・トランスフォーメーション)の木曜日
グローバル・未来の金曜日
ライフハック・教養の土曜日
エンタメの日曜日
それでは今日もよい一日を。
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